中東アフリカ関連

実用レベルのレーザー兵器が遂に実用化! イスラエル、レーザーベースの迎撃システム発表

イスラエルの国防省は8日、同国が開発した防空システム「アイアンドーム」を補完するレーザーベースの迎撃システムを発表した。

参考:מפא”ת חושף: פריצת דרך בפיתוח לייזר רב-עוצמה

イスラエル、米国やロシアでさえ手間取るレーダー兵器の有効射程延長と小型化に成功か?

今回、イスラエルが開発に成功したのは、従来の防空システムでは迎撃が難しいロケット弾や砲弾(迫撃砲弾を含む)を迎撃できる「アイアンドーム」を補完する、電力を使用したレーザーベースの迎撃システムで、これは研究用のプロトタイプではなく実用的に耐えるレベルのものが完成した=実用化に成功したという意味だ。

開発に成功したレーザーベースの迎撃システムは、無人航空機に搭載し雲の上で迎撃するタイプ、車両に搭載され移動中の装甲車両を保護するタイプ、地上に固定配備されアイアンドームに追加の迎撃階層を形成するタイプの3つに分かれている。

出典:イスラエル国防省が公開した動画のスクリーンショット

出典:イスラエル国防省が公開した動画のスクリーンショット

出典:イスラエル国防省が公開した動画のスクリーンショット

出典:イスラエル国防省が公開した動画のスクリーンショット

イスラエル国防省は、同技術への長年の投資や、防衛企業、研究者の努力により開発に成功した新技術のおかげで、大気中の乱れを克服し、距離の離れた目標に対しレーザービームを安定して照射できるようになり、レーザー開発における「ブレークスルー」を果たしたと述べている。

このレーザーベースの迎撃システムは今後、イスラエル北部にある極秘の場所で約半年間フィールドテストを行い問題がなければ、実戦で使用するためガザ地区の国境沿いに配備する予定だ。

今の所、実用レベルに達したレーザーベースの迎撃システムを実用化した国は、米国の艦艇搭載用レーザー兵器「HELIOS(ヘリオス)」だけだが有効射程(約1.6km)が短く、イスラエルはこの問題を解決し、レーザーの有効射程を延長することに成功したことになる。

出典:Public Domain AN/SEQ-3レーザー兵器システム「HELIOS(ヘリオス)」

さらに付け加えるなら、米国やロシアでも開発に手間取っているレーザー兵器の小型化(無人機や車両などに搭載可能なレベル)にも成功したことになり、もしこれが事実なら革命的な出来事になるだろう。

イスラエル国防省は、今回のレーザーベースの迎撃システムにはイスラエル以外の資金が入っていない=米国が開発に関与していないことを強調しており、要するにレーザーの有効射程を延長や小型化を実現した新技術(詳細不明)は、イスラエルだけが保有しているという意味だ。

これが中国の発表なら眉唾ものだと聞き流せるが、実戦経験が豊富で、シリアやガザ地区から発射されるロケット弾の脅威に晒され続けているイスラエルが公式に発表したと言うことは、恐らくは実用化への自信を持っているのだろう。

 

※アイキャッチ画像の出典:イスラエル国防省

生まれ変わるギリシャ空軍、F-16V導入に続いてF-35プログラムへの参加を希望前のページ

イラン軍がウクライナ旅客機を撃墜? 墜落現場で対空ミサイルの残骸が発見される次のページ

関連記事

  1. 中東アフリカ関連

    米蘭がウクライナに引き渡す近代化されたT-72B、オリジナルの提供はモロッコか

    米国とオランダがアップグレードを施した90輌のT-72Bをウクライナに…

  2. 中東アフリカ関連

    ロシア海軍初のアフリカ拠点建設はバイデン政権が阻止、スーダンが協定修正を正式に要求

    ロシア海軍初のアフリカ拠点建設が中断、スーダンが荷物をまとめて出て行く…

  3. 中東アフリカ関連

    武力行使の可能性が高まる中、エチオピアは「戦闘機でダムは破壊出来ない」とエジプトを挑発

    エチオピア国防省で技術部門のトップを務めるデベレ将軍は「大エチオピア・…

  4. 中東アフリカ関連

    ニジェールは3年以内の民政移行を提示、ECOWAS側は受け入れない

    ECOWASとニジェールは軍事介入を回避するための協議を20日に行った…

  5. 中東アフリカ関連

    イスラエル、何らかの方法でF-35Iの航続距離を拡張することに成功

    イスラエルは何らかの方法でF-35Iの航続距離を飛躍的に拡張することに…

  6. 中東アフリカ関連

    イスラエル、GNSS拒否環境下でも作動する新型ミサイル「SEA BREAKER」を発表

    イスラエルのラフェエルは30日、海上や陸上を移動する目標と交戦可能な新…

コメント

    • 匿名
    • 2020年 1月 09日

    動画を見るだけだとジョークネタにしか見えませんが(笑)

    どうなのでしょう。照射時間がやたら短く表現されてるのも気になりますし、実物を一切出さない理由も不信感を抱かせるだけでマイナスにしかならないと思うのですが、正直に言えば何のためにこんなものを公表したのかと首をかしげる出来ですね。

    • 匿名
    • 2020年 1月 09日

    アイアンビームかな?
    >ロケット弾や砲弾(迫撃砲弾を含む)を迎撃
    って記事に書かれてる様にアイアンドームのミサイルで迎撃すると費用対策費がクソ悪い用みたいですね。 射程は7km(2kmとも)
     前に管理人さんが書かれてた「ダヴィデズスリング(ダヴィデの投石機)」とは別物
    アイアンドームが対応できない、WS-1(衛士1)、ファジュル5、ファジュル3用では無いもたいですね(ハマスが持ってるます)

    アイアンビームの参考記事:2014年の産経
    タイトル:SFが現実に、「レーザー兵器」が実現する“スターウォーズの世界”…イスラエルが実戦配備、世界の防衛システムが変わる
    リンク

    1
    • wyuki
    • 2020年 1月 09日

    兵器とは関係ナイですが。
    1999年からレーザー溶接を主に仕事してます。
    レーザー業界に於いてのイスラエル。
    実はかなりのポジションに在ります。
    これは業界の常識です。
    そんなイスラエルがレーザー兵器を実用化!
    在り得ない話ではナイですね。

    2
    • 匿名
    • 2020年 1月 10日

    低空域におけるレーザーが実用化されたという事は高空域、例えば高度2万メートル程度だとそれなりの遠距離まで届くという事ではないだろうか
    レーザーを装備した爆撃機の編隊がミサイルを無効化しながら敵地上空を悠々と飛行するというB29の悪夢再びなんて事になるのかしら

      • 匿名
      • 2020年 1月 10日

      大出力の電源が搭載できるのか? が問題になるのでは?

        • 匿名
        • 2020年 1月 11日

        ドローンや車両に搭載出来るんだし余裕でできるでしょ

      • 匿名
      • 2020年 1月 11日

      イタチごっこだからそうなったらより強力なレーザーもった迎撃機が迎え撃つか
      より高空の衛星軌道上からレーザー迎撃衛星が狙撃する世界になると思う
      最終的にはレーザー発振器の出力競争になるね

    • 匿名
    • 2020年 1月 10日

    本邦開発システムも頑張って欲しいところではあるな。
    イメージ図
    リンク
    本文
    リンク

    • 匿名
    • 2020年 1月 10日

    エスコンじみてきたなぁ

    1
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  2. インド太平洋関連

    米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を…
  3. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  4. 中東アフリカ関連

    アラブ首長国連邦のEDGE、IDEX2023で無人戦闘機「Jeniah」を披露
  5. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
PAGE TOP