イスラエルは攻撃ヘリについて「無人航空機によって戦場から追い出され時代遅れになる」と考え、AH-64A/Dの更新を予定していなかったが、ガザ戦争で「AH-64は依然として地上戦に不可欠な必需品だった」と認識し、退役予定だったAH-64A/Dの維持とAH-64Eの新規調達を決定したらしい。
参考:Israel’s new Apache buy a result of lessons learned since Oct. 7: Analysts
イスラエルが実戦経験に基づいて「パイロットが搭乗する攻撃ヘリは地上作戦に必要不可欠である」と結論づけたのは中々興味深い
Wall Street Journalは2025年9月「トランプ政権がイスラエルに対する60億ドル相当の武器売却計画を進めている」「AH-64E×30機(38億ドル相当)、歩兵戦闘車輌×3,200輌(19億ドル相当)、装甲兵員輸送車や支援部品(7.5億ドル相当)が含まれる」と報じ、国務省は先月30日「AH-64E×30機や関連装備を含む対外有償軍事援助(推定38億ドル)を承認した」と発表し、この動きは「イスラエルがイランの無人機を迎撃するのに攻撃ヘリが有効だと認識しているからだろう」と考えていたが、実際には「戦場における攻撃ヘリの有効性」が再確認されたためらしい。

出典:Israel Defense Forces
Breaking Defenseの取材に応じたイスラエル空軍の元司令官=エイタン・ベン・エリヤフ元少将は「これはガザでの戦争から得られた教訓だ。攻撃ヘリは無人航空機によって戦場から追い出され、時代遅れになると思った時期もあったが、今回の戦争で学んだ教訓はそれとは異なるものだった。AH-64は依然として戦場、特に市街戦や特殊部隊の作戦において不可欠な必需品だった」と、米シンクタンクのFoundation for Defense of Democraciesも同様の見解を示し「ガザでの戦争以前はヘリ部隊を徐々に縮小し、その任務を無人機に移行させる概念が支配的だった」と指摘した。
イスラエルも老朽化して寿命が尽きかけていたAH-64Aを退役させ、AH-64Dも運用寿命が尽きるまで維持し、新たな攻撃ヘリの導入を予定していなかったが、ガザでの戦争でAH-64の重要性が証明されると「AH-64AとAH-64Dの維持」と「AH-64Eの新規取得」が決定され、イスラエルのシンクタンク=The Jewish People Policy Instituteも「イスラエルはドローン、スタンドオフ能力、長距離航空機により重点を置いてきたが、今回の動きは軍が地上部隊への近接航空支援や国境警備において攻撃ヘリの必要性を明確に重視していることを示している」と述べている。

出典:Israel Defense Forces
攻撃ヘリの将来性や有効性については賛否が分かれているものの、イスラエルが実戦経験に基づいて「パイロットが搭乗する攻撃ヘリは地上作戦に必要不可欠である」と結論づけたのは中々興味深く、AH-64を保有する国も無人機と協調能力を強化したV6バージョンへのアップグレードを、オーストラリアやポーランドはAH-64Eの新規取得を進めており、ドローン戦争を経験しているロシア人コミュニティでも「攻撃ヘリ不要論」は登場していない。
因みに攻撃ヘリの廃止を打ち出したのは日本のみで、武装可能な無人航空機(MQ-9やTB2など)の運用経験もないのに「AH-64DとAH-1Sを廃止して無人機に任務を移行する方針」を2022年12月に発表したが、本当にこれで良かったのだろうか?

出典:GA-ASI Mojave
日本は陸続きではなく島国、AH-64Dのサポートが切れる、保有数が少なく効果的な運用が困難など攻撃ヘリ廃止を擁護する理由は幾らでも思いつくが、UCAVをまともに運用したことがないのに「日本の独特な運用環境で攻撃ヘリの任務をUCAVで肩代わりできる」とどうやって判断したのか謎だ。
関連記事:トランプ政権、AH-64Eや歩兵戦闘車輌3200輌のイスラエル売却を計画中
関連記事:AH-64に追加の弾薬庫を提供する無人機、UH-60の無人バージョンが登場
関連記事:米陸軍、無人機迎撃においてAH-64Eは移動型防空プラットフォームだ
関連記事:米陸軍は空中発射効果を重視、次世代ヘリに対する高速性は優先度が低下
関連記事:米国務省がポーランドへのAH-64E売却を承認、120億ドルで96機
関連記事:トルコにウクライナ製エンジンが到着、重攻撃ヘリ「ATAK2」が今月中に試験を開始
関連記事:トルコ、AH-64Eクラスの国産重攻撃ヘリ「ATAK2」にウクライナ製エンジンを採用
関連記事:センサーとシューターの分離が進む中国、UAVによるミサイル誘導に成功
関連記事:陸自がAH-64やAH-1Sを廃止、海自もP-1とSH-60Kを削減して無人機で代替
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Army photo by Sgt. Vincent Levelev




















日本の有人ヘリ不要論は酸っぱいブドウっぽいからなぁ。
どういうこと?
調達がうまくいかなかったから「攻撃ヘリなんて今時もう要らん」と言ってるんだ、ということでしょう(イソップ寓話「あのブドウは酸っぱい」参照)。
補足ありがとうございます。
最近、AIの察しの良さに甘えて、言葉が足りないのかなと思うことが増えてきました。
2023年6月初め、ウクライナ軍による反転攻勢を阻止した主な立役者はロシア軍のKa-52攻撃ヘリでした。
このことから、『戦闘ヘリは、攻撃側が使う分には大きなリスクを伴うが、防御側が使う分には以前として効果的な兵器である』と結論づけられたはずです。
今後、ロボット犬などの自立型兵器が地上を跋扈するなら、なおのこと高い火力投射能力を持つ戦闘ヘリは重要ではないでしょうか。
>>、防御側が使う分には以前として効果的な兵器である』と結論づけられたはずです。
これは言い過ぎです。Ka-52攻撃ヘリが最終的にATACMSで全滅したことを受け、「攻撃ヘリは多数の偵察手段と長距離攻撃兵器を両方持つ相手にはキルチェーンに組み込むほど攻撃の反復性を維持するのは難しい」との反対意見が挙がっています。
攻撃ヘリは特性上衝突地点から縦深300km圏内に拠点を設けなければなりませんが何度も出撃できるほどの中規模以上の基地を近くに維持するのは難しく、火消しや奇襲に使うのが限界だと言われています。
その「防御の形が」って話だからね
敵の装甲車や戦車が縦列になって自勢力下に進軍してきたら超効果的
こっちの塹壕に向け敵歩兵が迫ってくる環境や、敵味方がお互いに塹壕や相手の後方にドローン飛ばしあう戦場も出番なし(極少数ながらドローンの迎撃をヘリが行ってる動画はある)
本来ならUCAVと攻撃ヘリを同時運用して問題点を洗い出すべきなんでしょうけど、自衛隊にそんな予算も人員もありませんからね
オスプレイに予算吸われましたからね…
個人的には戦闘ヘリの有効性には懐疑的です
ハマスを相手にする国と人民解放軍を相手にする国を同列にするのはちょっと
陸自は、それほど空自・海自に予算額の差を付けられているわけでもないのに、人件費比率が高すぎて、装備費が悲惨ですよね。
まぁそりゃ、陸さんの隊員数は海空合わせた数より多いのでそうなるわなって…
そもそも日本の攻撃ヘリ不要論というか、汎用ヘリ以外いらない宣言はAH-64Dの導入失敗とOH-1の不具合と談合の不信感に加えて、オスプレイの運用コストと佐賀の墜落事故が追い打ちになったのではないだろうか
その割にはOH-1も改修を続けて運用を続けているし、後継を決めるのにまた長い時間をかけているのではないか
そんな事より佐賀の墜落事件が8年前という方が衝撃的だが
オスプレイの導入は陸自が普天間の海兵隊と共に対台湾斬首作戦阻止に参戦するという強烈なメッセージとして台湾侵略のハードルを上げて抑止効果を発揮したと思うよ。
自分はもがみ型の機雷戦能力付与・いずも型の空母化とF-35B導入・水陸起動団創設・オスプレイ導入・・・これら全ては台湾有事を想定したものであり政府と自衛隊はかなり前から参戦を決意していたものと考えている。
海兵隊も自衛隊もオスプレイの護衛って何でやるんだろ?
攻撃ヘリじゃ足の長さも速さも足りないし。
F35で露払いして安全確保して着陸かな?
作戦実施は遂行期間中の航空優勢確保が前提、でしょう。
イスラエルは完全に非対称戦だし米国の物凄い援助もあるから、それが他の国に当てはまるとは思えませんが無人だけ、有人だけと極端に振れる必要は無いのでしょうね。個人的には命の危険をとして人が乗る必要無いと思いますが。
そうですね。
もしハマスが有力な対空陣地を構築していたら?
もしハマスが戦闘員に携帯型対空ミサイルを潤沢に配備していたら?
もし十分な国防予算や国防意識がなかったら?
もしアメリカの支援がなかったら?
上記の条件が一つでも欠けていれば、
有人ヘリによる戦闘任務の遂行は困難ではないかと思われます。
そして日本の場合ですが、
装備の優先度は経済・人員の観点から
ドローン >>>>> 戦闘ヘリ
にならざるを得ないのではないでしょうか。
熟練搭乗員の首振り視認と判断速度は遠隔カメラ通じてのそれを上回りますが、AIが人間の熟練度を上回るのはそう遠くない未来だと思います。熟練搭乗員を養成・維持するコストを考えれば、いずれ無人機に移行するのが時代の流れでは。
本邦について言えば少子高齢化を踏まえ、人的損耗を極限し長期連続運用が可能な点等から、有人機の任務代替を通じた無人化・省人化により装備体系・組織の最適化の取組を推進する、と国家防衛戦略に明記されています。
国ごとに必要な装備も違いますからね。極端な話、チェコやスイスが「陸上イージスを買う」と言うならともかく、「イージス艦を買う!」とか言い出したら絶対にそんなの要らないってなるでしょうし。
(米軍でさえも)予算の制約があるわけで、日本がどの装備を重視するのか非常に難しい問題ですね。
イスラエルは、武装勢力~国家まで敵対勢力が幅広いわけですから、攻撃ヘリ活用の場面もあるかと思いますが。
日本は、中露北と相対していうるえに中国の軍事力が急拡大を続けているわけですから、陸海空あれもこれも増強に追われており難しい状況だなと感じます。
一応陸自の攻撃ヘリについて、令和7年度(2025年)の調達予定品目を見ると、攻撃ヘリのエンジンオーバーホールや、整備部品を、令和11年度(2029年)まで継続的に調達する予定なので、早急に全廃するわけではないみたいです。
おそらく今後の軍事情勢、UCAVの能力評価を経て最終的にどうするのか猶予は持たせてると思います。
ただ陸自の攻撃ヘリの導入数の少なさ更新頻度の遅さ考えるとそこまで重要な兵器とは考えてないではと思います。
海自のSH-60哨戒ヘリなんどんどん更新してますからね。
ガザのゲリラ程度の相手にならそりゃ有用でしょうよとしか
凄まじい勢いで対空兵器を充実させながら航空優勢もがっつり握ろうとしてくるであろう中国相手にAH投入したとして、前線任務には耐えられないと思う
UAV狩りとか後方に浸透した敵の掃討とかやれる事はあるだろうけどそれほんとにAHじゃないとダメなん?(´・ω・`)
陸自のAH廃止が後ろ向きな理由が発端だとしても、結論としてはそう間違ってないと思いますね
陸自に攻撃ヘリが必要と言ってる人は中国がそんなに防空力低いと見積もってるのかと聞きたくなる
国内でゲリコマ化したスパイを掃討するなら効果的かもだが、ミサイルや無人機を相手に長い海岸線や制空範囲をカバーするのにヘリコプターだとなあ。速度と高度、航続距離的にどうなのよって思う。上陸する可能性も考えると残すなりUH-60の武装型は欲しいかもだが。
まあコレも素人考えでしかないし、やっぱりダメだと思ったら方針転換するでしょ。多分。
防衛力整備計画では「既存ヘリコプターの武装化等により最低限必要な機能を保持する」とあり、自衛隊も有効性を完全否定している訳ではないですね。ガサ地区での殺戮に効果があったとしても対中国、離島防衛で有効かは何とも言えないところですが。
>>「AH-64DとAH-1Sを廃止して無人機に任務を移行する方針」を2022年12月に発表したが、本当にこれで良かったのだろうか?
ロングボウ調達に大失敗して巨額の予算を浪費した挙句、政治案件で優先度の低いオスプレイ(高性能なのは認めるが、少なくとも防衛費が極小の5兆円だった時代に買うべきものではない)に残った予算を吸われて、自然原毛で戦う前から全滅してたのが廃止の原因なので、別にドローンが活躍しようがしまいが関係なかったでしょう(絶望)
そうなんですよね。
これまで調達も運用も上手く回って完璧に機能してたというなら「UAVや汎用ヘリで代替できるのか?」となるけど、
現状が正直グダグダにしか見えないんで、ならこの機会に屋台骨から抜本的に見直してください、としか…
日本のミリオタ諸氏はフツーに逆張りするから何を言ってても鵜呑みにしてはいかん
予算との兼ね合い、優先順位の問題かなぁと
人民解放軍相手では攻撃ヘリの生存性に疑問がつき、そもそも攻撃ヘリに当てるべき人的資源の余裕がない
攻撃ヘリに当てる人員はいっそシーガーディアン辺りに割り振った方が良いという側面はあるかと
少子化の問題がある以上取捨選択は否が応でもするしかないですからならば陸のユニットよりも海のユニット優先するという事では
>人民解放軍相手では攻撃ヘリの生存性に疑問
蓋然性の高い想定戦場が南西諸島地域ですからね。運用に適した本土侵攻戦でなら一定の生残性は期待できますが。
少子高齢化を背景に隊員の人的損耗を極限する方策として、「有人機の任務代替を通じた無人化・省人化により、自衛隊の装備体系、組織の最適化の取組を推進する」ことが国家防衛戦略に謳われています。
来年度予算に計上され各種無人アセットで構築する「多層的沿岸防衛体制(SHIELD)」がAHを代替する将来構想かと。
攻撃距離の異なる小型攻撃用UAV3種の他、小型多用途USV/UUVも陸自運用としているのが興味深いところです。
イスラエルはオールタンクドクトリンで新奇な意見に懲りてますし、日本は大艦巨砲主義で保守的な意見に懲りてますからね。
戦闘機無用論も後から批判するのは簡単ですけど、レーダー開発前の航空機は全てステルス機って視点で見ると成り立ってる様にも見えます。
傍から見てる分には面白いんですけどね。
そもそも攻撃ヘリの誕生経緯が武装ヘリだと輸送ヘリに随伴出来ない問題にあるわけですが、SAMの発展した今の時代に輸送ヘリを護衛しながら敵地に侵空させて空挺降下させるような任務は不可能なわけで、小規模部隊として攻撃ヘリを維持しておくメリットは薄いでしょう
武装ヘリでいいというのは妥当な判断に思います
UH-2とチヌーク増やしてくれた方が陸自の現場は喜びそう
なんなら陸自のヘリパイもT-6課程ありにしてAT-6でCASしてもらおう
武装汎用ヘリで死んでこいよりマシだと思う
北海道での対ロシア向けの牽制アピールとして1-2飛行隊位は配備していてほしいかな。
国防予算は限られているだけにアレですが。
攻撃ヘリの廃止は陸自の調達行政の失敗の裏返しでしょうから、少し懐疑的な面もあるかと思います。
ドローン狩りや上陸時などの機雷排除には攻撃ヘリは有効でしょうがアパッチガーディアンは高すぎると思います。そりゃ費用対効果は突っ込まれるかなと。
どうせならAW249あたりの比較的安い機体でも代替でいれればいいのかもしれませんが。
イタリアとはGCAPで組んでいるし、AW249はアリですね