Israel Aerospace Industriesはベルリン国際航空宇宙ショーで空中発射式の戦術弾道ミサイル「AIR LORA」を公開、米国のWAR ZONEは「厳重に守られた地域にアクセスしなければならない航空機の生存性を劇的に向上させる」と報じている。
参考:AIR LORA Deep Stand-Off Air to Ground Missile
参考:Air LORA, Israel’s Biggest Air-Launched Ballistic Missile, Emerges From The Shadows
弾道ミサイルの空中発射バージョンは攻撃側に射点の自由度をもたらすため対処側の負担がより増える
Israel Aerospace IndustriesはAerospace Exhibition ILA in Berlin(ベルリン国際航空宇宙ショー)で空中発射式の戦術弾道ミサイル「AIR LORA」を公開、これと同タイミングで公開されたイメージ映像ではAIR LORAがF-16、F-15、P-8に統合可能だと示唆しており、WAR ZONEも「高度な地上配備型防空システムは破壊すべき目標に接近しようとする戦闘機をどんどん遠ざけており、そのため各国は空中発射型の長距離兵器に投資を増やしている。そのような環境下でAIR LORAは有効な選択肢の1つになるだろう」と評価している。
Day 2 of #ILA24, and a highlight is the debut of the new air-launched version of #LORA ‘quasi-ballistic’ missile, dubbed Air LORA. @ILAerospaceIAI official tells me F-16 trials have been completed, though declined to say if already operational. An absolute beast of a missile… pic.twitter.com/NT9v6c52Pv
— Gareth Jennings (@GarethJennings3) June 6, 2024
AIR LORAは地上発射型の戦術弾道ミサイル「LORA」から発展したもので、ロシア軍がMiG-31Kで運用する極超音速ミサイル「Kinzhal=実質的には地上発射型Iskanderの空中発射バージョン」に類似した兵器だが、弾道ミサイルの空中発射には「素早く射点に運搬できる」「加速された状態で運用なので射程距離を拡張できる」といった利点があり、ロシアだけでなく中国も対艦弾道ミサイル「CM-401」の空中発射バージョンをH-6Kで運用中だ。
一般的に巡航ミサイルは射程と命中精度に優れ、レーダーの死角=低空を這うように飛行するため「検出されにくい」という特性を持っているが、飛行速度が亜音速なので目標に到達するまで時間がかかり「対処のための時間的な余裕が比較的長い」というのが欠点で、逆に弾道ミサイルは巡航ミサイルよりも射程と命中精度に劣り、弾道コースで飛翔してくるためレーダーによる検出自体は容易だが、超音速で目標に接近(落下段階の最終速度は極超音速域に達する)して来るため対処時間が短く、弾道弾迎撃に対応した防空システムでしか対処不可能という特性をもつ。
要するに巡航ミサイルと弾道ミサイルの異なる特性は「対処時間」と「対処方法」に違いをもたらし、特に後者は目標を検出できても弾道弾の下層迎撃に対応したPatriot、SAMP/T、S-300/400でしか対処できず、弾道ミサイルの空中発射バージョンは攻撃側に射点の自由度をもたらすため「対処側の負担がより増える」という意味だ。
LORA(AIR LORA)にIskanderのような迎撃を回避する機動が可能なのか、移動目標に対応したシーカーを搭載しているのか、電子妨害に対する耐性がどの程度あるのかなどは分かっていないが、WAR ZONEは「AIR LORAの最終速度は極超音速域に近く、必要な時間内に目標の座標が確定できれば移動式の防空システムや弾道ミサイルなど『一刻を争う目標』の攻撃に適した兵器だ」「AIR LORAの射程は公表されていないものの運用プラットホームの速度と高度を加味するとLORAの射程(175マイル)を大きく超えるはずで、厳重に守られた地域にアクセスしなければならない航空機の生存性を劇的に向上させる」と述べている。
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※アイキャッチ画像の出典:Israel Aerospace Industries
イスカンダルやATACMSの精度は駐機したヘリコプターや車サイズの移動可能な目標を打撃する精度は実戦で証明された
従って、もはや弾道ミサイルは巡航ミサイルよりも射程と命中精度に劣りとは言えないのではないかと思う
核弾頭搭載可能なら、イスラエルにとっては第二撃能力としても使えそうだな
今まで爆撃機や大型双発機で撃ってた物が、F-16から撃てるって事は、運用できる機体は結構多そうですね
航空機からある程度の高度から発射すことによって、上昇の際のミサイル側の燃料を大分節約できるし、飛翔コースの自由度があがって迎撃も困難になるし、メリット多いですからねえ。
これからの戦争にマストな一本になりそうです。
”高度な地上配備型防空システムは破壊すべき目標に接近しようとする戦闘機を
どんどん遠ざけており、そのため各国は空中発射型の長距離兵器に投資を増やしている。”
そう思います。
そして、亜音速の巡航ミサイルは、比較的にせよ、迎撃が容易い様に見えます。
少なくも、ウクライナの防空戦闘の経過を見るとそう思えます。
そうなると、超音速ミサイルが必要で、SRBMの転用は当然なのでしょうか。
いろいろ改良はいるかもしれませんが
これで、衛星攻撃も可能になるのでしょうか?
イスラエルのことだから、もしかするとそれぐらいは考えていそうな気がします。
イスラエルの仮想敵国(勢力)に衛星運用国があると?
イランがハイヤームという偵察衛星を運用しているらしい。
イスラエルの敵国が自国を偵察する衛星を迎撃するのなら、地上配備型のSM-3を採用計画してるらしいので、採用する気ならそこまで無茶な採用はしないのでは無いでしょうか?
SM-3は偵察衛星のUSA-193を高度247kmで撃ち落とした実績がありますし、最大迎撃高度が500kmらしいのでやろうと思えば出来るしょう。
似たような物としてRampageがあるけど開発に協力はしたけど別メーカーで重量と弾頭が1/3で射程も1/2ッぽいから棲み分けは出来るのかな。
ナゴルノ・カラバフで橋の攻撃使用されたんだからイスカンデルM位の精度は出ている感じでスピードも似たような物。重量は1/2以下でも弾頭重量と射程は似たような感じだが、元になったLORAは橋の破壊が中途半端で威力不足が指摘されているけどイスカンデルMは重量により威力が増えてるのかな?LORAとイスカンデルMが似たような威力で技術があるならロシアはイスカンデルMをLORA並に小型軽量化出来る可能性が出てくるんだよな。IAIにハッキングでもしてパクった物を作れば搭載機も増やせてコストも下げられそうで結構な恩恵は受けられそうだが。
イスラエルとしては、この時期に弾道ミサイル発表。対決姿勢を強めてるヒズボラや後ろのイランに対する威嚇でしょうか。(戦術核搭載可能ですし)
お互いエスカレーションしないと良いですが。イスラエルは、マジで撃ちますからね…。
下のコメントにもありましたが、戦術核弾頭搭載可能って話はどこから出てきたのでしょう。
イスラエルの核技術はそこまで洗練されていなくて、大型のジェリコ3弾道ミサイルとか、F-16/15からの投下爆弾型しかないと思っていましたが。
ダブっますね。更新ミスです。すみません失礼致しました。
戦術弾道ミサイルのタイプ
間違いです。
この時期に戦術核搭載可能な弾道ミサイル発表って、ヒズボラやイランに対する威嚇・警告ですかね?
(前から決まってるかもしれませんが)
ネタニヤフは、ヒズボラとはやる気満々なので…。陸軍、国境付近まで動かしてましたよね。
イスラエルはマジで撃ちそうなので、心配です。
戦術弾道ミサイルは「短射程の弾道ミサイル」のことで「戦術核兵器を搭載する弾道ミサイル」という意味ではありません。
すみません失礼致しました。
戦術弾道ミサイルのタイプ間違いです。
携帯からの予測機能を使った投稿で、タイプミス・書込みダブりもございます。
お忙しい中、お手数をお掛けする事になり、大変申し訳ございませんが、削除をお願い致します。
宜しくお願い致します。
キンジャールみたいなもんか
撃墜出来ないが当たらない
ただ核搭載なら爆発半径がキロになるから少々関係ないんだよね