中東アフリカ関連

イスラエル、潜航中の潜水艦から発射可能なUAV「Ninox103UW」を披露

イスラエル企業のSPEARは潜航中の潜水艦から発射可能なUAV「Ninox103UW」を披露、米国防総省やイスラエル国防軍が同システムに関心を示しているらしい。

参考:Spear unveils submarine-launched Ninox 103 drone

もはやUAVがもたらす戦場認識力の拡張は「潜水艦」も無縁ではいられないのだろう

米海軍は米エアロバイロメントが開発した水中発射型UAV「Blackwing(Switchblade300ベース)」が潜望鏡とソナーに限定された潜水艦の戦場認識力を拡張させるのに有用性だと確認、これをバージニア級やロサンゼルス級に配備するため2021年3月にBlackwingを120機発注、この動き続きインド企業のラーセン&トゥブロも「印海軍向けに水中発射型UAVを開発する」と発表したが、今度はイスラエル企業のSPEARが潜航中の潜水艦から発射可能なUAV「Ninox103UW」を披露して注目を集めている。

オランダの防衛展示会で披露された「Ninox103UW」の開発は相当進んでおり、昨年バージニア沖で実施された演習で国防総省の関係者向けにデモンストレーションを披露、イスラエル国防軍も評価テストを行っている最中で、SPEARの関係者は「Ninox103UWを潜水艦へ組み込むに大きな改修は必要なく、潜望鏡では得られない範囲の認識力と上空から視点を潜水艦にもたらす」と説明しているのが興味深い。

つまり米国もインドもイスラエルも「潜望鏡とソナーに限られた潜水艦の状況認識をUAVで拡張すべきだ」という認識で一致、英国のJanesも「米海軍がBlackwing導入を進めているためULUAV(水中発射型UAVのこと)開発に世界的な関心が集まっている」と報じており、もはやUAVがもたらす戦場認識力の拡張は「潜水艦」も無縁ではいられないのだろう。

出典:AeroVironment

最近、潜水艦とUAVの連携や水中発射型UAVに関する話題が増えており、そろそろ大きな動きへと発展するかもしれないので今後も継続して注目していく必要がある。

関連記事:米海軍が導入中の潜水艦から発射可能なUAV、インドも自国軍向けに開発を発表
関連記事:潜水艦と無人機の連携、米海軍が原潜で使用する水中発射型UAVを120機導入

 

※アイキャッチ画像の出典:SPEAR

豪前国防相が原潜導入計画を暴露、AUKUSのパートナーシップに悪影響か前のページ

セベロドネツクで戦うウクライナ軍、最後の橋を失い補給路を失う次のページ

関連記事

  1. 中東アフリカ関連

    サウジアラビアも韓国製防空システムを導入、天弓2の契約額は約32億ドル

    申源湜(シン・ウォンシク)国防部長官のサウジ訪問に合わせて韓国とサウジ…

  2. 中東アフリカ関連

    イラン、アルメニア支援のため戦車200輌を含む部隊を国境沿いに派遣

    イランはナゴルノ・カラバフ地域を巡るアルメニアとアゼルバイジャンの戦い…

  3. 中東アフリカ関連

    ニジェールは3年以内の民政移行を提示、ECOWAS側は受け入れない

    ECOWASとニジェールは軍事介入を回避するための協議を20日に行った…

  4. 中東アフリカ関連

    欧州の国外退避が本格化、スーダンの首都郊外に仏独の輸送機が到着

    スーダンの首都から約30km離れたワディ・セイドナ空軍基地にフランス、…

  5. 中東アフリカ関連

    イラン、1,800km離れた海上の目標に弾道ミサイルを命中させたと発表

    イランは16日、敵水上艦艇に見立てた目標にイスラム革命防衛隊の弾道ミサ…

  6. 中東アフリカ関連

    エジプトはロシアへの武器売却を断念、逆にウクライナへの砲弾供給を承認

    エジプトは122mmロケット弾を秘密裏にロシアへ供給する計画を進めてい…

コメント

    • あかさたな
    • 2022年 6月 12日

    エスコンで見た光景が現実に

    4
    • おわふ
    • 2022年 6月 12日

    日本の潜水艦にも、そろそろ何らかの垂直射出機構が必要そう

    9
      • WSO
      • 2022年 6月 12日

      そんなあなたにここの過去記事を紹介します

      2021.12.30 (日本関連)
      【日本政府、海自潜水艦への巡航ミサイル搭載や垂直発射装置採用を検討中】

      15
    • 匿名
    • 2022年 6月 12日

    潜水艦との通信はどうするの?って思ってたが
    動画見ると攻撃するのは水上艦で潜水艦にデータを送る訳ではないのね

    7
      • 2022年 6月 13日

      え、なにそれじゃ、潜水艦が発射位置バラすだけで潜水艦なにも徳しなくね?!

        • うみ
        • 2022年 6月 13日

        流石に数10〜数100km単位での距離の話だろうから、潜水艦の存在はバレないと思うよ。
        switchBladeベースなら、このUAV自体にも攻撃力があるか、それでなくても直接敵を検知し続けられる物があれば、攻撃精度や監視にも有利だと思う。
        わばわざ近距離に近づいて魚雷撃たなくても攻撃に参加できるし、潜水艦としても良いと思う。

        1
          • 匿名
          • 2022年 6月 13日

          動画を見ると航続距離10キロ滞空時間45分ただし海上からの発射まで24時間の遅延が可能
          となっている模様

    • もり
    • 2022年 6月 12日

    UAVはUUV以上に日本の弱点となっているからなぁ
    国産機の開発・搭載は先行国の10年ー15年遅れくらいになりそうだ

    6
    • 無無
    • 2022年 6月 12日

    やがて海自の潜水艦戦術も変わるのかな、今までの待ち伏せ探知配備は無人潜水艦に任せて、UAVやらミサイルを搭載した潜水艦が艦隊と行動を共にする
    そこには原潜である必然性も生まれてくるだろうな

    5
    • 無無
    • 2022年 6月 12日

    やがて海自の潜水艦戦術も変わるのかな、今までの待ち伏せ探知配備は無人潜水艦に任せて、UAVやらミサイルを搭載した潜水艦が艦隊と行動を共にする
    そこには原潜である必然性も生まれてくるだろうな

    2
      • ごめんなすって。
      • 2022年 6月 13日

      確かにこの様子だと、戦術の転換が起こりそうに思えます。

      で、無人機導入と共に。静粛性だけでは戦えず動力性能が要求されて、いよいよ原潜を解禁する事になりそうで。

      現実的には、バージニア級を範として作る事になるのでしょうね。意外にも、豪州と足並み揃えて原潜を…なんて事になったりして。

      6
    • kojima
    • 2022年 6月 12日

    潜水艦から航空機…晴〇…伊4〇0…うっ頭が…

    航続距離で劣るドローンを安全に前線に持っていけるのはいいかもしれないですな
    いくらステルス機でも潜水艦よりは隠密性で劣るだろうし

    6
      • 名無し
      • 2022年 6月 12日

      対潜能力に劣る相手ならともかく航続距離と稼働時間の短いUAVを前線でぶっ放すのは危険な気がするなぁ…

      7
    • AH-X
    • 2022年 6月 12日

    すげーな。日本も潜水艦ガーとか言うならこの手の無人機にもっと注目するべきだが。

    2
    • エポキシパテ
    • 2022年 6月 12日

    旧日本海軍が偵察機を潜水艦に乗せてた時代から四分の三世紀、ついに潜水無人機空母が…(違)

    4
    • 黒丸
    • 2022年 6月 12日

    水上艦を対艦ミサイルで遠方から攻撃できたたとして、
    着弾・爆発音は聴音でわかっても具体的なダメージや戦果把握は難しいと思う
    敵揚陸艦や空母といった最重要目標にダメージ与えても、その周囲の護衛艦は殺気だっているから
    偵察機での即時の戦果把握も困難だと思うし、衛星だと即時性や詳細把握が困難
    着弾直前に画像データリンクも上手くいくかは保証できない。
    そんな時に潜水艦発進のこういうのがあれば、戦果把握ができるし
    待機している潜水艦による追加攻撃の必要有無も把握できて便利だと思う。

    6
      • 匿名
      • 2022年 6月 12日

      まさにそこですよね
      ミサイルが命中したのか否か、命中したならどこに当たったのか、ダメージはどのくらいで追加攻撃の必要性はあるのかどうかというのは確認しなければならず、敵が大破しているのに無駄撃ちでミサイルを浪費するとか逆に大した損傷を与えていないのに撃破判定を下すのは避けたい所
      こういった事はレーダーの画面とにらめっこした所で分かりませんからね
      現状だと哨戒ヘリがそういった攻撃効果の観測をしてますけど、これまた高価で貴重な哨戒ヘリを現場に飛ばすのはリスキーだと判断されればそうもいかず
      米海軍が潜水艦のみならず水上艦にもUAVを載せようとしているのはそういった事が背景にあるからかもしれません

      6
    • WSO
    • 2022年 6月 12日

    こういった海中発射UAVが潜水艦の空中の目になる、ということは…将来的にはUAV&潜水艦発射SAMで上空の哨戒機も攻撃可能になりそうな気が。どうなんでしょう?技術的ハードルはどのくらい高いのか、あるいはけっこう早い時期にそういう状況が到来しそうなのかそうでもないのか。いろいろ気になります。フランスでしたっけ?潜水艦に対空ミサイル積んでみた、なんて話もあったような。記憶違いかな。

      • バクー油田
      • 2022年 6月 13日

      究極で言えばSAMも要らないと思います。
      これからの潜水艦に求められる事は「情報」です。
      情報こそが決戦兵器となってきます。
      この例で言えばUAVが哨戒機を発見したらデータリンクで沖縄から長距離地対空を発射して撃ち落とせばいい。
      潜水艦に武器を積むスペースがあるのであれば1機でも多くのドローンを搭載する事が勝敗を分けます。
      また、潜水艦は敵のエリアの情報を集めてくる事が目的となりますので、海自の場合で言えば遠くの敵前海域まで出張れる原子力にする必要が出てくるでしょう。
      つまり、現在の海自の潜水艦は日本近海での待ち伏せとして今後も必要ですが、ドローンを山積みにして中国沿岸に出張り、情報を収集するタイプの新種の潜水艦が必要になってきます。
      そしてドローンを放って、情報を収集すれば、沖縄から地対艦・地対空・地対地ミサイルを打って目標を破壊するという戦闘パターンになります。

      6
        • 匿名
        • 2022年 6月 13日

        発射を感知した対潜哨戒機にソノブイ撒かれて死なねえかなそれ

        2
          • 無無
          • 2022年 6月 13日

          現在でも待ち伏せ攻撃に特化した場合、探知を防ぐために静かな電池魚雷を発射圧をかけずに自然走行で撃ち出す例があります
          その応用で、垂直発射管からUAVをコンテナ浮力で海面まで上昇させ、そこから発進させれば探知率を下げさせ、潜水艦の位置特定をも時間稼ぎ出来るかなと

          2
          • もり
          • 2022年 6月 13日

          はるしお型後期艦の時点で潜望鏡でソノブイを確認出来る距離でディーゼル機関動かしても探知されないほど潜水艦の静粛性は高まってるので余裕っすね

          2
    • 58式素人
    • 2022年 6月 13日

    潜水艦にとって、敵の第一は敵の潜水艦と思います。
    今は静粛性を武器とした水中での索敵・追跡を主にしてしていると思います。
    陸戦で米陸軍が使用を始めたスイッチブレードは、擲弾筒みたいな
    物から発射するそうだけど、これを海戦に置き換えると、敵が近くにいた場合
    発射のために発射管の扉を開けた段階で位置を特定されると思う。
    これはスイムアウトの魚雷発射管でも同じこと。
    二番目の敵は浮上中の航空攻撃と思います。
    対策としては、フランスでの写真を見ると、兵員が司令塔で携帯ミサイルを構えています。
    この様に考えてくると、潜水艦にとってUAVを使える場面は、なかなかないと思えます。
    大っぴらに使うには、制空権と制海権の掌握が前提になると思うからです。
    以下は素人の勝手な考えですが、海上に、隠密に警戒線を張るのにはちょうど良いのかな。
    前の戦争で、帝国海軍は民間の漁船などを徴用し、太平洋上に二重の警戒線を張ったと聞きます。
    警戒船は、米軍の海軍により悲惨な最後を遂げた例があります。
    航空機の75mm砲で攻撃されて一瞬で爆散したとか、潜水艦に攻撃され全員射殺されたとか。
    前者はガンカメラ?の記録映像がありますね。後者は状況証拠のみです。
    そうした犠牲を避けるためなら意味があるかと思います。
    配置されたUAVを衛星経由の指令で作動させ、情報も衛星経由で取り込むと良いと思います。

      • 通りすがり
      • 2022年 6月 13日

      米海軍が潜水艦の潜望鏡やソナーに限定された認識力拡張に有効だと判断して導入してるんだから、敵が近くにいた場合~なんて素人が考えつく要素を考慮してない訳がない。

      それを踏まえた上で有効だと言ってるんだから、そっちベースで考えるべきでしょ。

      あと米海軍のやつは魚雷発射管や垂直発射管じゃなくてジャマーポッドを収納している部分に搭載するらしいよ。

      米海軍は大型UUVのオルカが完成して運用テストに入っているし、将来はUUVからUSVをばらまくことだって可能なんだから水中発射式UAVの伸びしろは有望だと思う。

      もっと柔軟に新技術の将来性や有効性を見ていかないと、無人機導入で出遅れた二の舞いになるじゃない?

      日本人の場合、戦車、潜水艦、戦闘機といった固有名称からくるイメージに囚われがちだけど、所詮は火力やセンサーを運搬するプラットフォームに過ぎないんだから、役割や用途に合わせて変化するものはすれば良いんだよ。

        • 58式素人
        • 2022年 6月 13日

        日本の有事の際に、少なくとも初期には、米軍は自軍の制空権下・制海権下で
        日本が行動することを想定していないだろうと思います。途中からです。
        日本は制空権・制海権の争奪を行いつつ、生き残る必要があるでしょう。
        ですから、潜水艦の隠密性については妥協はできないと想像します。
        まあ、見つかった後なら、なんでもありとも思います。
        ・「大型UUVのオルカが完成して運用テストに入っているし、
        将来はUUVからUSVをばらまくことだって可能なんだから」・・・同意です。
        UAVだってばら撒けるでしょう。
        ・「所詮は火力やセンサーを運搬するプラットフォームに過ぎないんだから」・・・
        同意できません。想定された以上の事態に対応するのは人間の仕事です。
        まあ、素人程度の人間では話になりませんが。

        2
    • 2022年 6月 14日

    潜水艦からも発射できる、ということですね。潜水艦でなければ、というわけではない?
    水中からコントロールできてるんでしょうか、そうならすごい。対戦艦、対潜機の様子をドローンで観察して水中から見ながら逃げる、、、それができると生存率も上がるのでしょうか? トラック一台にミサイル一発では少し勿体無いかも。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  2. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
  3. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  4. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
  5. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
PAGE TOP