War Zoneはイラン攻撃作戦について「B-2による太平洋への牽制展開は完璧に機能した」「投入された全能力が完璧なタイミングと協調性によって調和した様子は圧巻の光景だ」と評価し、ネタニヤフ首相は「イランが濃縮ウランを何処に運んだか『興味深い情報』を持っている」と述べた。
参考:B-2 Strikes On Iran: What We Know About Operation Midnight Hammer
参考:PM: Israel has ‘interesting intel’ on whereabouts of Iran’s 60% enriched uranium
参考:IDF says Haifa impact yesterday was not failed interceptor but undetected missile
参考:IDF says Haifa impact yesterday was not failed interceptor but undetected missile
問題はイランがフォルドの地下から移動させた可能性が高い濃縮ウランにイスラエルの長い手が届くかどうか
国防総省はイランの核施設攻撃作戦=Operation Midnight Hammerに関する詳細を公開、21日早朝に複数のB-2がミズーリ州ホワイトマン空軍基地を出発、この一団は太平洋方向に向かって飛行したが、内7機が一団から離脱して大西洋横断ルートでイランに向かい、途中で第4世代機と第5世代機で構成された護衛戦闘機グループと合流。

出典:DoD
この護衛戦闘機グループはB-2の前方を飛んで敵戦闘機と地対空ミサイルの脅威を制圧し、フォルドとナタンズの目標に計14発のバンカーバスターを投下、その直後に潜水艦から発射された20発以上のトマホークがエスファハーンの地上施設に着弾し、攻撃任務を終えたB-2と護衛戦闘機グループはイラン領空を離脱して帰途についたというもので、この作戦には計125機以上の航空機、数十機の空中給油機、潜水艦、約75発の精密誘導兵器が使用されたらしい。
War Zoneは「この作戦は全体的に実行可能な論理的な方法で実施され、最も大きな驚きはB-2による太平洋への牽制展開で、オープンソースによる監視を利用して敵と世論の関心をインド洋経由の攻撃に誤誘導させた点だ。さらに途中で引き換えして大西洋横断ルートでイランに向かったB-2の動向を秘密に出来たことも非常に興味深いものがある。牽制展開に関与したB-2が実際に太平洋へ展開したのか、それとも通信や航空管制の通信が偽造されただけなのかは不明だが、何れにせよ太平洋への牽制展開は完璧に機能した」と指摘。

出典:USAF
“この攻撃を可能にした要因についても議論する価値がある。B-2に対するバンカーバスターの運用能力付与は絶え間ない作業を必要とした重要な計画だった。この武器を使用するため作戦立案、整備士、武器システム担当、航空機搭乗員、エンジニアなど多くの関係者が長期に渡って作戦準備を進めてきた。これを実現するハードウェアの開発にも膨大な技術的リソースが注ぎ込まれている。昨日の作戦によく似たリハーサルも過去の演習中に何度も目撃されている”
“つまりイラン攻撃作戦はB-2とバンカーバスターの組み合わせだけで成し遂げたものではなく、F-22、F-35、EA-18G、空中給油機、恐らく公開されていない1機か2機の未知の航空機、艦船、宇宙ベースの能力、これを支援する指揮統制システムなど全要素が期待された役割を果たした結果で、この作戦に投入された全能力が完璧なタイミングと協調性によって調和した様子は圧巻の光景だ”
🚨 The White House Situation Room during the strike pic.twitter.com/BJ8O9w0p1r
— Raylan Givens (@JewishWarrior13) June 22, 2025
B-2の能力やGBU-57/Bのスペックにばかり注目が集まりがちだが、この作戦を実行するには領域の異なる能力を統合して協調させる必要があり、これは口で言うよりも相当高度な能力なので「これを演習ではなく実戦で発揮できた」という点において大きな成果となり、その重要と困難さを理解する専門家にとっては「指揮統制能力、ISR能力、通信能力、宇宙、空中、海上、海中戦力が大規模に協調する様子」が圧巻の光景と映るのだろう。
因みに攻撃を受けたフォルド、ナタンズ、エスファハーンの高解像画像が出揃い、フォルド核施設の山肌にはバンカーバスターの着弾痕が最低でも6発分、ナタンズ核施設の地表にもバンカーバスターの着弾痕が、トマホークで攻撃を受けたエスファハーンの地上施設にも大規模な破壊が確認されたが、地下施設への攻撃効果は目視で確認できないため攻撃効果の詳細評価が出てくるまで何とも言えない。
Post-strike images of the Fordow fuel enrichment facility in Iran from @Maxar dated 22 June.
Large craters caused by the US strikes can be seen on the ridge above the underground complex. A layer of grey-blue ash covers the area around the site. pic.twitter.com/wzFNnUil7a
— John Pollock (@John_Pollock22) June 22, 2025
Fresh imagery from @Maxar 📸 of the Esfahan nuclear site.
The first image is dated 16 June and shows damage from Israeli air strikes. The remaining images are dated 22 June and show extensive new damage across the facility caused by Tomahawk missile strikes by the US Navy. pic.twitter.com/aQWKtEjrVZ
— John Pollock (@John_Pollock22) June 22, 2025
The impact crater from the B-2 strike on the Natanz enrichment facility is visible in this @Maxar imagery.
Images dating from the 15 June show damage from Israeli air strikes on the underground secition of the facility. Imagery from the 22 June shows a new large impact point. pic.twitter.com/spvEYODEgR
— John Pollock (@John_Pollock22) June 22, 2025
但し、イランは今回の攻撃前に濃縮度60%のウランをフォルドの地下施設から移動させている可能性が高く、ネタニヤフ首相も22日「イランが保有する400kgの濃縮ウランが何処に運ばれたか『興味深い情報』を持っている」と述べており、イランにもフォルドほど強固な地下施設が存在しないため、米国の攻撃は「イランの濃縮ウランをイスラエルにも手が届く場所に移動させた」と見ることもできる。
問題はイランがフォルドの地下から移動させた可能性が高い濃縮ウランにイスラエルの長い手が届くかどうかで、これをイランが守りきればイスラエルは本戦争における重要な標的の破壊に失敗し、これを空爆で焼き払うことに成功すればイランにとって大打撃だろう。
Higher resolution versions of the images from @Maxar. pic.twitter.com/96PrfhytkF
— John Pollock (@John_Pollock22) June 22, 2025
果たしてイランは濃縮ウランをフォルドから何処に移動させたのだろうか?
追記:イランは22日朝に計27発の弾道ミサイルを2回(22発と5発)に分けて発射、その一部がテルアビブ郊外やハイファ市内に着弾して民間人86名が負傷し、イスラエル国防軍は当初「システムの技術的なトラブルでハイファに向けられた弾道ミサイルを迎撃出来なかった」と報告していたが、23日「詳細な分析の結果、防空システムの検出能力に技術的な不具合があった」「イスラエル防空軍の防空システムは弾頭を分離したミサイル本体の迎撃に成功したものの、分離された弾頭の検出と追尾に失敗し、迎撃されることなくハイファ市内に着弾した」と発表した。
MDA footage from the scene of one of the missile impacts pic.twitter.com/4ILNKTvWIw
— Emanuel (Mannie) Fabian (@manniefabian) June 22, 2025
イスラエル国防軍は「この弾道ミサイルは新種と言うわけではなく、この戦争中に使用されてるものに類似したもので、今回の迎撃失敗は(技術的な不具合に起因した)異常なケースだ」と述べている。
さらにイスラエル国防軍は「イラン西部のホラマーバード上空で空軍の無人航空機が撃墜された」と明かし、イラン側は撃墜した無人航空機についてHermes900だと報告している。
1. Iran published video of shooting down another Israeli UAV (reportedly Hermes type) near the city of Khorramabad in the west of the country this morning (June 23, 2025). pic.twitter.com/6lWuwS5wjX
— Mehdi H. (@mhmiranusa) June 23, 2025
これで確認されたHermes900の撃墜例は2機目となった。
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. Heather Salazar





















坑道型の鉱山が有ればそこに移動させるのが安全かな?
ただ普通の鉱山なら爆撃で容易く崩壊するだろうから逆に危険か。
鉱山が崩落しても、あとで時間をかけて掘り出せば良いだけ。
ウラン自身が消滅するわけじゃないからね。バケツで核分裂にはなるかもしれないけど。
支援部隊、他国えの航空機展開、牽制を含めて、前代未聞の規模でしたね。
アメリカの異次元な能力を感じてしまいます。
イスラエルの意味深な発言、無人機=衛星=諜報員などに偵察されているのではないかとも指摘されていましたが、非常に興味深いですね。
様々な想定に対してしっかりと訓練演習準備重ねた結果の成功でしょうね、イスラエルの諜報能力もアメリカの作戦遂行能力もやはり世界トップだと示しましたが、次はイランの核物質の行方ですが何箇所かに分けたとは思いますがイスラエルは何か掴んでいてもおかしく無いでしょうね。
まさに仰る通りです。
B2を、太平洋方面グアム~ディエゴガルシアに派遣して陽動。
先遣隊として、電子戦機・電子戦対応の戦闘機により、電子戦を行っていたという情報も真偽不明ながら見かけました。
ここからどうなるのか注目したいと思います。
イランは一応親日…?らしいから今アメリカに食らってる苦境には
わーくにの日帝時代の経験と重ねてしまう。
情報戦に完敗し接近拒否を剥ぎ取られ上空からひたすらぶっ叩かれる…
まあイエメンは空爆を跳ね返したしイランの状況はイスラエルの努力
あってこそだしアメリカも無制限にこんなことできる訳じゃないはずだけど。
政治的決定のプロセスは置いといて結果には流石ですねとしか言えませんわ。
「イランが濃縮ウランを何処に運んだか『興味深い情報』を持っている」
どちらに向かったのかな?。
できれば、安全で濃縮施設があるところに預け(!?)たいかな。
まさかと思うけれど、国外の可能性はあるのかな?・・・。
米国やイスラエルの手の届かない場所とすれば、中/露となるだろうけれど。
やっぱりイラン当局の「秘密裏に輸送したから安全だ」みたいな発言は蛇足と言うか、軽率と言うか。
秘密の隠し場所の事をなんだと思ってるのか?
移送済みなのは公然の秘密だから、問題なのではないでしょうか?
あるいは、実は移送したというのは嘘で同じ施設の奥深くの更に強固な倉庫に隠してあるとか。
ネタニヤフをして興味深いだけで済ませる程度の核の在処ってあるのかね。イランがどんな形で核持ってても許さないタイプの人間だろ。それに破壊したいんなら、わざわざ私は知ってるとか匂わさないだろう。米国はわざわざ攻撃を匂わして、核をフォルドから持ち出させた(らしい)が、イスラエルは在処を知ってる事を匂わせて何をするのか?
1機か2機の未知の航空機・宇宙ベースの能力…御自慢の“ゲームチェンジャー”的なヤツも混じっているのか?それらを獲得する為に、一体どれ程の犠牲者を踏み躙って来た事か。
大量の兵器級濃縮ウランなんて下手に吹き飛ばしたら超強力ダーティーボムと化してそうおいそれと手を出せる代物じゃないと思うんですがどうなんでしょう?例えばホルムズ海峡沿いドバイ対岸とかに堂々と置かれても爆撃出来るのか
広島型原爆の7個分弱だから町数個分を汚染させうる量ではある。
でもダーティボムとして使用するのではなく、汚染物質の飛散という形ならもっとマイルドになるんじゃない?
(ホルムズ海峡なら40㎞もあるし。)
90%超の兵器級濃縮ウランなら臨界量(50kg超)あればMark 1 リトルボーイと同じガンバレル型で15kt程度の核出力が得られるのでダーティーボムではなく原子力爆弾として使えます。
その代わり簡単に臨界量を超えるので、臨界量にならない二つ以上の塊に分けて運ぶなどの対策が必要ですし、水没すれば水が減速剤になって臨界反応を起こしたたりとかロクでもないことになりますが。
インプロージョン型では元々臨界量未満の核物質を爆縮で圧縮することで核反応を起こすため、ガンバレル型と比較して弾道ミサイルでも安全に運搬できるなどの特徴があります。
イランが保有するのが60%の濃縮ウラン400kgだとすると臨界量が変わりますね。
90%濃縮ウランの臨界量が25kg程度、実用上はその2倍と言われているため、50kg程度となります。
ATOMICAの記載では20%の濃縮ウランを核兵器に転用する場合実用上は780kg必要なため、60%の濃縮ウランでそのままガンバレル型で構成する場合、20%濃縮ウランの1/3以下の寮で実現できなくはなさそうです。
いつかウランの濃縮イランって間違えそうだ
「イランが保有する400kgの濃縮ウランが何処に運ばれたか」
分散・保管が可能ならば把握は難しいのでは?と愚考しますが、ネタニヤフ首相の談話を見ると1箇所なのか複数個所なのか、把握しているとも取れますが、把握していたのであれば米軍の開発施設を狙った爆撃に合わせて、IDFが保管場所と思われる個所を同時空爆しても良いですよねとも思いますので、1ミリオタとしてはブラフなのか何かしらの揺動なのか今後の展開に注視ですね。
イランには、未だ未申告の未知の地下施設がある事が確実視されてており、もしかすれば其処に運んだ可能性もありますね。ただ、フォルドゥ程の防御力が有るかは不明です。ですが、少なくともイスラエル単体では破壊が難しいところには運んだ可能性が高いかと。イスラエルは、戦争を継続させるつもりですが、イランも降伏する気は更々無いですね。此処からは、完全な消耗戦でありイスラエルが濃縮ウランを見つけて破壊するのが先か、空軍ローテーションに限界が来るのが先か…、何の道、地上侵攻なして政権を転覆させる事は不可能でしょうから、チキンレースかと
イラン上層部の派手な消されっぷりなどを見ると、避難させたという60%濃縮ウラン片手に、イスラエルに亡命とか、或いは降伏の手土産とするみたいな層が結構出てきそうな気がしますね。いずれにせよそのままではダーティボムとしてしか使えませんし、60→90%濃縮は、テロリストが手製爆弾を作るようなノリで行うことはできません。
核兵器を持つ国々ならそんな濃度のウランを貰う必要性が皆無ですし、自前でウラン濃縮できない国々でも扱いに困る品です。イラン自身はといえば、これほど滅多打ちにされた状況では、濃縮作業をしようにもまず人集め、資材集め、施設建設からリスタートしないといけません。10年単位で作業は遅れたと見てよいでしょう。
B-2といえど油断せずに
支援機で露払いしながら動くのは流石ですね
フォルドゥの凄い所は深さと広さの両方が高いレベルである事でしょう。
もしイランが核兵器を完成させた後の事を考えてたとすれば核弾頭を保管する為の極めて深い&狭いタイプの地下保管所を保有してるのではなかろうか。
防衛費を5%まで増やし緒戦の通常兵力による占領さえ防げればアメリカ軍が中南海に同じ事をしてやる
これがディールだとすれば中々魅力的な取引になってきた
最近の戦争は陸軍主体だったので負け続けだったが空軍と特殊作戦についてはまだまだアメリカは強いですね
さすがに中南海にまで侵入するのは無理だろ・・・
そもそも今の中国の防空システム相手じゃ台湾を制空できるかすら怪しいわ
イランとはレベルが違いすぎる
>空軍と特殊作戦についてはまだまだアメリカは強い
フーシ派相手のグダグダが無かった事になってますね。
フーシ派に関しては舐めプしたうえ散発的な半固定•移動目標への攻撃という空軍が昔から苦手とする作戦でしたし、今回のような大規模な大規模な航空アセットを投入した固定目標への攻撃は最も得意とする作戦なので米空軍らしい結果だと思いますね。