中東アフリカ関連

クウェートがスーダンからの自国民退避に成功、サウジやヨルダンも退避を開始

スーダンの正規軍と準軍事組織の停戦は守られることなく戦いは8日目に突入、しかしクウェートは自国民の海外退避に成功、これを受けてサウジアラビアやヨルダンも自国民の海外退避を開始した。

参考:Sudan army okays foreign evacuation as Khartoum battle rages
参考:تطورات السودان.. احتدام المعارك بين الجيش وقوات الدعم السريع رغم الهدنة المعلنة

中東諸国が次々とスーダンからの自国民退避を開始、クウェートが自国民の退避に成功

スーダン暫定政権の「ブルハン議長率いる正規軍」と「ダガロ副議長率いる準軍事組織(RSF)」の戦いは8日目に突入、今だに欧米諸国は現地に滞在する自国民の退避が出来ないでいるが、クウェート外務省は「ポート・スーダン経由で現地の自国民をサウジアラビアのジェッダに退避させた」と発表、これ受けてサウジアラビア外務省も「91人の自国民と66人の外国人をスーダンから退避させる」と、ヨルダン外務省も「300人の自国民を退避させる計画を開始した」と発表した。

出典:GoogleMap スーダンの状況/管理人加工(クリックで拡大可能)

アルジャジーラは「サウジアラビアの国外退避作戦もハルツームから陸路でポート・スーダンに向かい、船で渡って対岸のジェッダに移動するものだ」と報じており、停戦が守られない現状では「空港の安全性」が確保できないためポート・スーダン経由の退避しか手がないのだろう。

ただ現地の米国大使館は「大使館は陸路での移動を支援できないためポート・スーダンへの移動は個人の責任だ」と述べており、ハルツームからポート・スーダンへの移動も決して安全が確保されている訳ではない。

追記:サウジアラビアが実施した退避作戦が成功、ジェッダに91人の自国民と66人の外国人(クウェート、カタール、アラブ首長国連邦、エジプト、チュニジア、パキスタン、インド、ブルガリア、ブルガリア、フィリピン、カナダ、ブルキナ・ファソなど/恐らく国際機関の関係者)が到着、ポート・スーダンからジェッダまではサウジアラビア海軍の艦艇で移送したらしい。

追記:イラクもハルツームからの退避に備えて大使館職員が移動を開始した。

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※アイキャッチ画像の出典:Twitter経由

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コメント

    • 名前
    • 2023年 4月 23日

    心配だなぁ
    もし自分が現地の有力者で手段を選ばない金儲けをするなら、
    ルートのどこかで通行料で暴利を得るとか、
    最悪待ち伏せて山賊まがいのことを考えるなぁ
    個人で脱出はかなり命懸けになりそうだ

    4
      • 無無
      • 2023年 4月 23日

      この脱出劇にすでに現地有力者によるコーディネートがあると見て良いのでは。
      もちろんそれなりの報酬を得てでしょうが、予め現地とのコネがありそうな中東諸国が欧米に先んじて動いている
      政府よりも部族や宗派の論理が優先され勝ちな社会を巧みに利用してますね

      37
      • TKT
      • 2023年 4月 23日

      こういうとこでは通貨に信用がなく、金は問題解決の手段にならないことが多いのです。

      特にダガロのRSFは、金鉱山を持ち、金塊と武器を物々交換しているような集団で、金はたくさんあるけどモノがない、というような武装集団で、そういう現物の需要に答えているのがロシアのワグネル社です。

      ダガロのRSFとの交渉はワグネル社との交渉、取引になる可能性もあるわけです。ただワグネル社やRSFと交渉や取引をするとブルハン中将の正規軍からは、反乱軍に協力しているとみなされる危険もあります。

      一方でブルハン中将と取引、交渉すると、RSFやワグネル社からすると完全に敵ということになります。かといってどっちつかずだと両方から敵視されるかもしれません。

      3
        • バーナーキング
        • 2023年 4月 23日

        だから現地の「有力」者がその「(何かしらの)力」を使って荒稼ぎをするのでは、という話でしょう。
        「金を積めば脱出できる」とは言ってない。

        22
    • ななし
    • 2023年 4月 23日

    イスラム教徒でアラビア語をしゃべる人たちは、陸路の移動が可能なのかも
    (異教徒はおそらく危険)

    9
      • RAAF
      • 2023年 4月 23日

      南スーダンではないだけに現地の部族・氏族への交渉手段も持っているでしょうしね。
      規模の大きい徳川家康の伊賀越えのようなものでしょうか…
      地図だけでの判断ですが日本は政府軍側との表裏側の交渉で取り敢えずは、首都圏からの集団脱出から国軍支配地帯の土地や軍基地への移動なのでしょうがネゴシエイター的な人材がいると良いですね(昔ならアフリカ担当のタフな商社マンなどに日本政府が相応の対価を支払えるかもですが)

      6
      • 月虹
      • 2023年 4月 23日

      陸上自衛隊がイラクに派遣された時、武装勢力からの攻撃を避ける目的で軽装甲機動車(LAV)は防弾ガラスへの交換や装甲板の追加など防御面の改修が行われた他に車体はオリーブドラブ一色に塗り替えた上で車体の随所に日章旗と英語とアラビア語でJAPANの表記をしました。

      輸送防護車(ブッシュマスター)は海外派遣を前提にオリーブドラブ一色の塗装で導入され、7.62mm弾および手りゅう弾や地雷の破片に耐える装甲(STANAG4569 レベル1以上)を持つほかに銃座の隊員をワイヤートラップから守るワイヤーカッターも装備され、大きな改修もなく派遣することができます。

      第1陣で派遣されたC-130と第2陣のKC-767は空自の第1輸送航空隊からの様ですがC-2については特に報道がありませんでした。C-2が輸送防護車を積載して派遣となると入間基地の第2輸送航空隊と思われます(輸送防護車は宇都宮駐屯地の中央即応連隊に配備されているので入間基地まで自走するか最寄りで1700mの滑走路がある北宇都宮駐屯地にC-2が飛来して積載する必要がある)

      3
        • 58式素人
        • 2023年 4月 23日

        思うのですが。
        ブッシュマスターを使うのは良いと思うのですが。
        約60(?)名全員を乗せることはできないのでしょう。
        たしか、ブッシュマスターの定員は運転手込みで10名だったかと。
        かつ、一台当たり、約15tだったと思います。運ぶだけでも一苦労ですね。
        ですから、陸路移動ならば、護送船団方式にならざるを得ないと思えます。
        仮にそうなった場合、必ずしもブッシュマスターでなくても良いのでは。
        用意があるかどうかは判りませんが、軽機動車に重機をつけるのでは。
        重さも、一台当たり、約5tと思います。

    • 霞ヶ浦
    • 2023年 4月 23日

    ロシアらの息がかかってる可能性考えると想像以上に難しい作戦になるかな

    5
    • 58式素人
    • 2023年 4月 23日

    記事の内容と地図検索を見比べてみると。
    陸路で、ハルツーム〜カッサラ経由〜ポートスーダンで、約1,200kmとあります。
    あんまり時間がかかっていないように見えるので、ハルツームを脱出して、
    正規軍エリアに入ってしまえば、案外、そう苦労せずに出国できるのかな。
    地図検索での所要時間は、約12時間とあったので、良好な道路があるのかな。
    時間当たり100kmの移動とならば、高速道路があるのかしら。
    正規軍がエル・ファーシルを攻めているのは、ここがRSFの本拠なのかな。
    多分、プリコジン氏の金鉱もこの辺りなのではと想像します。
    本拠を落とされれば、RSFは日干しになるのかな。そして、プリコジン氏は資金源を失うのかな。

    5
    • 迷子の無人機
    • 2023年 4月 23日

    米軍はガンシップを引き連れて上空待機。臨戦態勢に入ったぞ。米軍がただ避難させるためだけじゃなくて軍事的救出作戦を視野に入れたってことは、それほどまでに現地は混迷を極めてるみたいだな…。
    状況が状況だし、マジで下手したら秘密裏に自衛隊が協力して護送作戦やっててもおかしくないぞこれ。

    2
      • ミリオタの猫
      • 2023年 4月 23日

      米軍が自国の外交官と家族をスーダン国外へ退避させたとのニュースが流れました
      意外なのは発表したのはRSF側だった事で、何やら舞台裏では色々有りそうです

      3
        • TKT
        • 2023年 4月 23日

        RSFを支援しているのがロシアのワグネル社で、アメリカ軍の救出作戦に協力したのがRSFだとしたら、下手するとアメリカ軍がワグネル社の社員と交渉、取引をして、アメリカ人の救出作戦に協力した、なんてこともあり得ますね。

        いざとなれば、自衛隊がワグネル社と協力して、邦人脱出作戦を行うなんてこともあるかもしれません。どっちみち陸上自衛隊は海外派遣でよくロシア空軍のアントノフ輸送機を借りていましたし、海上自衛隊もロシア海軍と長年、共同救難訓練をやっているので、たとえそうなっても特に問題はないのかもしれません。

    • ぽわうふふ
    • 2023年 4月 23日

    韓国は空軍のC-130がジブチに到着、海軍の清海部隊(ソマリア対海賊任務)の駆逐艦「忠武公李舜臣」が紅海への移動を命じられました。

    2
    • ブルーピーコック
    • 2023年 4月 23日

    サウジアラビアはイエメンとの戦いに大勢の元ジャンジャウィード=RSFを雇って戦闘に参加させたと言われているから、ツテはあるんだろうな。

    2
      • ブルーピーコック
      • 2023年 4月 23日

      追記

      イエメン紛争のスーダンとサウジアラビアに関連する話(中東かわら版)
      リンク
      リンク

      管理人さん手間おかけします

      2
    • れんちゃ
    • 2023年 4月 23日

    ワグネルがRSFへ携帯対空ミサイルをばら撒いたって話も出ているので…そうすると陸路を通って港から逃げるというのもやむなしかな。

    • MAT
    • 2023年 4月 23日

    軍もRSFもやけに外国人退避に寛容というか、積極的なのは国際社会での正当性のアピールなのか一定以上の過酷な戦闘をするからできるだけ邪魔が入って欲しくないのか。

    どっちにしても、早めに邦人が退去できる事を祈ってます

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