サウジアラビアとトルコは防衛分野の協力関係を段階的に強化しつつあり、トルコメディアは27日「両国が大規模な防衛産業協力を協議した」「サウジアラビアはKAAN×100機の取得を検討している」と報じたが、あるアナリストは「戦闘機購入への関心を示すことは影響力と友情を買う最も簡単な方法だ」と指摘した。
参考:Suudi Arabistan’dan KAAN hamlesi: 100 tane istiyorlar
参考:Saudi Arabia mulls purchase of 100 Turkish jets amid defense talks
参考:Why Saudi Arabia Is Considering Buying Turkey’s Upcoming Stealth Jet
参考:Turkish media reports that Saudi Arabia plans to procure 100 KAAN fighters
英国がサウジアラビアのGCAP参加を後押しする要因の1つは戦闘機を組み立てる能力の維持
サウジアラビアとトルコは防衛分野の協力関係を段階的に強化しつつあり、2021年にLentatek(旧Vestel Karayel)が開発したUCAV=Karayel-SUのライセンス生産を開始、2023年にはMQ-9に匹敵する大型UCAV=Akinciを60機調達するため31億ドル=4,800億円の契約を締結し、複数のトルコメディアは27日「サウジアラビア軍のルウィーリ参謀総長が今月26日にアンカラを訪問した。両国は大規模な防衛産業協力(戦闘機、艦艇、レーダー、ミサイルなど)について協議し、サウジアラビアは2030年代に向けた戦略の一環としてKAAN×100機の取得を検討している」と報じて注目を集めている。
サウジアラビア空軍のF-15C/Dとトーネードの更新需要にはタイフーン、ラファール、F-35Aの名前が候補に挙がっているものの、ジャマル・カショギ氏殺害事件の影響で凍結されていたタイフーン追加導入は交渉が再開されたばかりで、サウジアラビアは米大統領選の結果を受けてF-35A売却に向けたロビー活動も強化しており、ラファールは交渉が不調だった場合の保険もしくは交渉材料だと予想されているが、報道内容が事実なら3機種競合の状況にKAANが割って入った格好だ。
但し、トルコメディアでもサウジアラビアの態度について「KAANの100機購入を検討している」「KAANを検討している」「KAANに関心を示した」「KAANの説明を受けた」「防衛産業協力について協議した」などと一貫性がなく、あるアナリストは「戦闘機購入への関心を示すことは影響力と友情を買う最も簡単な方法で、潜在的な売り手にも『我々には他の選択肢がある』とアピールすることができ、交渉過程の立場を強化することに繋がる」と指摘しているのが興味深い。
🌍 Küresel İş Birliklerinde Yeni Adımlar! 🤝
Başkanımız Prof. Dr. Haluk Görgün, İstanbul’da Suudi Arabistan Savunma Bakan Yardımcısı Dr. Khaled bin Hussein Al-Biyari, Hava Kuvvetleri Komutanı Turki bin Bandar Al Saud ve beraberlerindeki heyeti ağırladı. 🇹🇷🤝🇸🇦
Görüşmeler, Türk… pic.twitter.com/7CrE2CQeDf
— SSB (@SavunmaSanayii) December 24, 2024
トルコにとっても「サウジアラビアが興味を持っている」と騒ぐことは「潜在的な顧客」にKAANの信頼性をアピールすることに繋がるため、両国にとって「KAANへの関心」はメリットしかない情報戦の一環なのだろう。
恐らくサウジアラビアはトランプ政権の4年間に「売却承認」を引き出せればF-35A調達、これが叶わなければタイフーン調達を考えているかもしれないが、最も可能性の高いシナリオは米国と欧州(厳密に言えばサウジアラビアへの売り込みはBAE主導なので英国)に影響力を分散させる両機の同時調達で、英国も戦闘機を組み立てる能力をGCAP製造開始まで維持するのにサウジアラビア発注を必要としており、これもサウジアラビアのGCAP参加を後押しする要因の1つだと思われる。
この手の話が日本で快く思われないことを重々承知しているが、各国のグレーな思惑こそが武器輸出を観察する醍醐味の1つだと思っている。
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※アイキャッチ画像の出典:Turkish Aerospace Industries
とはいえ、「契約したたけど政治的に●●になったから、やっぱり売るのやめるわ」という事が起こりえるのも欧米兵器ビジネスではある…
日本もこういう駆け引き的な事大々的にやって良いと思うのですが、火遊び的な感じで避けてる感がありますね。国をかけての火遊びが褒められたもんでは無いとはいえ盲目的な取引ばかりもちょっと・・難しいですねえ
日本は日本で、G-CAP失敗したら戦わずして、戦力純減という大博打してるぞ
F-2は初期のCFRPで寿命延伸できるかわからないし、F-15はmsipですらもうすぐ定年族だし、頼みの綱のF-35も本格的に動けるのか怪しい感じだし
あと。日本政府与党と防衛省と経済産業省と外務省と財務省が、壊滅的に交渉下手という感覚がある。
日本の政府行政の特徴として、強い力で弱い相手を圧倒する事には慣れてるけど、同等以上の相手に経験がないか、腰を曲げるしか出来ないような感じがする。
代替が効く他の4.5世代機はともかく、F-35がやらかした場合、防衛能力が終わるのは西側諸国全てです。もはや財務省が~で済む領域を越えてます。寧ろF-35集約の問題を解決するためのGCAPでありFCASですので、博打どころか当然の流れでしょう。
外務省は日米貿易摩擦でタフネゴシエーターとして、米を何度もやりこめているから不安わない。
防衛関係は、やはり政府と防衛省。
この二つは、とかく交渉力弱いと思いますわ。
要求もまとめられない。
アベちゃんみたいな、強引な交渉が出来る総理がいないと日本はダメダメですね。
日本だけでなく、欧州諸国もそうだけど複雑怪奇な外交も軍事力前面に出した外交も米英仏以外は殆どやらないからな…
結局日本や米英仏以外の欧州諸国の武器調達は淡々としたものになりがち(寧ろより問題なことに開発の段階で泥沼バトルを展開してしまう)。
国民を守る義務が無く、サウード一族のためだけに存在するサウジアラビア軍には過大な装備に思えるが、イラン対抗にGCAPが必要なのだろうか?
心情的なことは別にして、サウジアラビアのGCAP参入は日本にはメリットがあると思えないが、日本政府はどうするつもりなのだろう?
おそらくGCAPで周辺国を圧倒したいみたいな理由じゃなく産業が欲しいって感じだと思う
石油枯渇後のことを考えて半導体とか先端技術分野へ投資してるらしいから
漫画やアニメと言ったサブカルにも投資してますな
サウジアラビアに、「ガンダム」や「ワンピース」に匹敵するコンテンツは生み出せるのか…?
首を長くして待つことにします
先般の報道が示唆するところによれば、サウジアラビアの参画は「GCAP政府間機関の設立に関する条約」への参加ではなく、同条約第19条ある「非締約国」としての資金拠出になると思われます。新たに条約締約国となるには締約全会一致での合意が必要で、日本始め締約国には拒否権があります。
非締約国資金拠出の見返りについては別途協議することになっており、非締約国には保障された権利がありません。ある締約国が行う非締約国へのGCAP輸出については、今後創設される共通の枠組みを基に他の締約国には協力する義務があります。
今回の場合、サウジアラビアの参画(資金拠出)を強く希望する英政府が、日伊が同意可能な見返りを用意し、先方と交渉することになるかのと。
シンボル的だな。サウジがイスラム系の国の戦闘機を買うなんて。イスラム圏の国力増加を感じるな。
しかし、誰と戦うんだ。イランかな? アサドシリアもいないしな。 なんだろうアメリカと距離を置きたがっている気がするな。
普通にイスラエルじゃないの
アラブの盟主を謳うならユダヤ討伐は必須だし
イランの影響力は後退したが、かと言ってトルコやサウジと関係が悪化してるかと聞かれてると逆だしな
生産ライン維持するなら
支援でウクライナや東欧に贈ればできそうだけれども
必要な物の調達とセットにするならまだT-4の後継にホークかM-346にして一部組み立ての仕事回してもらう方がましかと
>英国も戦闘機を組み立てる能力をGCAP製造開始まで維持するのにサウジアラビア発注を必要としており
への反応で英国の選択肢の話だと思われるのでT-4の後継は関係ないかと…
日本のT-4後継に一かみしてホーク再生産かイタリアのM-346の組み立て入れろといってるんですよ。>GCAP採用国でそれなりの規模の機体導入しそうな案件
うーん初等練習機はともかく中等練習機以上は川重もスバルも生産したがると思うんですよね。
であればライ国にしろノックダウンにしろ、使うのは日本なんだから最終組立は日本でやるのが効率が良いし、
先の記事の「F-35の組立を」でも思ったんだけどめっちゃ上手い話ならともかく、そんな悪条件ゴリ押ししてまでこの時期に日伊の航空産業から仕事奪ってわざわざ波風立てようとしますかね?
防衛装備庁が10月に公示した「T-4後継機及びその地上教育器材に関する情報提供企業の募集について」で「情報提供企業の要件」として
(1)取扱い上の注意を要する文書等及び注意電子計算機情報の取扱いについて(防防調第4608号。19.4.27)に定める取扱い上の注意を要する文書等の開示について防衛省が適当であると認める日本国法人である企業
(4)日本国内に航空機の主要な製造設備を有する企業又は日本国内にT-4後継機の主要な製造設備を建設可能な企業
であることを必須としています。複数企業で条件を満たしても良いとしていますが、これは事実上の国内開発宣言じゃなかろうかと。
>(4)日本国内に航空機の主要な製造設備を有する企業又は日本国内にT-4後継機の主要な製造設備を建設可能な企業
ライ国でも「製造設備」は必要ですから国内開発宣言とは別に思えないです。
まあこのツリーにおいて「国内製造する気満々なので英の生産ラインの足しにはならなさそう」とは言えるかもしれませんが。
そう、正しくは、仮に外国製機体の採用であっても国内ライセンス生産を前提にしているのは明らかと読むべきですね。計画段階で国内開発を第一の選択肢とすることは防衛省のスタンダードでもあります。
実際には、初等練習機にT-6を選定したことでT-4後継機がT-7Aになる可能性は高まったと思います。米空軍と同じ機材構成になるわけで、現行の空自F-35パイロットへの養成課程である伊IFTへの訓練委託を置き換えることになるのかと。
T-7AはGCAP模擬に対応してくれるのか、くれるとしていくら取られるのかが心配なところです。
日米の機種違い、っつーてもT-7AとM-346なら共にF-35を高いレベルで模擬できるのが売りの一つなんだからそこの乗り換えのハードルや育ちのギャップは大きくなさそうに思います。
GCAP始め、次世代戦闘機の無人アセットとの連携等に係るパイロット訓練システムは、先の日米首脳会談共同声明にある「日米共通練習機」及び「先進的なシミュレーター」が念頭にあるんじゃないですかね。随伴無人機システムに係るAIの日米共同研究で合意してるわけですし。
勿論、現時点で他の訓練システムを排除してるわけではいないと思います。
米の「商売敵(候補)に対する公正性、公平性」というのを毛程も信用できないんですよね。
今はGCAP自体にしろ訓練環境にしろ協力的な姿勢を見せてますが開発がうまく進んでF-35の顧客が興味示した途端に態度豹変するとか、T-7Aの日本導入分のGCAP模擬には協力してもそれの第三国輸出は許可しない、とか平気でやって来そうですからね。
かといって中等高等×2系統なんてのは無理ですから中等練習機はM-346ベース、ATT/高等練習機(単座、有事には無人運用可)を共同開発であって欲しいところです(完全に願望です)。
この記事を読んでいてインド軍の入札プロセスの話を思い出しました。インド軍の内部は実質的に地方ごとに調達や予算執行が独立しており、さらに地方内でも調達プロセス担当に任命された将校やそれ以外の将校が勝手に外国と交渉をして自分の頭の中だけの構想を進めたりキックバックを要求したりということがよくあるそうです。これがいわゆるインド時空の正体ですが、組織のコンセンサスがとれていない集団はしばしばこのような挙動をとるそうです。巨大すぎる組織と天皇大権という代理行使しかされない曖昧な統帥権で回っていた旧日本軍や、軍の階級系統とは別の旧時代の身分制度が残っていた旧大陸の陸軍などもそういう時代がありましたし、サウジの軍もこの種のカオスをやっているのでは。
今のアンケートの勢いの流れなら言える。
KAANの逆襲
と冗談はさておき、トルコって言うほどイスラム仕草はないような。
直近のイスラエルとの国交断絶は残当だし。
イスラム、イスラムはしてませんがパレスチナ問題を除いても、ギリシャ、クルド、アルメニアと近隣勢力ほぼ全てと一触即発な危うい国なのは覆せません。それでいて欧米から完全に敵視されてるロシアとは付かず離れずなので読めない国でもあります。
西側購入可能なステルス機、時期的にはKAANが第2弾、GCAPが第3弾の見込みかな?
個人的にはGCAPの2030年が心配なのと現状のF-35一択も不安要素で、可能ならわーくにもKAANに唾つけ出来ないのかしら?BAEつながりとかで
あ、知識不足故、スペック的に代替不可能なものを代替にと言っている可能性もあり、その場合ご指摘頂けますと幸いです
日本の戦闘機枠は第5世代のF-35A/B147機と第6世代のF-3(GCAP)200機程度で充足されるでしょうから
この2つ減らして第5世代トルコ製ののKAAN買う選択肢はなさそう
F-3は2035年頃からF-2を代替予定だったかと思いますがそこまでは着実にF-35で非改修のF-15代替していくのが良いかと
3機種無いと事故で飛行停止になった時のやりくりが大変そうですがFー15MJがいつまで飛べるかが問題ですね。
更なる近代化改修はしないで2040年まで使い倒すんでしょうか。
機体の寿命見直しとか駆使するとへたすると来世紀まで飛べそうですからね>F-15
F-15J近代化改修型68機については能力向上改修として2度目の改修が開始されているので
F-3後期型だとして相当先の更新が想定されてると思います
JSIは要するにアビオの近代化と兵器統合、あとはせいぜい機体構造の強化程度で、エンジンはそのままだし当然ながらFBW化される訳でもありませんので40年代の前半には(少し前のF-4の様に)一部を後継機種で更新して数を絞って稼働率を確保して延命するんじゃないですかね。
なので数十機をF-3で更新は十分あり得るかと。
F-15MJ(JSI)の更新開始はGCAPによるF-2更新完了後、2040年代半ば頃からでしょう。
F-2更新は概略10年以下で完了する必要があるわけですが、従来機と比べ調達単価が大幅に高騰するだろうGCAPでF-15MJとの並行更新は無理と思います。
現在改修中の機体が最初の更新対象になるはずで、用廃開始が同時期、完全退役が2050年代中、というところでは。つまり20年以上の運用耐久が必要で、どの時点かは別として、機体寿命延長工事は必須に思えます。
小規模な改良はあるかもですが、無人機運用能力の付加とか、更なる近代化改修を行う意味があるかは運用構想次第なので微妙かと。
ファントムおじいちゃんみたいにアラート任務とか、非戦闘区域での災害出動なんかでの偵察機とか、2040年代でも頑張っているんだろうなあ。
さすがに、今から新造されるF-15 EXがあるかぎり、ファントムの時みたいに、ほぼ最期のF-15運用国にはならんだろうけど。
中国がアメリカと並ぶ軍隊を創ると宣言している以上、手抜きは出来ないので、戦闘機はGCAPで行くのでは?それ以外にミサイル迎撃システムや、原子力潜水艦、陸、海、空の無人戦闘システムとかに投資しないといけなくなりそうなので、飛行機で仕事を創造するなら、輸送機用マルチミッションパッケージや、緊急展開部隊の増加等で、輸送機増やすとかの方が良いのでは?無人戦闘機枠もアメリカと共同開発とかでしょうし‥
そもそもエンジンを試作機は、F110双発でエンジンが決まってねえー機体だった記憶があります。
大勢の方、お教え有難うございます。なるほど サウジじゃあるまいし中途半端なモノ採用するほど財布に余裕はない、
今後の無人機の展開次第じゃ不要化する可能性さえあるステルス沢山持つ意味は薄い
と理解しました。
自己懸念したスペックのハナシでさえ無く。有難うございます。
あ、エンジンまだ揉めてるんですか。 XF9-1でも逆にオーバースペックぽいですし、わーくに関与の可能性はここでも更に低く^_^;
>サウジアラビアの態度について「KAANの100機購入を検討している」「KAANを検討している」「KAANに関心を示した」「KAANの説明を受けた」「防衛産業協力について協議した」などと一貫性がなく
「最大100機購入を前提にKAANの説明(機体だけでなく提示できるオフセットを含めた条件等まで)を求めた」ならどれとも矛盾しないし、状況的にもサウジのいつもの調達規模的にも特におかしな話でもないのでは。