中東アフリカ関連

英国とサウジアラビアが新型UCAVを共同生産、2024年までに生産体制を確立

英国のCollins AerospaceとサウジアラビアのSRB Aerial Systemsは21日「武装可能で垂直離着陸に対応したUCAVを共同生産するで合意した」と発表、2024年までにサウジアラビアでの生産体制を確立する予定らしい。

参考:Collins Aerospace joins forces with Saudi firm to make combat drones

安全保障分野の投資は極力現地の産業界に還元する方式でないと受け入れられないのだろう

この合意はアラブ首長国連邦で開催中の防衛展示会「IDEX」で発表され、Collins AerospaceがIDEXに出展した武装可能で垂直離着陸に対応した新型UCAVを「サウジアラビアのSRB Aerial Systemsが生産するものだ」と報じられており、本機はISR任務と戦闘任務を同時に遂行することができ様々な武器や精密誘導兵器を搭載できるらしい。

出典:Collins Aerospace

因みにサウジアラビアは海外依存を減らして自立した装備品のエコシステム確立を目指し、インドの「Make in India/メイク・イン・インディア」に近い政策を導入しているため、今後サウジアラビアに防衛装備品を売りたい企業は現地生産と技術移転が必須条件で、米国のロッキード・マーティンやロシアのロステックなどが次々とサウジアラビア企業との合弁会社を設立している。

つまり英国のCollins Aerospaceは新型UCAVをサウジアラビアに売り込むため現地生産と技術移転を行うという意味で、このような政策はサウジアラビア以外の中東諸国にも広がりを見せているため「完成品を輸出して利益を独り占めする」という売り方はもはや通用せず、安全保障分野の投資は極力現地の産業界に還元する方式でないと受け入れられないのだろう。

関連記事:サウジアラビア、防衛産業発展のためロッキード・マーティンとの合弁企業設立を発表
関連記事:サウジアラビア、ロシアとの武器共同生産と防衛産業育成に200億ドル以上の投資を発表
関連記事:石油時代の終焉を見越したサウジアラビアの国防改革、2030年までに海外依存を是正

 

※アイキャッチ画像の出典:Collins Aerospace

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コメント

    • TA
    • 2023年 2月 23日

    部品や素材売って儲ける方式なのかねぇ
    もはや組み立てでは儲からん

    2
    • 無印
    • 2023年 2月 23日

    >現地生産と技術移転が必須条件で
    パトリア社も「日本に現地生産と技術移転しまっせ」って言ってませんでしたっけ?
    車両だけじゃなく、商売の仕方もパトリア社から学ぶことは多そうです

    8
      • 無記
      • 2023年 2月 23日

      もがみ型の輸出が完成品4と現地生産4の予定やから、似たようなことはもうやっとるんちゃうか?
      まぁ輸出話や建艦やらが上手く行けばの話やろけども

      7
    • ホテルラウンジ
    • 2023年 2月 23日

    技術移転とのセットは新興国のテンプレートみたいな戦略になってきましたけど
    自国で製造基盤を作るというのは多分ほぼすべての国が失敗すると思いますね。
    理由は、そもそもの国民的な気質が製造業と合っていないと長続きしないと思うからです。
    今の先進国グループに入ってる国は、お金儲けを除外しても勝手に何かしらのモノを作るような国柄ですよね。
    日独みたいに偏執的な凝り性であったり、米英みたいに新しい考案をモノとして具現化させたいと考えるような連中です。
    中韓台は技術流出云々の話は別として、日本と並び追い越すような製造基盤を作りました。
    しかし、彼らのその後を見ていても製造業としてのイノベーションを起こしていないどころか、調子が悪くなってきてるのを見たり、中国が相変わらず検査が厳しい初期ロットだけ品質が良くて、その後のロットになると手抜きのロットをつくりだす所を見ても
    彼らが熱狂的に技術を習得したのは、彼らにとってのモノづくりが「貧乏から脱出する唯一の手段」だったからだけであって、
    本質的にモノづくりに興味はなく、貧乏から脱出した後は、大家業や金融商品などで一生楽して金が入る仕組みを作って、自堕落な生活をただ送りたいだけという本音の性分が垣間見えます。
    日本は国の政策の完全なる失敗でこれから発展途上国入りに落ちますが、製造業は採算度外視でまだ何かを作り出すでしょう。
    地味な所でも凝り性なのが日本人の性分だからです。だから、超長期的には国づくりのボトルネックが修正できれば再び製造業を軸にして先進国に戻ると思います。
    逆に中韓や、これから製造業の基盤を作ろうとしてるこの記事のサウジなどの新興国は一旦は基盤らしきものが作れるかもしれませんが、本来そんな事が好きな性分ではないのでいずれ飽きが来て長続きせずに衰退すると思いますね。
    製造業というのは地道な改善活動や探求活動があってこそ初めてハイレベルを維持できるのであって、モノづくりが合わない性分ではその地道な活動が堪えられないでしょう。派手な完成品や目立つ部品にだけ目が行くようでしたら次第にレベルがついていけなくなります。

    5
      • TA
      • 2023年 2月 23日

      日本の製造業に幻想を抱きすぎでしょう
      今まさに私はインパール作戦並みのデスマーチに投入されてるんだが、旗振り役は現実が見えておらず、実務を担当している連中は失敗を確信しているものの止める術がなく、止まらないトロッコに乗った気分だ
      製造業と言えど実際に手を動かしてるのは少数派で、熱狂的に技術習得に取り組んでるものはさらに少ない
      まさにモノづくりに興味がない連中が大半を占めているのが現実

      15
      • Hydra
      • 2023年 2月 24日

      そりゃ自動車や家電のように大量生産が求められる分野においては末端の作業員の質が高い先進国が有利でしょうけど、月産数機程度の話であれば作業員も国内数%の人材を選りすぐれば良いだけですので十分成立すると思いますよ。

      3
    • ぬえ
    • 2023年 2月 24日

    河森正治っぽいデザイン

    4
    • 出張ダルいおっさん
    • 2023年 2月 24日

    攻殻機動隊みたいなデザインで好きなんだが、スペック知りたい

    2
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