イスラエル国防軍やイスラエル航空宇宙産業で働いていたイスラエル人グループによる徘徊型ドローンの不正輸出先が「中国」だったと報じられており、日本にとっては無視できないニュースだ。

参考：Israeli private arms export is too terrible even for Tel Aviv

イスラエル人グループが取引を行った中国企業の裏にイランや北朝鮮といった国が関与していた可能性も

イスラエル警察は先月、相当な報酬や利益供与と引き換えにイスラエル人グループが「あるアジアの国」の事業体から指示を受けて徘徊型ドローンを国内で設計･製造、住宅地近郊でテストを行った後に不正輸出した疑いがあると発表して数十人のイスラエル人が逮捕された。

出典：イスラエル警察が公開した動画のスクリーンショット

イスラエル人グループが設計･製造した徘徊型ドローンは製品版の模倣ではなく完全なオリジナル設計で外見上は対戦車ミサイル「スパイクNLOS」に似ており、ロケットモーターで空に打ち上げられ本体後部のプロペラを作動させて空中を徘徊する仕組みで搭載されたEO/IRセンサー通じて得られた映像から手動で突入目標を指示するタイプではないかと推定されているが、元イスラエル国防軍当局者が事件に関与していることから「現在の徘徊型ドローンで一般的な徘徊･検出･突入を自律的に行う技術を入手した可能性も十分ありえる」と言われている。

この事件についてイスラエルは箝口令を敷いているためイスラエル人グループがアジアのどの国に徘徊型ドローンを不正輸出したのか謎だったのだが、遂にイスラエルが隠していた輸出先が明らかになった。

1/3 בחודשים האחרונים נחקרו מעל 20 אזרחים ישראלים, בהם יוצאי התעשיות הביטחוניות, בחשד שעסקו בפיתוח, ייצור, ביצוע ניסויים ומכירת טילים משוטטים חמושים עבור מדינה באסיה שלא כדין. מהחקירה עלה כי קיבלו הנחיות לפעולה מגורמים הקשורים באותה מדינה, בתמורה לקבלת כספים וטובות הנאה pic.twitter.com/LhevCiNocg

— משטרת ישראל (@IL_police) February 11, 2021

ロンドンに拠点を置き中東地域のニュースを専門に扱う「ミドル･イースト･アイ」に記事を寄稿しているイスラエル人ジャーナリストは「信頼できる関係者から情報提供を受けた」と主張して、イスラエルや現地メディアが隠してきた徘徊型ドローンの不正輸出先が「中国」だと明かした。

彼の話に説明によると「数千万ドルの報酬」と引き換えにイスラエルの無人航空機技術を中国に売り渡したグループは国防軍（IDF）で機密情報や武器開発に関与していた人間やイスラエル航空宇宙産業やミサイル製造企業で働いていた人間が多数含まれており、当局は報告書の中で「グループは最終的な取引相手である「中国」の存在を隠して徘徊型ドローンを輸出するため非常に高度な金融取引を駆使しており、これはイスラエルの武器輸出の歴史上最も深刻なセキュリティ違反の1つだ」と指摘しているらしい。

さらに報告書はイスラエル人グループが取引を行った中国企業の裏にイランや北朝鮮といった国が関与していた可能性も指摘しており、盗まれた技術を基に中国がイスラエル製のシステムを複製することも十分ありえると懸念しているとイスラエル人ジャーナリストは指摘している。

出典：Public Domain　軍事クーデターに反対するミャンマー人の集会

他にも米国のNYタイムズ紙は「ミャンマーは国際社会から様々な制裁や武器禁輸措置が課されているにも関わらず、先月のクーデターで軍が国民を監視するために使用していたのはイスラエルのエルビット･システムズ製造した偵察･監視タイプの無人航空機で、国民が使用しているApple製品から不正にデータを収集することが可能なMacQuisitionも使用されていた」と指摘して注目を集めている。

参考：Myanmar’s Military Deploys Digital Arsenal of Repression in Crackdown

NYタイムズの説明によるとイスラエルは武器禁輸措置に違反して2019年にエルビット･システムズ製の無人航空機やスペアパーツをミャンマーに供給、さらにApple製品をハッキングするツール「MacQuisition」を開発･販売する米国企業は2020年にイスラエル企業によって買収済みで、このソフトウェアを使用してミャンマー警察は軍のクーデターに抵抗する抗議者を効率的に見つけて取り締まっていると言及しており、最も重要な問題はミャンマーとの取引がイスラエル政府の承認の元で実行されている点だ。

NYタイムズは「イスラエルは武器禁輸措置に違反する行為でミャンマーの軍事クーデターを直接的に支援している」と批判している。

もし上記の内容が事実ならイスラエルは国際社会から大きな批判を浴びることになるはずで、イスラエル当局が箝口令を敷いてまで事件の詳細を隠そうしているのも頷ける。

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※アイキャッチ画像の出典：Julian Herzog / CC BY 4.0 イスラエル製無人航空機ハーピー