軍事的報道

新型コロナ感染防止よりも軍備優先? 中国、防衛産業の研究開発や生産再開を指示

中国は未だ新型コロナウイルス「COVID-19」の猛威が収まらない中で、防衛産業の研究開発や生産を再開させる動きを見せている。

参考:China’s arms industry back in business despite disruption by coronavirus

中国は新型コロナウイルス「COVID-19」の沈静化を待っていられない?

中国の武漢で発生した新型コロナウイルス「COVID-19」は中国の防衛産業にも大きな影響を与えており、各企業はウイルス感染から国産兵器の製造や開発に携わる技術者を守るため避難させたり、生産を停止するなどの措置を講じていた。

しかし、増大する軍の需要をこれ以上遅らせる訳にはいかない事情もあり、中国は防衛産業の研究開発や生産を以前のレベルにまで戻しているとサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙が報じている。

これまで中国は電磁式カタパルトを装備して米海軍のキティホーク級空母に匹敵すると言われている国産空母「003型」の建造を担当している上海の江南造船所や、中国北東の遼寧省で艦上戦闘機「J-15」を製造している瀋陽飛機工業集団は作業を中止し、ウイルス感染が疑われる従業員を隔離して重要な技術者達の安全確保に努めるなどの対策を講じたため空母の建造や艦載機製造に遅れが生じていた。

さらに新型コロナウイルス「COVID-19」が猛威を振るう湖北省武漢市には、電磁式カタパルトやレールガンなど高度な技術開発を行っている国防科技大学(旧国防科学技術大学)や通常動力式潜水艦や056型コルベットの建造を行う武昌船舶重工集団有限公司など多くの研究機関や兵器産業が拠点を置いており、このまま感染拡大措置を続ければ軍の計画が大幅に狂ってしまう。

そこで中国は新型コロナウイルス「COVID-19」の沈静化を待つこと無く、防衛産業の研究開発や生産を再開させる指示を出したという意味だ。

出典: public domain F-35A

特に中国が気にしているのは空母関連の研究開発とステルス戦闘機J-20の量産だ。

2030年までに東アジアに米国や同盟国がステルス戦闘機F-35を200機以上配備すると見られており、中国がこれに対抗するにはステルス戦闘機J-20を今後10年で300機程度生産する必要がある。現時点で中国空軍は24機のJ-20を実戦配備しているが、少なくとも年末までにあと26機を配備しなければならないと中国空軍の関係者が語った。

要するに、米国に対抗するためにはステルス戦闘機J-20のスケジュールをこれ以上遅らせることは出来ないという危機感を感じているのだろう。

ただしステルス戦闘機J-20の生産や配備については謎が多く、あと10ヶ月で26機もJ-20が生産できるのか非常に怪しい。

サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙が以前、成都飛機工業(集団)公司で製造されている中国のJ-20は月産1機体制で年間約12機程度の供給能力しかないと報じていた。これが正しいのなら年末までに供給できるのは10機程度となるため、少なくともこの体制では2030年までにJ-20を300機も生産するのは物理的に不可能だろう。

ここまで中国がJ-20の生産量を抑えているのは新型国産エンジン「WS-15」の開発完了と、J-20自体の技術的成熟を待っているためだと言われており、国産エンジンを搭載した完全版のJ-20を2030年までに300機揃えるのは不可能でも、超音速飛行時の操作性とステルス性能が低下する中国製エンジン「WS-10B」を搭載した現行のJ-20を2030年までに300機揃えるだけなら難しくはないのかもしれない。

どちらにしても、J-20にまつわる数字は情報源によって異なり信憑性が低いため2030年までに300機のJ-20が配備されるのかは、何とも言えないがステルス戦闘機J-20の改良や技術的な成熟、開発が進められていると言われる短胴タイプの艦載機型J-20や、新型国産エンジン「WS-15」の開発作業を感染拡大を防ぐよりも優先していることだけは確かなのだろう。

裏を返せばいつ感染拡大が沈静化するのか見通せていないため、防衛産業の研究開発や生産を再開させたと言える。

 

※アイキャッチ画像の出典:Alert5 / CC BY-SA 4.0 エアショー中国2016でのJ-20

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 2月 24日

    意味だ。
    意味だ。

    • 匿名
    • 2020年 2月 24日

    好きなだけJ-20を量産してくれ、2030年ごろには日本はF-3の配備を始める予定だから、そうなったらお互いをアグレッサーとしたDACTをしてみたいもんだ。
    大量のJ-20がポンコツだったと判ったらどうするんだろう、さすがに中国でも悩むんじゃないかな。

    • 匿名
    • 2020年 2月 24日

    流石は共産主義国家。
    軍事部門は、年間ノルマの達成の為にコロナウイルスどころでは無くなったと言う訳か。
    この後、どんな不具合が中国軍を襲うのか、高みの見物と行きたい所だね。

      • 匿名
      • 2020年 2月 24日

      新型コロナについては高みの見物とはならない状況になりつつあるのが悔しいです。

        • 匿名
        • 2020年 2月 26日

        経済的な悪影響が、東アジアに留まらない風なのが余計に痛いですよね。
        春頃までに終息してくれると良いのですが。

      • 匿名
      • 2020年 2月 25日

      まあ民間と政府の対策がチグハグなまま長引いてくれりゃいいね
      民間の不満が溜まっていけばそれだけその対策に国力削がれるわけだし
      せいぜい頑張れ共産党

    • 匿名
    • 2020年 2月 24日

    沈静化したと判断したんでしょう。
    指導者と言われる人達が。
    すごいですねぇ。

    • 匿名
    • 2020年 2月 25日

    コロナ「さ~てそろそろ本気出そうかな☆」

    • 匿名
    • 2020年 2月 25日

    新型コロナウイルスの正式名称は、SARS-CoV-2
    症状が、急性呼吸器疾患 19(COVID-19)

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