軍事的報道

日本独自の「早期警戒衛星」保有への布石、弾道ミサイル探知実験を実施

日本政府は、来年度打ち上げ予定の先進光学衛星(ALOS-3)に、弾道ミサイル発射を探知することが出来る赤外線センサーを搭載し、実証実験を行う予定だと産経新聞が報じている。

参考:ミサイル発射探知、実証へ 政府、警戒衛星の保有検討

日本独自の早期警戒衛星保有への布石

宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、H2Aロケットで来年度、打ち上げ予定の先進光学衛星(ALOS-3)には、防衛省ミッションとして「衛星搭載型2波長赤外線センサー」が搭載されている。

防衛省は、衛星搭載型2波長赤外線センサーを活用して、弾道ミサイル発射時の赤外線が探知可能かどうかを検証する予定だ。

防衛省の政策評価書には、こう書いている。

“高性能の赤外線センサから得られる衛星画像データの活用により、宇宙空間から我が国に飛来する弾道ミサイル発射の兆候や発射情報等をより早期に察知・探知することが可能となると期待されるが、防衛省が利用可能な衛星には現在そのような赤外線センサは搭載されていない”

“そのため、防衛省が研究試作した探知・識別能力に優れる高性能の赤外線センサの宇宙空間での実証・評価を行うとともに、将来の赤外線画像からの目標の検出・識別技術に関する研究に資するよう、目標及び背景の広範な観測データを様々な条件下で取得・蓄積する必要がある”

参考:平成26年度 政策評価書(事前の事業評価)要旨

今回、先進光学衛星に搭載された「2波長赤外線センサー」による検証は、日本独自の早期警戒衛星保有への布石と見られる。

早期警戒衛星とは、米国やロシア、フランスなど所有している弾道ミサイルの発射を探知するための衛星のことで、地球上で弾道ミサイルの発射が行われれば、米軍の早期警戒衛星「DSP衛星」によって、発射時の赤外線が探知され、即座に警報が発せられる。

現在、DSP衛星に変わる新しい早期警戒衛星として「SBIRS」の開発・打ち上げが進んでいる。

出典:Public Domain 2007年12月18日ハワイ・カウアイ島沖で行われた発射試験JFTM-1にて太平洋ミサイル試射場から発射された模擬弾道ミサイルを目標としてSM-3ブロックIAを発射する海上自衛隊のミサイル護衛艦「こんごう」

日本としては、北朝鮮の弾道ミサイル脅威に晒されているため、これまでもイージス艦に搭載する弾道弾迎撃ミサイル「RIM-161 Standard Missile 3:SM-3」や、弾道弾迎撃に対応したパトリオット PAC-3弾、地上配備型の弾道弾迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」など、弾道ミサイルから日本を守るための装備の導入を進めてきた。

この様なシステムを有用に活用するためには、北朝鮮による弾道ミサイル発射を、どれだけ早く探知出来るかに掛かっている。

日本は現在、弾道ミサイルに対する早期警戒について100%米軍に依存しているが、先進光学衛星に搭載された「2波長赤外線センサー」の結果によっては、日本独自の早期警戒衛星保有への道が開けるかもしれない。

 

※アイキャッチ画像の出典:Public Domain

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コメント

    • 匿名
    • 2019年 6月 15日

    恐らくできる見込、あるんやろね!

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