軍事的報道

ロシアの監視下に入る欧州、作動範囲約3,000kmのコンテナレーダーを欧州ロシア領に配備?

ロシアは現在、欧州やNATOにとって致命的なレーダーを飛び地であるカリーニングラードに設置しようとしており、近い将来、欧州全体の空はロシアの監視下に入ることになるとポーランドメディアが警告している。

参考:Rosjanie stawiają w Kaliningradzie radar, na którym będą obserwować całą Europę

欧州全体を監視下に置く事ができるロシアのコンテナレーダー

ロシアは水平線下に隠れている目標を観測できる次世代OTHレーダー(Over The Horizon Radar:超水平線レーダー)「29B6 コンテナ」の配備を進めており、昨年12月モスクワの南東約600kmに位置するモルドヴィア共和国に配備されたコンテナレーダーが運用状態に入った。

このコンテナレーダーをロシアは欧州のど真ん中に位置するロシア領(飛び地)カリーニングラードに設置する動きを見せているため、欧州諸国やNATO加盟国は警戒している。

このレーダーは一般的に使用されているレーダーとは異なり、地表面に沿って電波が伝播しやすい「地表波」や電子密度が高い電離層に反射する「上空波」など短波帯を利用して水平線下に隠れている目標を観測することが可能で、コンテナレーダーの作動範囲は約3,000km(高度は100kmまで)にも及ぶため欧州のど真ん中に位置するカリーニングラードに設置されれば欧州全体がすっぽりとコンテナレーダーの観測範囲に収まり、空中に存在するあらゆる目標(小型無人機、航空機、ミサイル、ロケット等)を観測できるようになる。

出典:Charly Whisky / CC BY-SA 3.0 OTHレーダーの原理

補足:コンテナレーダーの送信機は巨大なため地表に固定されているため360度を警戒することは出来ない。おそらくコンテナレーダーの送信機はカリーニングラードから西、ドイツやフランス方向に向けて最適化される可能性が高い。

ただしOTHレーダーは目標の位置や移動方向を観測出来てもミサイルを正確に誘導できるほどの精密さは無いため、コンテナレーダーが直接的な脅威になるかは不明だ。

しかし常に監視され続けるプレッシャーや、アクティブ・レーダー・ホーミングを採用した迎撃ミサイルのシーカー有効範囲が今より拡大すれば、コンテナレーダーが取得した情報を元に迎撃ミサイルを発射しても目標をシーカーが捉え目標を破壊するといったことも可能になるかもしれない。

ロシアはこのコンテナレーダーをモルドヴィア共和国(配備済み)やカリーニングラードだけでなく北極圏にも配備する予定で、さらななる追加配備も検討されており恐らく中東や極東をコンテナレーダーの監視下に置くことを目論んでいるのだろう。

そのため日本も他人事とのんびり構えていれば、いずれ欧州と同じ状況に陥るかもしれない。

 

※アイキャッチ画像の出典:Mil.ru / CC BY 4.0 OTHレーダー(Over The Horizon Radar:超水平線レーダー)「29B6 コンテナ」

護衛艦「まや」も搭載可能? 米海軍、極超音速ミサイル「SM-6 Block IB」2024年迄に実用化前のページ

F-35では対抗不可? 韓国メディア、日本の次期戦闘機「F-3」に制空権を奪われると警告次のページ

関連記事

  1. 軍事的報道

    4隻目までは通常動力空母? 中国海軍、技術的問題で「原子力空母」建造計画を保留

    中国海軍は、通常動力式の国産空母を建造後、早い段階で「原子力空母」建造…

  2. 軍事的報道

    台湾「M1A2戦車」導入へ前進!米国務省、戦車108輌売却(約2000億円相当)承認

    米国務省は台湾に対し、20億ドル(約2,163億円)相当のM1A2 エ…

  3. 軍事的報道

    ロシア空軍、ステルス戦闘機Su-57「フェロン」の正式運用を開始

    ロシア国防省は25日、空軍正規部隊のパイロットによって第5世代戦闘機「…

  4. 軍事的報道

    日本、F-35A国内組立価格を93.7億円まで圧縮に成功!最終組立ラインでの生産継続へ

    日本政府はコストの問題で、空自向けF-35A国内最終組立を取りやめ、米…

  5. 軍事的報道

    日本導入の可能性も? 米空軍、次期訓練機の名称「T-7A レッドホーク」に決定

    米空軍の次期高等訓練機に採用が決定してる「ボーイングTK」の正式名称が…

  6. 軍事的報道

    韓国、第4.5世代戦闘機KFXのレーダーは「F-35水準」でF-16Vより性能が優れている

    韓国のハンファシステムは、同社が開発中の第4.5世代戦闘機「KFX」用…

コメント

    • 匿名
    • 2020年 3月 21日

    有事の際には真先に破壊される奴ですね
    きょうび固定目標なんぞは地下にでも作らない限り守りきれないでしょう
    これはイージスアショアも同じだと思います

    • 匿名
    • 2020年 3月 21日

    他人事つーか日本が取れる対策とかあるの?
    ロシアのレーダーが思ったよりショボイことを願うとか?

    • 匿名
    • 2020年 3月 21日

    日本も導入しよう。

    • 匿名
    • 2020年 3月 21日

    >日本も導入しよう。
    と言うか、冷戦末期の1980年代後半に自衛隊がソ連の爆撃機の早期警戒用にと、OTHレーダーを喜界島などに設置する事をマジで検討した事があるよ…費用もさる事ながら、冷戦終結によって具体化しなかったけどね。

    あと、OTHレーダーは短波帯を使う関係から精度が非常に低く、近距離目標の観測が出来ないと言う短所があるので、「空中に存在するあらゆる目標を観測できるようになる」と言う記事の内容はやや眉唾モノだね。
    コンテナレーダー側が取得した情報を元に迎撃ミサイルを発射すると言っても、両者のデータリンク能力がしっかりしていないと機能しないので、その辺ロシア側は大丈夫なのか、疑問を感じている。

    • 匿名
    • 2020年 3月 22日

    いつも興味深い記事をありがとうございます。
    誤字の修正をお願いします。
    誤: しかし常に関しされ続けるプレッシャーや
    正: しかし常に監視され続けるプレッシャーや

    • 匿名
    • 2020年 3月 27日

    これ、レーダーじゃなくてELINTのためのパッシブアンテナですよね。目的を見れば明らかなんですが。
    欧州全体の静的な設置式レーダーや飛行中の航空機に至るまで、電波諸元から全て丸ごと収集するということです。
    位置情報を知るには2点交差や3点交差が必要なのですが、それは他のELINT機材と連携を取れば良いだけのこと。
    これによってもたらされる情報は、機材のみならず運用状況、稼働状況、訓練内容、演習内容に至るまで多岐にわたり、これを欧州全体まで広げようとしているロシアの本気度が伺えます。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  2. 軍事的報道

    国産防衛装備品の海外輸出が実現!フィリピンが日本製警戒管制レーダー「J/FPS-…
  3. 軍事的雑学

    着実にレベルアップを果たす日本の対潜哨戒機P-1、2020年度から「能力向上型」…
  4. 軍事的雑学

    ロシア製戦闘機を買うと損をする? SU-30SMを導入したベラルーシの後悔
  5. 軍事的雑学

    打つ手なし? ドイツ軍兵士は一般的な乗用車を「プーマ歩兵戦闘車」と思い込まされ訓…
PAGE TOP