ボーイングは「Sea Air Space 2019」で、米海軍が調達を予定している「F/A-18E/F “スーパーホーネット” blockIII」の概念を発表した。
参考:Boeing unveils new version of F/A-18 Super Hornet developed for U.S. Navy
blockIIIは、改良内容に派手さはないが理にかなったプランだ
F/A-18E/F blockIIIは、現在、米海軍が運用中のF/A-18E/F blockIIに大幅な改良を加えて、機体寿命を6000時間から9000時間にまで引き上げる事が主な目的だ。
米海軍は2021年までに、78機(単座のE型61機、複座のF型17機)のF/A-18E/F blockIIIを新規に製造するため、約40億ドル(約4400億円)の契約をボーイングに与えた。

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これは単純計算すると1機あたり約56億円で、F-35(約100億円)やF-15EX(約89億円)に比べると非常にリーズナブルだ。
主な改良範囲は以下の通りだ。
- 機体寿命を6000時間から、追加で3000時間延長
- F-16Vとよく似た、機体上部へのコンフォーマル・フューエル・タンク(3,500ポンド)の追加
- コックピットに10×19インチの、タッチ式ディスプレーを新たに搭載
- 大容量のデータを送受信出来るようネットワーク機能を強化
- 他のプラットフォームからの目標データ受信機能の強化
- IRST(赤外線捜索追尾システム)を組み込んだ増槽の採用
- LO塗装による低認識性の向上
- 推力向上型のF414-GE-EPE(26,400ポンド)の採用
F/A-18E/F blockIIIは、コンフォーマル・フューエル・タンクや、LO塗装により、敵レーダーからの認識性が減少する。これは機体形状の工夫による「レーダー反射断面積」を抑えるといった類ではなく、あくまで塗装と、機体素材による簡易的な「レーダー波の吸収」に留まる。
搭載レーダーも、blockIIの際、AN/APG-73からAN/APG-79に変更したが、blockIIIでは搭載レーダーの変更はない。
米海軍としては、ステルス戦闘機のF-35C配備が進む中、F/A-18E/Fに大金と時間をかけ機体形状をいじって「レーダー反射断面積」を抑えるよりも、改良範囲を絞り、ネットワーク関連の強化を行い、F-35Cとの連携を強化することで、F/A-18E/Fの価値とコストを保とうとしているのだ。
改良内容に派手さはないが、とても理にかなった能力向上プランだと評価できる。

出典:Public Domain 空母「ニミッツ」に着艦したF-35C
米海軍は、新規に製造するF/A-18E/F blockIIIの取得と同時に、既存のF/A-18E/F blockIIも、blockIIIへ改修を行う予定だが、全てのblockIIをblockIIIに改修するのかは未定らしい。
これは、今後F-35Cの配備が進めば、必要になるF/A-18E/Fの数も減少するという意味だ。
現在、F/A-18E/Fの導入を検討している、カナダ、ドイツ、フィンランド、マレーシア、ポーランド、スペイン、スイス等の国々だ。
仮にF/A-18E/Fを地上で運用する場合、艦載機特有の不必要な部分があるという欠点もあるが、1機あたり約56億円という価格は、空母を持たない国にとっても、非常に魅力的に映るだろう。もしかすると、米空軍が導入を要求しているF-15EXより魅力的かもしれない。
あくまで、性能とコストのバランスが良いという話で、F-35や、F-15EXよりも性能が優れていると言う意味でははない。
アイキャッチ画像の出典:ボーイング
先進国が先進国相手にする為の正面装備としては物足りないけど、アメリカのように大軍かつ、対テロに使う、もしくは韓国程度の国力なら十分有用な機体っぽいですね。
日本もエンジンの運用実績あげるようにガワだけ買って載せ変えてみても面白いかも知れませんねぇ。
開発費用は償却し終わってるから原材料と加工費だけですむからなぁ。
これ米軍向け価格っしょ? 他国向けの価格は倍くらいになるっしょ
うるさくて、足が短いことを、克服できているのかな?
>>機体上部へのコンフォーマル・フューエル・タンク(3,500ポンド)の追加
って書いてますがな
スパホは見た目もかっこいいし、日本も可能なら数十機調達して欲しいな。
グラウラー運用するにも有用だろうし。