欧州関連

感染経路がミステリー? 仏空母「シャルル・ド・ゴール」での新型コロナ感染者は50人に

フランス国防省は10日、空母「シャルル・ド・ゴール(R 91)」で行われた新型コロナウイルス「COVID-19」感染の有無を調べる検査によって50人が陽性反応を示したことを明らかにした。

参考:Coronavirus sur le Charles-de-Gaulle : trois marins évacués 

空母「シャルル・ド・ゴール」に新型コロナウイルスは何処から持ち込まれたのか?

当初、新型コロナウイルスの初期症状に似た症状を見せているのは40人と発表していたが実際には50人が陽性反応を示した。フランス国防省は新型コロナウイルスに感染した乗組員の健康状態は悪化していないと発表しているが、3人の感染者については「予防的措置」として南フランスのトゥーロンにある軍病院へ移送させている。

ただ空母「シャルル・ド・ゴール」で勤務する乗組員約2,000人を一度に検査するだけの資材や人員が無いため、今回検査を受けたのは全乗組員の3%に相当する66人だけだ。そのため検査が進めば新型コロナウイルスの感染者が増えいくものと予想されている。

そして仏メディアが最も注目しているのは空母「シャルル・ド・ゴール」への感染経路だ。

出典:Pascal Subtil / CC BY-SA 2.0 空母「シャルル・ド・ゴール」の飛行甲板に駐機中の戦闘機ラファール

現在、ポルトガルの沖合を航行中の空母「シャルル・ド・ゴール」が最後に寄港したのは先月の13日のブレスト港で、それ以降に外部と接触するような機会は一切なかったらしい。もしブレスト港寄港時に新型コロナウイルスが艦内に持ち込まれていたなら約14日間といわれる潜伏期間とは計算が合わないためミステリーだと報じている。

しかし空母「シャルル・ド・ゴール」は3月末にデンマークの港で補給を受けており、この時に何らかの形で艦内に新型コロナウイルスが持ち込まれていれば約14日間といわれる潜伏期間とも条件が合致するのだが、フランス国防省はデンマークで乗組員は1人も上陸していないと主張して譲らず、そうなると3月19日から22日まで北海で行われたNATOとの演習しかない。

この演習はフランスの空母「シャルル・ド・ゴール」とNATO加盟国のイギリス、ドイツ、スペイン、ポルトガル、ノルウェー、ベルギー、デンマークから派遣された艦艇によって行われたのだが、3月25日に演習に参加したベルギー海軍のフリゲート艦「レオポルド1世」で新型コロナウイルスに感染した乗組員が確認されおり、演習中の連絡業務でシャルル・ド・ゴールに新型コロナウイルスが持ち込まれたのかもしれないが、あくまで推測の域であり確証は無い。

さらに言えば、このミステリーが解けたところで新型コロナウイルスの艦内感染の抑え込むのに役立つわけでもなく、結局は一刻でも早く母港トゥーロンに帰還して米空母「ルーズベルト」のように原子炉監視の乗組員以外を全て陸に上げで隔離しなければ感染の拡大を食い止めるのは難しいだろう。

 

アイキャッチ画像の出典:Pascal Subtil / CC BY-SA 2.0 空母「シャルル・ド・ゴール」

ボーイングが空中給油機に革命を起こす? KC-46A空中給油作業無人化に繋がる技術を開発前のページ

サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    ポーランドとドイツが戦車を巡って喧嘩、戦車争奪戦の正直者はどっち?

    ウクライナに戦車を提供するという目的で一致するポーランドとドイツは「ギ…

  2. 欧州関連

    ロシアを刺激したくないドイツ、ウクライナへの榴弾砲輸出に必要な許可発行を拒否

    米メディアのウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙は21日、ドイ…

  3. 欧州関連

    ポーランド国防相、パトリオットのウクライナ配備を拒否したドイツに失望

    ポーランドはブラスザック国防相は7日「パトリオット部隊のウクライナ配備…

  4. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表

    トルコ最大の防衛見本市「TEKNOFEST2023」が開幕、BAYKA…

  5. 欧州関連

    ゼレンスキーとプーチンが共に前線を視察、ロシア軍司令部の位置がバレる

    ウクライナは「ゼレンスキー大統領がアウディーイウカを訪問した」と、ロシ…

コメント

    • 匿名
    • 2020年 4月 11日

    現場には、上層部の把握してない人の動きがあるんじゃないの、それだけ。
    ミステリーなんか基本的には無いよ

    • 匿名
    • 2020年 4月 11日

    中国海軍は、大丈夫なのか?

      • 匿名
      • 2020年 4月 11日

      中国軍、最近やたら元気ですね。

      武漢がヤマを越えたと言っても、国内の感染者が他にいない訳がなく、軍だって同じこと。

      北のミサイルと同じで、強がりかも。

      我が軍に感染者はいないアル!だから示威行為もできるアル!

    • 匿名
    • 2020年 4月 11日

    いや上陸はしなくても空母なら洋上で頻繁に補給受けるだろ
    その時に陸から来た補給要員に移されただけだろ

    • 匿名
    • 2020年 4月 11日

    単に最初に艦内で感染した人が無症状だっただけじゃないの
    それで他にうつせば発症時期なんていくらでもズレるでしょ

    • 匿名
    • 2020年 4月 11日

    物体の表面に付いた飛沫から感染したかな
    人から人とは限らない

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
  2. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
  3. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
  4. 中国関連

    中国、量産中の052DL型駆逐艦が進水間近、055型駆逐艦7番艦が初期作戦能力を…
  5. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
PAGE TOP