軍事的報道

ロシア、イラン国境で米軍のステルス戦闘機「F-35」を検出したと公表

イランがウクライナ国際航空のボーイング737型機を撃墜した事件についてロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、この事件の引き金は米国が6機のF-35をイラン国境を脅かしたためだと指摘した。

参考:Russia says Iran shot down passenger plane after US jets were sent to its borders

イラン国境近くで米軍のF-35を検出したと主張するロシアの狙いは?

当初、エンジン故障が墜落原因だと主張したイランを支持する動きを見せていたロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は18日、イランがイラクに駐留する米軍基地に対し弾道ミサイルで報復攻撃を行った直後、イランの国境近くで6機のステルス戦闘機F-35を検出したと明らかにした。

ラブロフ外務大臣が「当時、イラン空域の近くで少なくとも6機のF-35が飛行しており、当時の状況が緊迫していたことを物語っている」と話したのは、イランが民間機を米軍機(もしくは米軍の巡航ミサイル)だと誤認したのは、米国がステルス戦闘機F-35をイラン国境付近へ接近させ緊張を煽ったからだと言いたいのかもしれないが、F-35が国境を犯してイラン空域に侵入した事実はなく、イランの誤射を米国の責任に転嫁する理由にはならない。

出典:public domain

しかしロシアが明らかにした事実は、2つの意味を米国に突きつけている。

1つ目は、イラン空域の近くを飛行していた米軍のF-35は恐らく、訓練ではなく実戦任務を想定して飛行していた可能性が高く、レーダーリフレクターが無い状態=要するにF-35のステルス性能が最も高い状態で飛行していたにも関わらず、ロシアの防空レーダーに検出されていたという点。

2つ目は、ラブロフ外務大臣はどこに配備してあるレーダーがF-35を検出したのかについて明らかにしなかったが、恐らくロシア南部に配備された防空システム「S-400」もしくは最新の「S-500」が、直線距離で600km以上離れたイラン西部国境空域まで監視下に置いているという点だ。

ロシアの主張を裏付ける証拠はないが、もし事実なら米軍はロシアのレーダーにF-35が検出されるという事実を再確認したことになり、もしハッタリだったとしてもロシア製防空システムがF-35を検出したと世界中に宣伝できたと考えれば、ロシアの防空システム人気は更に高まることになる。

果たしてロシア製レーダーは、何百kmmの離れた場所を飛行するF-35を本当に検出出来るのか?もし出来るなら、どのような仕組みで検出しているのか?ぜひ教えて欲しいものだ。

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Yasuo Osakabe

韓国企業に勝算は? ステルス戦闘機「F-35ライトニングⅡ」部品整備受注のラストマッチ開幕前のページ

中国の国産空母は当面張子の虎? 本格的な空母運用を妨げる2つの問題点次のページ

関連記事

  1. 軍事的報道

    大胆な新デザイン!海自向け「次世代潜水艦コンセプトモデル」に海外も注目

    6月17日、千葉市美浜区の幕張メッセで開催された「MAST Asia …

  2. 軍事的報道

    韓国空軍、初期運用能力を獲得した「F-35A」の部隊配備を宣言

    韓国は12月17日、米国から導入した第5世代戦闘機「F-35A ライト…

  3. 軍事的報道

    北朝鮮の「瀬取り」監視のため、オーストラリアが4度目となる航空機「P-8ポセイドン」派遣

    防衛省の発表によれば、国連安保理決議により禁止されている北朝鮮籍船舶の…

  4. 軍事的報道

    ドイツ軍3大ミステリー!海軍は艦艇不足、空軍は航空機不足、陸軍は装備不足、予算はどこへ?

    ドイツ海軍はかつてないほど規模が小さくなり、ドイツ空軍の航空機は地上か…

  5. 軍事的報道

    やっぱり無理だった? 韓国、名品武器と喧伝した複合型小銃「K-11」開発・量産を正式に中断

    韓国の防衛事業庁は4日、問題の多かった複合型小銃「K-11」の開発・量…

  6. 軍事的報道

    荒れた海で運用不可? 米メディア、米海軍の小型艦による中国対抗策は無意味と警告

    米国の経済誌「フォーブス」は小型艦中心の艦隊編成によって355隻体制を…

コメント

    • 匿名
    • 2020年 1月 20日

    これは興味深いですね。米軍から何か反応や対応は出てくるのでしょうか。明言された以上は放置しないと思うのですが。

    • 匿名
    • 2020年 1月 20日

    別におかしな話ではない。
    電波吸収材を塗っているとはいえ、基本は電波の反射を制御しているだけで、反射しないわけではない。
    ある一定範囲にまとまって反射しているから、その反射波を捉えるのは容易。
    ただ、継続して捉え続けられないので、追尾できず、迎撃できない。

    F-35がイラン上空に居たのなら問題だが、イラク上空なら問題ない。
    通常の警戒活動でしかない。

    ラブロフ外相は、無駄なことを言っているだけ。
    F-35が飛んでいようがいまいが、緊迫した状況であった。

    逆に言えば、緊迫した状況で危険なのであれば、イランは安全確保のために民間機の運行を規制すべきであっただろう。

    1
    • 匿名
    • 2020年 1月 20日

    旅客機を誤射したということは、ロシア製の防空システムは、大型旅客機と戦闘機と巡航ミサイルの区別がつかないということだな。
    ラブロフ外相は、このとんでもない出来の悪さを誤魔化したかったのだろう。

    1
    • 匿名
    • 2020年 1月 20日

    ブラフでしょうね。
    だけど、アメリカは対応するでしょう
    軍事の基本的なドクトリンは、ウソか? 本当か?は別にして、相手の言う仕様を丸のみにして対応策を考案/実施する

    • 匿名
    • 2020年 1月 20日

    以前イラク内のISILの拠点を空爆した際はリフレクターを装備した状態だったので
    イランへの示威行為であるなら今回も装着していたのでは?

    • 匿名
    • 2020年 1月 20日

    VHFレーダーを使った可能性はないのでしょうか。
    分解能が低いので距離などの算定が難しくなるので、ある程度ステルス機が来ていることだけはわかると思います。そして、そこへ旅客機がレーダーの範囲内に入ったことで誤認して撃墜してしまった。

    これならば、ロシアの言っていることもある程度説得力が行くかと。

      • 匿名
      • 2020年 1月 21日

      VHFレーダーだと、水平線以遠の監視も実現し易かったような。
      分解能を確保し難い筈なので、機数の判別が出来るのか疑問だけど。

    • 匿名
    • 2020年 1月 20日

    F-35は600kmもの遠距離から探知されるほどの高高度を飛んでいたのかね?
    高度2万5000m以上じゃないと、水平線に隠れるのだが

      • 匿名
      • 2020年 1月 20日

      地球平面説を採用しているんでしょうな

      1
    • 匿名
    • 2020年 1月 20日

    この件、ラブロフ外務大臣(メドヴェージェフ内閣総辞職の影響で「代行」のはずだけど?)による“フェイク”だと思うな。
    第一、イラン領空に接近していたと言う6機のF-35はイランへ侵入していない事から「イラン攻撃は意図しておらず、従ってレーダーリフレクターも付けていた状態だった」可能性が高い。
    逆を言えば、F-35がレーダーリフレクターを付けずに相手国近くへ接近しているのを発見したなら、その時は「本気で相手国を攻撃する時」と断言しても良い(ステルス性はそう頻繁に相手に見せびらかして良い物ではない為)が、今回はそうでは無かったと思われる。
    更に重大なのは、ウクライナ国際航空のB-737型機が撃墜されたのは離陸直後なのに、何故イラン領空の手前を飛行中だったF-35が撃墜事件の切っ掛けを作ったのかと言う理由をラブロフ外務大臣は説明していない事。
    状況から見て、イラン革命防衛隊はちゃんと監視していれば「離陸中の旅客機」だと気付いたはずなのに、ロクな確認もせずSAMを撃っているのは明らかなので、彼らの馬鹿さ加減を隠ぺいする為にF-35の件を持ち出したのではないだろうか?

    • 匿名
    • 2020年 1月 20日

    レーダーの周波数によっては探知可能、ただし照準出来ないのは常識。

    • 名無しさん
    • 2020年 1月 21日

    ロシアのバイスタティック・レーダーの記事はこのサイトにもありますね

    『ロシアが開発したNNIIRT 52E6MU「Struna-1」と呼ばれるレーダーは、これまでのレーダーとは全く異なる種類が異なり「バイスタティック・レーダー(Bistatic radar)』

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 軍事的雑学

    ロシア製戦闘機を買うと損をする? SU-30SMを導入したベラルーシの後悔
  2. 軍事的雑学

    打つ手なし? ドイツ軍兵士は一般的な乗用車を「プーマ歩兵戦闘車」と思い込まされ訓…
  3. 軍事的雑学

    空飛ぶスナイパー? ロシアの戦闘機「Su-57」は米軍の航空支配を効果的に破壊す…
  4. 軍事的雑学

    着実にレベルアップを果たす日本の対潜哨戒機P-1、2020年度から「能力向上型」…
  5. 日本関連

    海外メディアも注目、横浜で護衛艦「いずも」の空母化工事が始まる
PAGE TOP