ロシア関連

第5世代機「SU-57」輸出準備完了!ロシア、輸出仕様の「SU-57E」を発表

ロシアは8月27日から開催される「MAKS国際航空ショー」で、第5世代ステルス戦闘機「SU-57」の輸出バージョン「SU-57E」を発表する。

参考:РОСОБОРОНЭКСПОРТ РАССКАЖЕТ ИНОСТРАННЫМ ПАРТНЕРАМ О НОВЕЙШИХ РОССИЙСКИХ ВОЕННЫХ САМОЛЕТАХ НА МАКС-2019

SU-57の輸出バージョン、SU-57EがMAKS国際航空ショーで公開される予定

ロシア政府によって設立され、ロシアにおける防衛機器の輸出入を仲介する唯一の企業「ロソボロネクストポート(ROSOBORONEXPORT)」は、8月27日からモスクワ近郊のジュコーフスキー空港で行われる「MAKS国際航空ショー」で、ロシアが開発した第5世代ステルス戦闘機「SU-57」の輸出バージョン「SU-57E」を初めて公開すると発表した。

ロソボロネクストポート社によれば、SU-57Eを輸出するために必要な輸出許可文書を政府から全て受け取っており、SU-57Eに興味を持つ国に対し「必要な情報」を提供できると言っている。

恐らく、必要な情報とは、導入を考える第3国に対してSU-57Eの性能についての情報を提供できるという意味だろう。

出典:Attribution: Dmitry Zherdin / CC BY-SA 3.0

ロシア空軍が導入するSU-57と、輸出バージョンのSU-57Eとの違いは、今の所、搭載エンジンの違いだけしか判明していない。

SU-57には、新型エンジン「izdeliye30」が搭載される予定で、現在搭載されているエンジン「AL-41F1」に比べてドライ推力で15%、アフターバーナー使用時で20%ほど推力が向上しており、他にも燃費の向上、発電能力の強化、可動部品の削減による信頼性向上がアピールされているが、輸出バージョンのSU-57Eには、引き続き「AL-41F1」が搭載されると言う。

これ以外の違いについては情報がないため良くわからないが、これまでのロシアが輸出してきた兵器に施してきたダウングレードを考慮すれば、当然、アビオニクスにも違いがあると思うが、過去、ダウングレード(モンキーモデル)をやり過ぎたソ連製T-72は、西側の主力戦車に歯が立たず、一方的にやられてしまい、ソ連製兵器の評判を落としてしまった。

出典:public domain イラク軍で使用された輸出向けのT-72M

その辺りの事情も考慮すれば、SU-57と比べて「極端」な性能低下を施してはいないだろうと推定される。

ロソボロネクストポート社のプレスリリースに掲載されたSU-57Eの評価は、以下のようなものだ。

SU-57Eは、全天候下で幅広い任務(対空、対地、対艦任務)で使用でき、どんな厳しい電子妨害下でも活動が可能、第4世代機と比べて、レーダーと赤外線からの低認識性、機体内兵装、超音速巡航能力(スーパークルーズ)、優れた機動性、長距離精密誘導武器の運用能力などが優れていると書いている。

最近、当ブログで紹介した、マッハ10で飛翔し、地上の固定目標や、水上を移動する空母や巡洋艦、駆逐艦を攻撃することが可能な極超音速ミサイル「KH-47M2 Kinzhal(キンジャル)」も、SU-57のウェポンベイ内に搭載するため、現在、小型化したバージョンが開発中だ。

出典: kremlin.ru / CC BY 4.0 KH-47M2 Kinzhalを搭載したMiG-31K

恐らく、長距離精密誘導武器の運用能力とは、このような極超音速兵器のことを指しているのだろう。

そして、最も注目されるのは、輸出バージョンの「SU-57E」を、ロシアは一体「幾ら」で売るのか?

ロシアは76機のSu-57を、約26億3000万ドル(約2900億円)で調達すると言っており、1機あたりの価格は、たった3400万ドル(34億円)という計算で、多くの軍事専門家が口を揃えて「安すぎる」と言っている。

ここまで価格が安くなったのには、幾つの理由があり詳しくは下記記事を参照してほしい。

もし、1機あたり50億円程度の価格を設定すれば、SU-57Eに飛びつく国は、中国やシリア以外にも出てくるだろうが、その場合、機体価格以外の部分で、今以上にロシアに金を毟られることになるだろうが、中国を除いて、自国で第5世代機の開発が難しい西側と対立する国とっては、唯一の選択肢だ。

SU-57タイプのステルス機と、ロシア自慢の極超音速兵器が中国やシリアなど、西側と対立する勢力に行き渡れば、益々、世界の軍事バランスは崩れていくことになる。

 

※アイキャッチの出典:Michail / stock.adobe.com

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コメント

    • 匿名
    • 2019年 8月 18日

    いやぁ15%も出力に差があれば話にならんでしょう
    それとも運動性能がぞれほど求められていないのか?

    1
    • ウリナラも買うニダ
    • 2019年 8月 18日

    韓国か買って、核心的技術を手に入れるか?

    • Край
    • 2019年 8月 18日

    日本でもSu-57を買ってみてはどうだろうか
    アグレッサー部隊用に1機
    それとリバースエンジニアリング用に1機
    アホみたいにF35Bを揃えてハンガーに並べておくのに比べたらより有効に運用できると思うんだが…?

      • 匿名
      • 2019年 8月 18日

      F-35を大量に購入するだけじゃなく新型戦闘機の開発まで控えているのにSu-57購入の予算が通るとはとても……

      • 匿名
      • 2019年 8月 18日

      一機だけじゃ採算がとれないからメーカーが断る
      それに性能がアメリカに伝わるのが火を見るより明らかだからどっちにしろ無理

      3
    • 匿名
    • 2019年 8月 18日

    かっけーなぁ。性能どうこうはさておきデザインの格好良さはスホーイ社の機体は世界一だと個人的に思うわ。性能どうこうはさておき。

    1
    • 匿名
    • 2019年 8月 19日

    15パーセント減でも単発のF35より出力は上なんだろうな

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