軍事的報道

高圧海水管破裂で乗組員溺死の危機、英空母「クイーン・エリザベス」緊急帰投

英海軍が誇る最新鋭空母「クイーン・エリザベス」が「水漏れ」のため、予定されていた海上試験を切り上げ、ポーツマス海軍基地に帰投したが、事態は考えられているよりも深刻な状況のようだ。

参考:HMS Queen Elizabeth put three crew members at risk of drowning after 66,000-gallon water leak

空母「クイーン・エリザベス」が受けた損傷は、思っていよりも深刻な状況

英海軍が建造した艦艇の中で、最も巨大なクイーン・エリザベス級空母の1番艦「クイーン・エリザベス」は6月17日、海上試験と訓練を兼ねた5週間の航海のため、ポーツマス海軍基地を後にしたが、艦内に「水漏れ」が発生したため、予定を切り上げて再びポーツマス海軍基地に戻ってきた。

英国の国防省によれば「クイーン・エリザベスの船体自体に損傷はないが、艦内に溜まった少量の水を除去する必要に迫られた」と状況を明らかにし、溜まった水の排水を行った後、予防的措置の次元で、予定を切り上げポーツマス海軍基地へ帰投した。

水漏れの原因について、英国防省は現在「調査中」だと話した。

しかし英国メディアを中心に、「水漏れ」トラブルの内容が徐々に漏れ伝わってきた。

トラブルが発生したのは、艦前方の区画で、高圧の海水管が破裂し、約66,000ガロン(約250トン)の海水が、2つの区画に流れ込み、この影響で、その区画にあった階段や隔壁は損傷し、幾つかのデッキプレートを破壊し、3人の乗組員が溺死の危機に晒された。

6万5,000トンの空母「クイーン・エリザベス」にとって、250トン程度の海水は非常に「小さい」ものかもしれないが、艦の重心から離れた場所での浸水の場合、艦のトリムに問題を引き起こすには十分な量で、塩分を含んだ海水は腐食性が高く、もとに戻すための作業をより面倒にさせるだろう。

空母「クイーン・エリザベス」に生じた問題がどれだけ深刻かを推測する意味でも、7月後半に予定されているイベントに、空母「クイーン・エリザベス」が参加できるのかが、一つの指標になるだろう。

Attribution: Brian Burnell / CC BY-SA 4.0 空母クイーン・エリザベス

このような「水」にまつわるトラブルは、空母「クイーン・エリザベス」にとって初めてではなく、2017年12月には、スクリューのシャフトからの漏水(毎時200リットル)が見つかり、2019年1月には、スプリンクラーシステムの誤作動により、艦載機を収納する格納庫が水浸しになり軽度のダメージを残した。

水のトラブルとは関係ないが、最近、空母「クイーン・エリザベス」の艦長は、公用車の無断使用による規律違反で解任されたばかりだ。

英海軍の空母「クイーン・エリザベス」は2018年の大半を米国の東海岸で過ごし、2019年初頭に英国に戻ってきたばかりで、今後、海上試験や定期検査を受けたあと、秋頃には再び米東海岸に戻り、米国で訓練を受けている英空軍のF-35B部隊と空母「クイーン・エリザベス」での運用試験を行うことになっており、順調に試験が進めば2021年までに空母「クイーン・エリザベス」でのF-35B運用体制が整う予定だ。

もし、今回の「水漏れ」問題が長引くようなことになれば、2021年頃に予定されている空母「クイーン・エリザベス」の南シナ海派遣も怪しくなってくる。

果たして、空母「クイーン・エリザベス」は「短期間」で予定されたスケジュールに戻ってくることが出来るだろうか?

 

※アイキャッチ画像の出典:public domain

再び「水漏れ」トラブル、英空母「クイーン・エリザベス」緊急帰投前のページ

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コメント

    • 匿名
    • 2019年 7月 11日

    戦艦での水漏れ事故というと
    ulyssesのトイレ故障のエピソードを思い出す
    終戦まで戦い抜く幸運が女王陛下に、あらん事を

    • 匿名
    • 2019年 7月 18日

    正直、中国韓国を中心に粗悪な鉄鋼が世界に蔓延してからこうした事故や不具合が増えている
    米国の中国韓国の迂回鉄鋼輸入を400%関税掛けて実質禁輸したのもこうした不安も一因だろうね
    もっと素材にたいしての認識が変わらないとこうした不具合は増えていくだけ

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