インド太平洋関連

原潜や核兵器を要求? 韓国メディア、在韓米軍コスト増を容認する見返りを米国に求めよ

韓国メディアは調整が難航している在韓米軍防衛費分担金交渉について、大幅増額が避けられないのなら韓米ミサイル指針の廃棄など対価を要求すべきだと報じている。

参考:방위비 갈등 난국을 안보 실익 극대화 기회로[국방 이야기/윤상호]

米国は韓国にコスト負担増を、韓国は米国に何を要求する?

米国のトランプ大統領は在韓米軍のコスト負担について大幅な増額を要求し、小幅増額を提案する韓国との調整が難航している。

双方とも2月末交渉妥結に向けて要求の溝を埋める努力を続けているが、米国は同盟国の「安保無賃乗車」を容認できないと表明しているため韓国が提案する小幅増額を受け入れる可能性は非常に低く、奇跡的に受け入れたとしても米国が求める水準のコスト負担が実現するまで、毎年このような交渉が繰り返されるだけだという見方が強い。

米国としては韓国に最低でも1兆5,000億ウォン(約1,390億円)以上のコスト負担を要求してくると見られており、これを減額する方法がないのなら別の手段で「実利」を手にしなければならないと韓国メディアが指摘している。

では、在韓米軍防衛費分担金の大幅増額を容認する代わりに韓国が要求する実利とは何なのか?

出典:alexyz3d / stock.adobe.com

韓国メディアによれば、弾道ミサイルの性能を制限(射程距離や弾頭重量)している「韓米ミサイル指針」の完全撤廃や、ウランの濃集を低濃縮(20%未満)までに制限している韓米原子力協定の改正の要求、米国との核兵器共有などを挙げている。

韓米ミサイル指針は韓国が保有できる弾道ミサイルの射程距離と弾頭重量を制限しているが、何度の改定を経て弾頭重量に関する制限は撤廃されたが射程距離については800km(当初180km)までと制限が続いており、さらに民生用途の固体燃料方式によるミサイル開発も禁じられているため、韓国が得意な民生用途を装った開発も完璧に封じられている。

韓米原子力協定は原子力潜水艦保有最大の障害となっており、軍事用途のウラン高濃縮を米国に認めさせることが出来れば事実上、原子力潜水艦保有への扉が開かれたことになり、米国による最終使用承認を前提に韓国の戦闘機や潜水艦に戦術核兵器を搭載して運用する「核兵器の共有」も提案してみる価値があると韓国メディアは報じている。

米国のトランプ大統領が掲げる自国優先主義に基づいた在韓米軍防衛費分担金交渉は韓国にとって危機的状況だが、韓国も「コリアファースト」を掲げ在韓米軍防衛費分担金の大幅増額を容認する対価を「堂々」と要求するなど、双方にとって実益のある交渉にしなければ意味がないと指摘した。

関連記事:韓国の原潜保有を承認? 米海軍、協力はしないが韓国の仏原潜導入に反対しない

関連記事:日本も対応策が必要? 韓国海軍、公式に「原子力潜水艦」保有への動きを認める

関連記事:米国、韓国の文大統領が要請した「ロサンゼルス級原潜」売却を拒否

 

※アイキャッチ画像の出典:pixabay 原子力潜水艦イメージ

ベースはくにさき型巡視船、フィリピン沿岸警備隊向け巡視船2隻を三菱重工業が受注前のページ

ラファール失敗は単独開発? フランス、反省を生かした第6世代戦闘機開「FCAS」で共同開発の罠に嵌る次のページ

関連記事

  1. インド太平洋関連

    インド海軍が2隻目の国産空母建造計画を提出、ヴィクラント級空母の再発注

    インド海軍は2隻の空母=改キエフ級を改装したヴィクラマーディティヤと国…

  2. インド太平洋関連

    インド海軍の次期潜水艦調達プログラムから独仏西露が脱落、残ったのは韓国だけ?

    インド海軍が予定しているAIP機関を備えた通常動力型潜水艦(プロジェク…

  3. インド太平洋関連

    韓国は中距離弾道ミサイルを開発可能に、米国は「ミサイル指針撤廃」に何故応じたのか?

    米国を訪問してバイデン大統領と首脳会談を行った韓国の文大統領は21日、…

  4. インド太平洋関連

    台湾で6月末に退役したHAWKシステム、米国経由でウクライナに移転か

    台湾の中国時報は14日「6月末に国軍から退役したHAWKシステムを米国…

  5. インド太平洋関連

    インド、ロシアと防衛装備の代金支払とスペアパーツの現地生産で合意か

    ロシアとインドは防衛装備の輸出に関連した支払方法とスペアパーツの現地生…

コメント

    • ハヤタ
    • 2020年 2月 06日

    積んでも良いけど
    自分の国に落とすんじゃないよ
    隣の国に献上しちゃうんでしょう
    あげちゃうのかな

      • 東山 寒
      • 2020年 2月 06日

      明らかに不必要な軍備を欲しがる韓国。どうしても日本を叩き潰したいらしい!
      原子力潜水艦を太平洋側に展開させて、日本海側から通常兵器で…か。
      計画もおおざっぱで意図が透けて見える。最初の侵攻上陸地点は対馬辺りかな。
      現実と乖離した夢を見ることが好きな国ではある。

    • 匿名
    • 2020年 2月 06日

    右手に原潜、左手に核兵器を持って、維持費という名の縄で、首をくくりたいらしい。

    • 匿名
    • 2020年 2月 06日

    浅く狭い領海で何するつもりなんだ?

    1
    • 匿名
    • 2020年 2月 06日

    ムクゲの花を咲かせたいのでしょう。
    基地害に刃物ってね。

    • 匿名
    • 2020年 2月 06日

    >射程距離については800km(当初180km)までと制限が続いており、さらに民生用途の固体燃料方式によるミサイル開発も禁じられているため、韓国が得意な民生用途を装った開発も完璧に封じられている。

    >軍事用途のウラン高濃縮を米国に認めさせることが出来れば事実上、原子力潜水艦保有への扉が開かれたことになり、米国による最終使用承認を前提に韓国の戦闘機や潜水艦に戦術核兵器を搭載して運用する「核兵器の共有」も提案してみる価値があると韓国メディアは報じている。

    これって、核弾頭装備の潜水艦発射用弾道ミサイル、および弾道ミサイル装備の原潜を開発・保有の意思ありと読み取れます。
    明らかに対北朝鮮用ではないでしょう。
    対日本恫喝用と使われることを危惧します。

    もっとも、他の読者さまご指摘の通り、開発費:維持費が国力に見合わないので韓国民に負担のしわ寄せがいくでしょう。

    • 匿名
    • 2020年 2月 06日

    「潜水艦に戦術核兵器を搭載して運用する核兵器の共有」とか出来るワケないやん。コレ書いた奴、マジで頭オカシイ。

      • 匿名
      • 2020年 2月 07日

      >核兵器の共有」
      って北朝鮮とならやるかも?

    • 匿名
    • 2020年 2月 06日

    いや……同盟国としての責務を果たしてないから懲罰的な駐留経費負担を要求されてるのに
    「金払うんだから見返り寄越せ」とはいくらOINKとはいえ常軌を逸し過ぎ
    瀬戸際外交を演じている気でいるが本当に崖っぷちに立たされてる自覚がない

    • 匿名
    • 2020年 2月 06日

    実現性は低いとは思うけど、こういうマインドは多少は真似て欲しいところ
    勿論核や原潜なんて突飛な水準は無しだけど
    アメリカにとって無理がない範疇での見返りを交渉してみてもバチは当たらんのでは
    艦隊まるごといるからとはいえ、あれこれ入れると凄い額だしてるし

      • 匿名
      • 2020年 2月 06日

      「認めてやったんだから、いますぐうちから全部買え」と言われたいの?

    • 匿名
    • 2020年 2月 06日

    対日戦の意図を全く隠さなくなってきてるな。

    • 匿名
    • 2020年 2月 06日

     現在、アメリカが在韓米軍(陸軍主体、MLRS*2大隊/ソウル以北、航空兵力、機甲化兵力*2大隊/平沢市・ハンフリーズ基地、空軍はF-16*2飛行隊、A-10だけ/平沢市・鳥山空軍基地、海軍はナシ)を駐留させてるのは北朝鮮との交渉でカードとなるからだけだよね。
     リスクも増えてる・・・北朝鮮の新型ミサイルで平沢市の2つの基地が射程距離に入った事ですね
    アメリカは対・北朝鮮のカードとしてしか考えていないでしょうね。

    核武装については、アメリカでは日本、韓国に容認しよう、もっと言えば対・中国について任せる範囲を増やそうって動きはあるみたいですね。 つまりは韓国だけが核武装できるとでも思っていたら、それは夢物語

    • 匿名
    • 2020年 2月 06日

    仮に原子力関連の規制が緩和され、中古原潜を手に入れたとしたら・・・
    中国が黙って居ないでしょうね。

    • 匿名
    • 2020年 2月 06日

    中国やロシアや北朝鮮が黙ってるはずがないのにな

    • ハヤタ
    • 2020年 2月 07日

    核ミサイルあげちゃうって
    飛ばされて落とされないようにね
    もらいかた間違えたらあの世行きだよ

    • 匿名
    • 2020年 2月 07日

    まさにキ○○イに刃物。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
  2. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
  3. インド太平洋関連

    米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を…
  4. 中国関連

    中国、量産中の052DL型駆逐艦が進水間近、055型駆逐艦7番艦が初期作戦能力を…
  5. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
PAGE TOP