軍事的報道

どうしてこうなるのか?韓国海軍、調達した対艦ミサイルの半分が故障

英国のアグスタウェストランド社が開発し、韓国海軍が主力ヘリとして採用した「リンクス(スーパーリンクス Mk.99)」に搭載する対艦ミサイルの大半が故障し使用不可能だった。

参考:해군 링스헬기 유도탄 절반 고장 ‘쉬쉬’..수백억 원 손실

韓国海軍が導入した対艦ミサイルの半分が使用不可能?

韓国海軍は海上作戦ヘリ(対艦・対潜ヘリのこと)として、英国のアグスタウェストランド社が開発した「リンクス(スーパーリンクス Mk.99)」を25機導入する際、このヘリに搭載するための「シースクア対艦ミサイル」を88発調達した。

米海軍や海上自衛隊が採用している対潜ヘリ(SH-60シーホーク等)に比べ、リンクスは機体やエンジン出力が小さいため兵器搭載量が少なく、1度の出撃で「対艦任務」と「対潜任務」の両方をこなすことが出来ず、対艦任務の際はシースクア対艦ミサイルを4発、対潜任務の際は対潜用短魚雷を2発搭載して出撃する。

出典:heb@Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0 セティス級哨戒艦に着艦中のリンクスMk.90B

韓国海軍は現在、リンクスを計22機運用中(3機失っている)なので、最低でも88発のシースクア対艦ミサイルが必要になるので、韓国海軍が調達したシースクア対艦ミサイルの量は十分だと言える。

ただし、正常に動けばの話だ。

今年3月、韓国国防部が実施した内部監査の結果によれば、韓国海軍が調達した88発のシースクア対艦ミサイルの内、44発の推進モーターが故障し使用出来ないことが判明した。

これが整備不良によるものなのか、製造段階の不良なのか詳細は明らかにされていないが、2000年初頭に開発メーカーのブリティッシュ・エアクラフト・コーポレーション社(BAeと統合し、その後MBDAへ統合されるため現存していない)でも、シースクア対艦ミサイルの製造を中止しているためメーカーに依頼して修理することも不可能だと言う。

海軍はこの問題を2016年の時点で認識しており、2017年に新しい対艦ミサイルの調達要求を合同参謀本部に要請したが、何も話が進んでいない。

出典:http://commons.wikimedia.org/wiki/User:Stahlkocher / CC BY-SA 3.0 シースクア対艦ミサイル

韓国国会の国防委員会でも、この問題が取り上げられ「海軍は導入兵器の生産状況(生産初期なのか生産中止寸前なのか)を考慮せず、導入兵器を選んだ」と批判しているが、問題の本質は、2016年時点で海軍が問題を認識し合同参謀本部に新しい対艦ミサイルを要求したにも関わらず、全く対応策を講じてこなかった韓国軍自体の組織文化に原因がある。

韓国軍は新規で導入する装備には金を掛けるが、一度導入してしまえば、その装備の保守や維持に金を掛けたがらない=後回しにする傾向が非常に高く、折角導入しても数年経てば保有しているだけで、全く動かない、一部機能が停止しているなど日常茶飯事だ。

韓国が日本に対抗して正面装備の充実を図っても、日本は導入し運用するの対し、韓国は導入し所有感に浸るだけなので、金を掛けても一向に戦力が充実しない。

どちらにしても韓国海軍には、全機に搭載できるだけの対艦ミサイルがなく、22機中11機のリンクスは対潜ヘリ任務に集中使用することを検討していると話した。

氷点下32度の環境でも作動するのは無線機の本体だけ?

さらに韓国国防部傘下の防衛事業庁が開発した次世代無線機についても批判が起こっている。

参考:혹한 못 견디는 배터리…차세대 軍 무전기 ‘먹통’ 우려

防衛事業庁は2007年、軍が使用する無線機を更新するため新しい無線機の開発に着手し、完成した試作無線機が全てのテスト(陸軍が担当)に合格したので、2020年から量産し部隊配備を始めると発表した。

この新しい次世代無線機は、軍の「作戦運用性能」に規定された酷寒期=氷点下32度の環境でも問題なく使用できるよう設計されたが、実際には氷点下20度以下で使用するとバッテリーに充電された電力が急速に放電され、無線機自体が使用できなくなるという。

氷点下32度の環境でも使用できるよう設計されたのに、何故このような問題が起きるのか?

次世代無線機に要求された軍の「作戦運用性能」と、搭載されるバッテリーに要求された軍の「作戦運用性能」は全く別のもので、バッテリーは氷点下20度以内で使用される目的で開発されたためだ。

無線機本体とバッテリーは同一の環境下で使用されるにも関わらず規定が異なるため、実に12度もの環境性能差が生まれることになった。

韓国の国防技術品質院が、この次世代無線機の性能テストを行ったところ、このような問題が発覚したため防衛事業庁に対し改善勧告を命じたが、試作無線機のテストを担当した陸軍が本当にテストを行っていたのかについて批判が集中している。

韓国国会の国防委員会はこの問題について「軍は性能試験を実際に行うことなく、防衛事業庁が提出した資料上の数値だけを見て、テストの合否を決定しているから、このような問題が繰り返し発生するのだ」と指摘した。

 

※アイキャッチ画像の出典: Igor Groshev / stock.adobe.com

関連記事

  1. 軍事的報道

    日本独自の「早期警戒衛星」保有への布石、弾道ミサイル探知実験を実施

    日本政府は、来年度打ち上げ予定の先進光学衛星(ALOS-3)に、弾道ミ…

  2. 軍事的報道

    欧州、ユーロファイター・タイフーンを「第6世代戦闘機」相当までアップグレード?

    NATOユーロファイター・トーネード管理機関(NETMA)は、第4.5…

  3. 軍事的報道

    全滅に近い米海軍の空母戦力に光明、空母「ハリー・S・トルーマン」がトラブルから復帰

    米海軍の原子力空母「ハリー・S・トルーマン」は、8月末に発生した深刻な…

  4. 軍事的報道

    なぜパトリオットでは駄目なのか?サウジアラビアが防空強化に「韓国製」を選んだ理由

    サウジアラビアの石油施設への攻撃は、無人機と巡航ミサイルによって引き起…

  5. 軍事的報道

    日本が導入したE-2Dの滞空性能は8時間超!輸出仕様が装備するフル・ウエット・ウイング

    日本が導入した輸出仕様のE-2Dは「フル・ウエット・ウイング」が装備さ…

  6. 軍事的報道

    レーダー開発が進む第6世代戦闘機「テンペスト」、2020年代テストベッド機試験開始

    イタリア防衛産業企業のレオナルド S.p.Aは、英国防省と「テンペスト…

コメント

    • LLLLL
    • 2019年 10月 09日

    ―32度ってどうせ押し込まれて釜山辺りで戦うだけだし、あの辺ならそこまで寒くならないでしょ!?
    あ!『北』に吸収された後の事を考えるとちょっと困るかァ!?
    (´・ω・`)

    • 匿名
    • 2019年 10月 09日

    又勝ってに分解したのか?

    • 匿名
    • 2019年 10月 09日

    >88発のシースクア対艦ミサイルの内、44発の推進モーターが故障し
    意味不明。
    シースクアは固体燃料ロケット・モーター
    つまり、燃料と酸化剤をモータース(ロケット本体のケースをこう言う)に収めた構造。
     いつもの、韓国軍のずさんな管理でしょうね、ヒグマ事業でロシアから買った携帯ロケットは弾薬を温度管理した倉庫に貯蔵する必要があるが、してなかったのでほとんどをパーにした。

    ミサイルの蓄電池の定期交換をしてなくて、制御f不能にしたってのもあるし、
    スリオン(ヘリ)も耐寒(温度)がダメでエンジンへの空気吸入口(コクピットの上の丸い穴)への着雪、着氷が発生してるね

    • 匿名
    • 2019年 10月 09日

    ここ最近韓国の面白ニュースを毎日見てる気がするな。

      • 匿名
      • 2019年 10月 10日

      国政調査(議員の権限による調査、それの国会での報告、Q&A)の季節だからね。 9月~10月はお笑い韓国軍ネタが沢山明るみに出る。

      • 匿名
      • 2019年 10月 10日

      韓国軍と管理人さんの努力に敬礼(^-^ゞ

    • 匿名
    • 2019年 10月 10日

    米は賑わうし弾数も多いんだろうけど、どうでもいい韓国ネタ多過ぎない?

      • 匿名
      • 2019年 10月 10日

      需要があれば記事にするのは当然。
      どうでも良いかどうかはいち個人の主観に過ぎない。主観に基づいた批判ほどいらないものもない。

  1. > 試作無線機のテストを担当した陸軍が本当にテストを行っていたのかについて批判が集中している

    日本だって他人の事を笑えないぜ。先日イージスアショア導入候補地選定について安直にgooglemapだかなにかのデータを鵜呑みにしていて笑われていたじゃないか。
    現場百遍、という精神が失われているなら、中韓に数に負けても質で勝つ、なんてことは画餅である。

    他人の失敗を見て笑ってるだけじゃなくって、これを教訓と捉えて、もっとしっかりしないとね。

      • 匿名
      • 2019年 10月 10日

      ハイハイ、ニホンガー!ニホンモー!

    • 匿名
    • 2019年 10月 10日

    しかし、現代戦でヘリから対空装備の整った髙価値目標に対艦ミサイルを発射する機会ってそうそうあるんだろうか。
    まあ北朝鮮の不審船相手なら使えるだろうけどw

    • 匿名
    • 2019年 10月 10日

    シースクエアはブースター用とサステナー用に二種類の固体燃料を同時点火使用するので管理が難しい、韓国人には運用は無理だったのか。

      • 匿名
      • 2019年 10月 11日

      シースクアはSea Skuaだからエの発音はどうやっても入らないぞ
      覚え間違えてるなら早めに直しといて

    • 匿名
    • 2019年 10月 10日

    日本と戦争するとかイキってるけど数日で終戦だなコリャ

    • 匿名
    • 2019年 10月 10日

    弾薬については人事ではないな
    自衛隊の弾薬予算や保有量の少なさは何度も指摘されているが、改善したという話は聞いたことがない

    韓国の武器の管理状況も酷いものだが、もしかしたら実運用しているためかもしれない
    2017年元日に韓国海軍のP-3が実弾のハープーン、航空魚雷、対潜爆弾を各2発誤って投棄してた
    もちろんとんでもない事故ではあるが、哨戒飛行の際に普段から実弾を搭載しているとは、さすが休戦中の国だと感心したものだ
    一方、日本の哨戒機が実弾を積んでいるなんて聞いたことがない

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

最近の記事

関連コンテンツ

PAGE TOP