軍事的雑学

世界一高価な戦闘機は「F-35」ではなく「F-16V」?1機あたりの導入価格220億円超え

米国、国務省はブルガリアに対し、F-16C/D block70/72及び関連機器の売却を承認した。

参考:U.S. State Department clears $1.7 billion sale of F-16 fighter jets to Bulgaria

1機あたりの2億ドル(220億円)を超えるF-16C/D block70/72

昨年、ブルガリア政府が、老朽化したソ連製戦闘機のMig-29を更新するための戦闘機として、F-16C/D block70/72を選定し、米国に対し売却を要請していた。

補足:F-16C/D block70/72とは、V仕様と呼ばれるF-16の最新モデルで、完全なグラスコックピット化、AN/APG-83 AESAレーダー、AN/ASQ-28前方監視赤外線装置・目標指示システム、新型エンジン搭載により出力が10%向上するなど、第5世代機戦闘機(F-22やF-35)との相互運用性能も高いと言われている。現在、多くの国が新造機、改修機の発注を行っている。またインドに対し、V仕様をベースにしたF-21という新しい名称の戦闘機が提案されている。

これに対し6月2日、米国務省は、8機のF-16C/D block70/72と、搭載兵器(AIM-9や、数種類の精密誘導爆弾)やシュミレーター、スペアパーツ、保守サービスなど関連機器を、総額16.73億ドル(約1,811億円)で売却する要求を承認した。

出典:pixabay

ブルガリアの国防大臣、クラシミル・カラカチャノフ氏は、当初「最新のレーダーと武器を搭載した、米国のF-16C/D block70/72のようなマルチロール機の購入は、ブルガリアの防衛力を大幅に向上させるだろう」と語っていた。

ブルガリア政府は、次期戦闘機の候補に、米国のボーイングが提案したF-18E/F、スウェーデンのサーブが提案したグリペン、イタリア政府が提案した中古のユーロファイターなどがあったが、その中から、米国のロッキード・マーティンが提案したF-16C/D block70/72を選定した。

しかし、8機のF-16C/D block70/72導入費用として、F-16を製造するロッキード・マーティンが提示した価格は、ブルガリアが予算に計上していた約9億ドル(約1,140億円)を大幅に超過していたため、ブルガリア政府は、値下げを目的にした価格交渉に入ったが、万が一、値下げに応じなかった場合に備えて、ブルガリア議会に対し、戦闘機導入予算の増額を求めていた。

結局、結果から見ると、ブルガリア政府が予算を大幅に増額することで交渉は決着したようだ。

今回導入に掛かる16.73億ドルを、導入機数で割った場合、1機あたりの導入単価は、2億ドル(220億円)を超える。

もちろん、これは機体単価ではない。

出典:pixabay

旧ソ連製の軍用機しか運用してこなかったブルガリア空軍にとって、初の西側製戦闘機になるため、機体だけではなく、運用に必要なインフラ整備や、搭載兵器を一から導入する必要があったため、高額な導入費用が要求されたのだろう。

もし、F-16を追加で導入すれば、高額な初期投資が生きてくるだろうが、現在のブルガリア空軍の規模と需要を考えると、多くても数機の追加導入、もしくは今回の8機導入で打ち止めの可能性が高い。

因みに、2018年、バーレーンに対し16機のF-16C/D block70/72を売却した際の金額は、約27億8500万ドル(約3000億円)で、1機あたりの導入単価は1.74億ドル(約188億円)と、ブルガリアの2億ドル(220億円)に比べて安い。

これは、バーレーンがF-16を既に導入済みだったので、安く済んだのだろう。

どちらにせよ、比較的安いといわれたF-16でさえ、最新型のblock70/72(通称:V仕様)となれば、機体や関連費用を含めた場合、非常に高額で、一定の数量を導入しない限り、「人類史上で最も高価な兵器開発計画」と呼ばれる、F-35よりも価格が高価になってしまうという、厳しい現実が待っている。

これについては、米国との価格交渉を担当したブルガリアの国防大臣でさえ「F-16の価格は、理不尽なほど高価だ」と不満を漏らし、ブルガリア議会の野党は「世界一高価な戦闘機」と、政府のF-16C/D block70/72を批判している。

現在、日本が建造中のイージス艦「まや」1隻の建造費が約1700億円、中期防衛力整備計画で契約した防衛装備品の単価で見た場合、日本のF-35Aの価格(機体のみ)は116億円で、これと比べると、たった8機のF-16導入に、約1,811億円も必要になる今回の契約を批判したくなる気持ちも分からないでもない。

それにしてもだ、機体単価が1500万ドル(約16億円)程度だったF-16A/Bが、良くもここまで高価になったものだと、本当に驚きを隠せない。

 

※アイキャッチ画像の出典:pixabay

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コメント

    • 匿名
    • 2019年 6月 05日

    自衛隊がスホーイ導入してもインフラ構築から始まるから高価になるんだろうね

    • 匿名
    • 2019年 6月 05日

    日本のF-35だって1機あたりに直すと高価だけど
    シミュレータだの予備パーツだのをまとめたパッケージのお値段だからなぁ
    1機いくらって計算止めたほうがいいんじゃないかね? 時価だよ時価

    • 匿名
    • 2019年 6月 07日

    機体本体に加え予備エンジンは1器しか買わないトンスルランド基準で物事を考えれば高いってことになるんだろうな

    • (´・ω・`)
    • 2019年 7月 20日

    ブルガリアの話なのに、MiG- 29 の写真がどう見てもポーランド空軍機。この記事大丈夫か?

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