軍事的雑学

2019年ミリタリーニュース10選、F-35Aが価格で第4.5世代戦闘機を下回る

早いもので2019年も、あと数日で終わりを迎えるが、今回は航空万能論的に最も印象に残ったミリタリーニュースを10本選び、1つづつ振り返っていく第1回目だ。

第5世代戦闘機F-35Aの価格が第4.5世代戦闘機よりも安くなる

管理人の私が2019年、最も衝撃を受けたの出来事に挙げるのはF-35の価格が、約7,600万ドル(約82億円)まで引き下げられることが(ほぼ)確定したことだ。

出典:public domain F-35A

初期生産分(ロット01)で製造されたF-35Aの価格が約2億ドル(約216億円)で、世界一高価だと言われていたF-22A(約1億5,000万ドル)よりも高価になってしまい批判が集中したが、今年、米国防総省とロッキード・マーティンの間で結ばれた契約によって、ロット11で約8,920万ドル(約97億円)で調達していたF-35Aが将来的に約7,600万ドル(約82億円)で調達できるようになった。

誤解のないように付け加えれば、ロット12で生産されるF-35Aの価格は約8,100万ドル(約87億円)を予定しており、ロット13で約7,920万ドル(約85億円)、ロット14でようやく約7,600万ドル(約82億円)が実現するという話なので、来年分から直ぐに15億円の値下げが行われる訳ではない。

それでも7,600万ドルという価格のインパクトは相当なものだ。

出典:ボーイング

米空軍が新たに導入することになった第4.5世代戦闘機F-15EXの機体単価は、約8,000万ドル(約89億円)だと言われており、他の第4.5世代戦闘機と比べても大きな差はなく、F-35Aを政治的に導入できる国にとっては、もはや選択肢から外すことは不可能になったかもしれない。

ただし、F-35の運用コストやライフルサイクルコスト(機体導入から退役までに掛かる総費用)が第4.5世代戦闘機に比べ「高額」だという批判も存在するが、ロッキード・マーティンは2025年までに、1時間あたりの運用コストを現在の3万5000ドル(約380万円)から、2万5,000ドル(約270万円)まで引き下げるための努力を行っている。

さらに、米軍機1時間あたりの飛行コストをまとめた米国防総省の資料によれば、F-35Aが1時間飛行するために掛かるコストは1万6,952ドルで、F-15C/D(2万2,489ドル)やF-15E(1万7,408ドル)よりも安いという結果が出ており、べら棒にF-35Aの運用コストが高いという認識は、そろそろ改めなければならないかもしれない。

補足:同じ単発機のF-16C/Dは、1時間飛行するために掛かるコストが9,054ドルなので、流石にこれと比較するとF-35Aの飛行コストが割高だと言われても仕方がない。

F-35Aが海外市場から第4.5世代戦闘機を駆逐するか?

では、世界中の国がF-35Aをこぞって導入し、第4.5世代戦闘機の販売が失速するのかと言えばそうとも限らない。

出典:public domain ラファールB

インドは36機(単座28機、複座8機)のラファールを約88億ドル(約9,540億円)、1機あたり約2.4億ドル(約263億円)で導入中だ。

もちろん、この金額には36機分の機体や保守パーツ、パイロットやメカニックの訓練費用、地上シミュレーター装置一式、ミーティア等の空対空ミサイルやストームシャドウ等の巡航ミサイル、インドが要求した機能の追加費用(イスラエル製のヘルメット搭載ディスプレイ、レーダー警報受信機、電波妨害装置の統合)が含まれているため、純粋な機体価格を示しているわけではない。

出典:U.S. Air National Guard photo by Tech. Sgt. Ryan Campbell

フランス空軍向けの価格を参考(2013年の資料)にすれば、ラファールの機体価格は約7,500万ドル(約80億円)程度なので、F-35Aを政治的に導入できる国にとっては、あと数百万ドル出せば第5世代戦闘機を手にれられるためラファールが魅力的に映らないかもしれないが、そうではない国にとってラファールは「現実的に入手可能なステルス機」として映るようだ。

インドのシン国防大臣は、第4.5世代戦闘機の中でレーダー反射断面積(0.1~1㎡)の値が最も小さいラファールのステルス性能を強調しており、第4.5世代戦闘機の需要は一定量存在し続けるだろう。

しかし、米国はF-35Aをインドや中東諸国へ販売する可能性を匂わせており、もし実現すれば欧州の第4.5世代戦闘機にとって大打撃となるのは間違いなく、だからこそ欧州では米国よりも先行する形で第6世代戦闘機の開発が進められているのだろう。

個人的には、あまりにもF-35の価格引き下げスピードが早すぎて、第6世代戦闘機が完成する前に欧州機が海外市場から駆逐されてしまうと、何だか面白くないので、ぜひ欧州に頑張ってほしいところだが、一体何をどう頑張れば良いのかわ全く分からない。

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Amber Litteral

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コメント

    • 怪しい
    • 2019年 12月 28日

    風向きが変わった?
    前に読んだ記事には高いのは否めない‥と?
    前の記事には運用費も含んで…高い…と‥今回の記事は機体の購入費のみの比較ですか…結局機体は少々安くなっても、運用開始したら…高い…んでしょ?そりゃそうだよね、いくら良いクルマだってしっかりメンテしないと‥実力は発揮出来ないもんねぇ。
    今回の記事に気に食わないのは、安くなった!とミスリードに繫がる書き方だからだ。なぜ安くなったように書いてる?

      • 匿名
      • 2019年 12月 29日

      安くなってるんですよ。現実を見ましょう

    • 匿名
    • 2019年 12月 28日

    いつも楽しみに読んでます。
    調達価格は相当興味があります。

    • 匿名
    • 2019年 12月 29日

    一体何をどう頑張れば良いのかわ全く分からない。

    担当と大臣や首相大統領に賄賂

    • 匿名
    • 2019年 12月 29日

    近年トランプ政権が安くなるよう価格を誘導しているんだよね。
    Fー16に続いて世界市場を席巻するようになると、次世代機もアメリカ機が標準になるのだろうか?

    • 匿名
    • 2019年 12月 29日

    担当や大臣に賄賂すればいいって発想は、あきらかに中国や韓国が多用する文化で日本的ではないよなぁ。

      • しゅしゅ
      • 2019年 12月 29日

      BAEやエアバスが賄賂を使ってサウジアラビアやオーストリアに売り込んだって疑惑があるのでそれに対する皮肉じゃないかな?

    • 匿名
    • 2019年 12月 29日

    開発費込みだから生産数が増えれば単価は下がるって事。

      • 匿名
      • 2019年 12月 30日

      F35の開発費って、LM等メーカーの持ち出しでしたっけ?
      政府から支払われてたら、製品価格に開発費が乗ってる理由が判らないもので。
      その場合、開発費を二重に取ってる感じがして。

    • 匿名
    • 2020年 1月 01日

    原状の価格は、未だ未試験領域の後の改修の金額を入れてないので、眉唾ものだと思う。今82億ドルで未完成品を買ってるのと同じで、82億ドル+改修費になるだろう。未試験領域を大量に残して見切り量産してるのがF35の最大の問題。見せかけの価格を下げて後から掛かる多額の改修費をごまかしてるように見える。

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