軍事的雑学

ステルス技術の集大成「B-21 レイダー」、どれだけ優位性を保てるか?

米空軍は、現在開発を行っているステルス爆撃機「B-21」のプロトタイプ組み立てを始めた。

参考:US Air Force Is Building First B-21 Stealth Bomber

B-21で取り入れられる進化したステルス技術のアドバンテージは何年保つか?

7月9日、米空軍の上級士官による報告によれば、ステルス爆撃機「B-21」のプロトタイプ組み立てを、カリフォルニア州のエドワーズ空軍基地で開始した。

B-21の開発プログラムは、現在まで大きな遅延なく順調に進んでいると言われており、2021年までにはプロトタイプが初飛行を行う予定で、2025年前後には初期作戦能力を獲得する見込みだ。

現在までに分かっている情報によればB-21は、第2次大戦中、空母から陸軍の爆撃機を発艦させ東京を空襲した「Doolittle Raid(ドーリットル空襲)」から「レイダー」と名付けられ、B-2と同じ全翼機の形態で、通常兵器と核兵器の運用能力を持ち、基本的な運用は無人だがオプションによる有人飛行も可能な亜音速の長距離爆撃機として開発されている。

補足:ドーリットル空襲とは、1942年に米軍が、米海軍の空母ホーネットに、艦載機よりも航続距離の長い米陸軍の双発爆撃機B-25を載せ、日本列島に接近し日本の首都である東京を含む大都市を爆撃する作戦のことで、爆撃で与える被害よりも、日本本土を空襲したという戦略的意味合いが強い作戦だ。日本は、この空襲で受けた衝撃により、当初消極的だったミッドウェー攻略実施へと傾き、ミッドウェー海戦敗北に繋がっていくことになる。

出典:Public Domain ドーリットル空襲

B-21の技術的な特徴は、凹凸のない完璧な曲線で構成された全翼機で、中国やロシアがステルス機の探知のため開発を進めている長波を利用したレーダーに対し、非常に有効なステルス性を発揮すると見られており、高度に防衛体制が構築された接近阻止・領域拒否(A2/AD)空域内でも、敵に気づかれず、ターゲットを破壊すことが可能になる。

B-2と同じようにエンジン全体を胴体へ埋め込むことで、ジェットエンジンの排熱を制御することができ、赤外線探知に対するステルス性も確保しやすい。

さらに、レーダー吸収材料や人工メタマテリアルを使った、新しいステルスコーティングの開発が行われ、B-21に使用されると言われているが、その詳細については一切、明らかになっていない。

軍事常識を覆す「ステルス技術」を取り入れたF-22やB-2が登場してから30年、さらに進化したステルス技術を取り入れ開発されているB-21は、ロシアや中国による「ステルス機」無力化対策を打ち破り、再びステルス機優勢の状況を取り戻すための試金石と言ってもいい。

出典:Public Domain Northrop Grumman B-21 Raider

B-21が登場すれば、再び一定期間、米国有利の状況を作り出せるかもしれないが、それはF-22やF-35に使用されている旧タイプのステルス技術が、もはやロシアや中国に通用しにくくなったと認めることでもあり、米空軍と米海軍は、それぞれ別に開発進めている次世代戦闘機開発を急がなければならない。

なぜならB-21が登場した瞬間から、B-21で採用されたステルス技術の陳腐化は始まり、もし米空海軍の次世代戦闘機が2040年頃に登場するようなら、ステルス性能の賞味が残り少ない(完全に通用しないと言う意味ではない)F-35の二の舞になるかもしれない。

果たして、B-21に取り入れられる「進化したステルス技術」よるアドバンテージは、今度は一体何年保つのだろうか?

逆を言えば、ロシアや中国は、今度は何年で「進化したステルス技術」を無効化させるのだろうか?

ステルス技術を巡って繰り返される、技術力の綱引きは永遠に終わること無く、先についていけなくなった者(国)が敗者だ。

 

※アイキャッチ画像の出典:pixabay B-2 Spirit

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コメント

    • 匿名
    • 2019年 7月 18日

    現状では野心を抱く国が公然とあるので、抑止力としてこうした軍事技術のいたちごっことも言える状況は是認する必要がありますが、しかしながらこのステルス技術の進歩の先に人類繁栄につながる益があるかと言われれば疑問でしかなく、この膨大に注がれる資金を宇宙開発や地球環境維持に回せればどれだけ良いかと、暗然とします。

    • 匿名
    • 2019年 7月 18日

    中露を評価するのは軍事ブロクの常としても、ここ最近のエントリは流石に過大評価じゃないでしょうか。
    根本を言えば、自由経済の民主主義国家で福祉国家でない米国に中露がイノベーションで敵うはずはないんです。中国の軍拡が何によって裏付けられてきたかご存知でしょう?そしてそれが終了したことも。そして露は将来に渡って独裁国家であるだろうと考えられていて価格決定権すら危うい資源モノカルチャー国家だということも。軍備はこの制限の範囲でしか整備できないのです。

    • 匿名
    • 2019年 7月 18日

    それこそ一方的では? 中国にアドバンテージがある部分も大きいでしょ。判断の早さ、公表することなく投下できる資金量や労働力、労働人口等ですかね。
    80年前に正確な情報でなく思い込みで負けるわけないとした帝国が2つありましたが結果は悲惨なーおのだったじゃないですか。

    • 匿名
    • 2019年 7月 19日

    中国はともかくロシアは本当に力が無くなった。
    東京都>韓国>ロシアなGDP。
    ヨーロッパのロシアに対するエネルギーの依存を無くす事が出来ればもうちょい大人しくさせる事が出来るんだけど。

    中国は今回叩けるうちに叩いて潰さないとキツイ。
    成熟したマトモな国になってくれたらそれでも良かった
    んだけどチャイニーズには無理だ、なんとか内部から壊れて欲しいが……。

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