軍事的雑学

あまりに高価過ぎる? 米空軍、次期大統領専用機の取説制作を約90億円で発注

国防総省が4月15日付けで発表した契約の中に、空軍が調達を進めている次期大統領専用機「VC-25B」に関する興味深い契約を見つけた。

参考:Contracts For April 15, 2020

エアフォースワンのマニュアルを制作するのに掛かる費用は8,400万ドル(約91億円)

この次期大統領専用機「VC-25B」はエアフォースワンと呼ばれることで有名な「VC-25(747-200B改造機)」の後継機で、米空軍は約47億ドル(約5,100億円)もの費用を掛けて2機調達する予定で、1機あたり2,500億円以上もする計算になる。

因みに海上自衛隊が調達中の最新鋭イージス護衛艦「まや」の建造費は約1,600億円、世界で最も高価な航空機と言われるステルス爆撃機B-2でも約2,000億円なので、次期大統領専用機「VC-25B」はぶっちぎりで「世界一高価な航空機」の栄冠に輝くのは確実だろう。

出典:pixabay

今回、管理人が見つけたのは国防総省が4月15日付けで発表した次期大統領専用機「VC-25B」に関するボーイングとの契約で、空軍はボーイングに対し次期大統領専用機「VC-25B」のマニュアルを制作するため8,400万ドル(約91億円)の契約を授与したという内容だ。

大事なことなのでもう一度書くが、たった2機しか製造されない次期大統領専用機「VC-25B」のために制作されるマニュアル調達には、ステルス戦闘機F-35A 1機分とほぼ同額の値札が付けられている。

このマニュアルは1から制作されるのではなくVC-25Bのベース機「747-8i」のマニュアルにVC-25B固有の情報を付け加える形で制作されると明記されているため、恐らく基本的な飛行特性や操縦に関する記述は747-8iのマニュアルから内容を流用して、VC-25Bへ改造する際に装備された各種防衛装備や高度な通信システムなどの説明、変更された内装や設備に関する使用方法、緊急時に行う空中での回避機動に関する特性や制限などが付け加えられるのだろう。

だからといっても、上記のような内容をマニュアル化するの費用として約91億円もかかるというのは、一般人の感覚からすると理解しにくい。

では、他の軍事用マニュアル制作にどれぐらいの費用がかかっているのだろうか?

U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Juan Sua/Released

海軍が発注した対潜哨戒機P-8Aの修理マニュアル制作には約3,000万ドル=約32億円(※1)、陸軍が採用しているハスキー地雷探知機搭載車の技術マニュアルは約1,400万ドル=約15億円(※2)の費用が掛かっているため、世界一高価な航空機である次期大統領専用機「VC-25B」のマニュアルが約91億円しても不思議ではないのかもしれない。

※1補足:国防総省が公開した2014年8月18日の契約に対潜哨戒機P-8Aの修理マニュアル制作に関する記述がある。
The Boeing Co., Seattle, Washington, is being awarded a $30,385,333 modification to a previously awarded firm-fixed-price contract (N00019-12-C-0112) for the development of a structural repair manual in support of the P-8A Poseidon Multi-mission Maritime Aircraft. 

※2補足:国防総省が公開した2014年9月23日の契約にハスキー地雷探知機搭載車の技術マニュアル制作に関する記述がある。
Critical Solutions International Inc., Carrollton, Texas, as awarded a $13,781,957 firm-fixed-price multi-year contract for with options for developing the technical manual for the Vehicle Mounted Mine Detector (VMMD) Husky Vehicle.

逆に言えば、次期大統領専用機「VC-25B」のマニュアルを仮に紛失したり破いたりすれば、想像を絶するほどの請求書が送られて来ることになるだろう。

なにしろ約91億円もの大金が投じられたマニュアルなのだから・・・

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photos/Ilka Cole VC-25

韓国製戦闘システムは信頼できない? フィリピン海軍、韓国に米国政府発行の証明証を要求前のページ

F-22のコンセプトを受け継ぐ唯一の存在? 世界が日本の次期戦闘機「F-3」に注目する理由次のページ

関連記事

  1. 軍事的雑学

    護衛艦いずも、仏空母「シャルル・ド・ゴール」の次は米空母「ロナルド・レーガン」と共同訓練

    現在、インド太平洋地域の各国海軍等との共同訓練を実施し、部隊の戦術技量…

  2. 軍事的雑学

    第2水陸機動連隊が米国初上陸! 陸自、年頭から国内外で米軍と訓練三昧の日々

    令和2年に入って早々、陸上自衛隊は米軍との共同訓練が立て続けに実施され…

  3. 軍事的雑学

    空母「いずも」に電磁式カタパルト採用でF-35C運用? 米国発「いずも型護衛艦」改造案

    米海軍の「ジェラルド・R・フォード級空母」に採用された「電磁式カタパル…

  4. 軍事的雑学

    日本、AN/APG-82搭載したF-15Jへ国産「AAM-4B」搭載検討

    日本の防衛省は、アップグレードが予定されている航空自衛隊が運用中のF-…

  5. 軍事的雑学

    F-35プログラム不参加を反省? ポーランド、米ステルス無人戦闘機計画への参加を希望

    ポーランドのマリューシュ・ブワシチク国防相は23日、来週中にもステルス…

コメント

    • 匿名
    • 2020年 4月 17日

    スペースシャトルの建造費が2200億円ぐらいなので、それよりも高いのか
    ロボットに変形したり宇宙飛ぶぐらいやってもらわないと納得出来ない価格だな

    • 匿名
    • 2020年 4月 17日

    今は電子マニュアルが主流なので物理的に破くケースはほぼないでしょうね。
    データが流出して装備がバレる方が安全上の問題になるでしょう。

      • 匿名
      • 2020年 4月 17日

      内容が流出しないようにまたは流行した際に無効になるような仕組みに費用がかかっているのかな?
      それとも最近元気のないボーイングへの救済策かな。

    • 匿名
    • 2020年 4月 17日

    生存性を考慮してエンジン4発の大型機が条件のエアフォース・ワンだけどエアバスA380亡き後次の更新時までボーイングが747系列の機体の生産ラインを残しているのか疑問。

    • 匿名
    • 2020年 4月 17日

    どう考えても「税金の無駄づかい」じゃないの?
    まあ、私は「アメリカ」の「納税者」ではないから、「アメリカ」が「勝手」にやればいいんだけどね。

      • 匿名
      • 2020年 4月 17日

      無駄遣いならGAO出番でしょう。なぜそうなったが問題なわけで、記事からはそこが全く読めないから何ともですね

    • 匿名
    • 2020年 4月 17日

    無断コピーしようとすると消滅するような特殊な媒体の開発費まで含んでてもそんなにかからなそう

    • 匿名
    • 2020年 4月 17日

    そらぁマニュアルと言っても一品もので、747の普通の運用マニュアルの部分から書き直さないといけないし、セキュリティー問題もあるし、冊子にしないといけないのはモニターがダウンしたら、電子マニュアルでは読めないからいるわけだし、印刷もセキュリティー問題で発注先も制限されるから止むおえないだろうな。
    もっとも破くのは緊急事態には普通にある話で、要らない部分を順番に破いて捨ててるけどな。

    • 匿名
    • 2020年 4月 17日

    大統領専用機のマニュアルは羊皮紙の皮装丁で要所要所に著名な画家による手書きの説明イラストが入っていて文字は金箔押しなんですよ。

    • 匿名
    • 2020年 4月 17日

    家電製品の様な、1冊きりの大して役にも立たないユーザーズマニュアルとは違うだろう。
    FAQを読んで、実際に操作してみて解決しませんでした、クレームをコールセンターに入れる、では済まないからだ。

    映画【アポロ13】を思い出してみればわかるように、
    日常ルーチンから様々な危機的状況を想定した、しかも実際にテストされ実証された解決手順をも提示しなくてはならない。
    単なるドキュメント作成ではないのだ。
    記載されている1行1行の裏には、すべて実際にテストされ、実証されたエビデンスに裏打ちされていなければならない。
    恐らくはドキュメント制作チームからは、ユーザー目線で様々な疑問や追加試験をリクエストされ、それなりの時間とリソースを割いて確認作業をされるのだろう。
    下書きは747-8iの流用だとしても、大統領が搭乗し有事の際のホワイトハウスとなるという性格上、重複とは言えオリジナルの機体から変更した箇所と、影響が及ぶと考えられるすべての部分を網羅した検証は必要だろう。
    もっとも、吹っ掛けすぎかどうかは分かりませんがね。

    • 匿名
    • 2020年 4月 17日

    その「一般人の感覚からすると理解しにくい。」理由を一般人でも理解出来るように取材して記事にしてくれたら良かったのに。

    • 匿名
    • 2020年 4月 17日

    アメリカ国民はこういう事情に関して何の疑問もわかないのか?
    ステルス爆撃機とか高すぎだろ

    • 匿名
    • 2020年 4月 17日

    調達価格5000億円超えは変な笑いしか出ない
    ニミッツ級空母1隻相当な辺り流石アメリカですわ

    • 名無しで
    • 2020年 4月 17日

    単に… B737MAX問題 と コロナ禍 で青息吐息のボーイングに対する支援策のようにも…

    • 匿名
    • 2020年 4月 17日

    専門職を集めて稼働させただけでも年に数億円とか簡単に飛んでいくし
    まともに国家運営してたら物価は上昇し続けるものだし
    デフレの国からよその事情をみると余計にびびるね

    • 匿名
    • 2020年 4月 18日

    まあバイクのサービスマニュアルでも一冊15000円ぐらいするし
    飛行機の全ての機能やトラブル対処法とか記載してくととんでもない手間かかるんだろうなぁ

    • 匿名
    • 2020年 4月 18日

    そのマニュアルで検索した最終的な解決方法が
    諦めましょう、だったりする事もあるんだろうな

    • 匿名
    • 2020年 4月 18日

    もともと、ワンオフ(one off)品って高価なモノでしょ。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 軍事的報道

    国産防衛装備品の海外輸出が実現!フィリピンが日本製警戒管制レーダー「J/FPS-…
  2. 軍事的雑学

    ようやく本領発揮、世界最強の戦闘機F-22Aが「神の視点」を味方に提供
  3. 軍事的雑学

    打つ手なし? ドイツ軍兵士は一般的な乗用車を「プーマ歩兵戦闘車」と思い込まされ訓…
  4. 軍事的雑学

    着実にレベルアップを果たす日本の対潜哨戒機P-1、2020年度から「能力向上型」…
  5. 欧州関連

    再掲載|導入自体が間違い?タイフーンを導入したオーストリアの後悔
PAGE TOP