軍事的雑学

海に戻ってきた世界最大の空母「ジェラルド・R・フォード」、15ヶ月ぶりに大西洋に向け出港

米海軍は10月25日、空母「ジェラルド・R・フォード」が約15ヶ月ぶりに「シェイクダウン・クルーズ(海上試験)」のため、ニューポートニューズ造船所の桟橋から大西洋へと出港したと発表した。

参考:USS Gerald R. Ford Returns to Sea

15ヶ月ぶりに出港する空母ジェラルド・R・フォードに残された時間は少ない

空母ジェラルド・R・フォードは就役後まもなく動力部に問題が発生、この問題を解決するため空母ジェラルド・R・フォードは、ニューポートニューズ造船所のドックに戻り約15ヶ月間ものメンテナンスを受け、ようやく海へ戻ってきた。

今回の「シェイクダウン・クルーズ(海上試験)」で動力部分の問題が解決したことを確認できれば、空母ジェラルド・R・フォードは正式にノーフォーク海軍基地に戻ることになり、15ヶ月前に中断された艦載機との適合試験や新しく開発された航空支援装備(電磁式航空機発射システムや新型着艦制動装置など)の検証作業が再開されることになる。

空母ジェラルド・R・フォードはドック入り前の海上試験で、致命的な問題が続出して批判を浴びた。

出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class Sean Elliott空母ジェラルド・R・フォードの電磁式航空機発射システムで発艦するF/A-18E/F

ニミッツ級空母は「蒸気式カタパルト」を装備しているが、ジェラルド・R・フォード級空母には新しく開発した「電磁式航空機発射システム」が採用されているが、システム自体に不具合があり、艦載機を射出するための基礎データ収集が進んでいない。

油圧式ではなく、電磁気と水圧でアレスティング・ワイヤーの制動を行う「新型着艦制動装置」は、故障率が異常に高く、4日間連続で故障をせず艦載機を着艦させられる可能性は0.001%、24時間故障をせず艦載機を着艦させられる可能性は0.2%以下と言われているほど信頼性が確立されていない。

出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class Connor D. Loessin/Released空母ジェラルド・R・フォードの先進型兵器エレベーター

ミサイルや爆弾を飛行甲板へ運ぶための「先進型兵器エレベーター」は電磁力で作動し、艦の奥底にある弾薬庫から格納庫へ繋がるエレベーターが7基、格納庫から飛行甲板へ繋がるエレベーターが3基の計10基が設置されているが、エレベーターを制御するためのソフトウェアに問題があり上手く作動していない。

そのためドック入りした期間を利用して「新型着艦制動装置」のアップグレードを行い、F/A-18E/F、EA-18G、E-2D、C-2Aについての制動に関しては問題なく対応出来ることを確認したと言っているが、実際にテストを行った訳ではないので、本当に問題が完治しているのかは謎だ。

11基ある「先進型兵器エレベーター」については、4基が正常に稼働するようになったらしいが、未だに7基のエレベーターが正常に稼働しておらず、海軍は問題解決のため陸上に「先進型兵器エレベーター」を模した施設を建設中で、ここでエレベーターを制御するためのソフトウェア問題を検証し解決方法を探ると言っているが、この施設がいつ完成するのか誰も知らない。

出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist Seaman Cory J. Daut/Released出港する空母ジェラルド・R・フォード

結局、空母ジェラルド・R・フォードは未だ「就役」したと言えない「不完全な状態」を維持しており、完璧な状態には程遠いが、海に戻ってきたことは「大きな前進」として歓迎すべきだろう。

しかし、山積した問題をのんびり解決している「時間余裕」は、もはや残されていない。

数ヶ月後にはジェラルド・R・フォード級空母2番艦「ジョン・F・ケネディ(CVN-79)」が進水し、本格的な艤装工事に入るため、空母ジェラルド・R・フォードで未解決の問題は、そのまま空母ジョン・F・ケネディにも引き継がれることになる。

特に、電磁式航空機発射システム、新型着艦制動装置、先進型兵器エレベーターの工事については、最大限後ろへ回す努力をするだろうが、それにも限界(2024年就役予定)がある。

最も理想的なのは、空母ジェラルド・R・フォードが3つの航空支援装備の検証を終え、空母ジョン・F・ケネディが同じような問題に直面することを防ぐことだ。

2番艦の空母ジョン・F・ケネディでさえ、すでに建造費が約113億ドル(約1兆2,280億円)を超えており、就役後に問題が発生すれば、130億ドル(約1兆4000億円)を突破した空母ジェラルド・R・フォードの建造費と並ぶ可能性があり、もしそうなれば再び批判を受けるのは目に見えている。

そのためこれ以上の遅れが発生し、建造費が高騰するようなことが起これば、空母は時代遅れのツールだと批判する勢力を勢いづかせることに繋がり、米海軍は窮地に陥ることになるはずだ。

 

アイキャッチ画像の出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist Seaman Cory J. Daut/Released

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コメント

    • 匿名
    • 2019年 10月 27日

    見ろ アメリカが韓国のようだ

      • まもる
      • 2019年 10月 27日

      あなたは韓国の方ですか?

        • 匿名
        • 2019年 10月 29日

        誰に聞いてる❓️

    • 匿名
    • 2019年 10月 27日

    不具合があるのが先進型エレベーターの売りなんじゃないかと言うレベルですね

    • 全てF-35B
    • 2019年 10月 27日

    全てF-35Bにすれば、電磁式航空機発射システムも新型着艦制動装置も要らないぞ!

    • 匿名
    • 2019年 10月 27日

    >艦の奥底にある弾薬庫から格納庫へ繋がるエレベーターが7基、格納庫から飛行甲板へ繋がるエレベーターが3基の計11基が設置されているが
    数が合わん

    • 匿名
    • 2019年 10月 28日

    結局はKISSの法則に反していてただただ複雑怪奇なだけってことか

    • 匿名
    • 2019年 10月 28日

    なんで新設計の新造艦に新システムてんこ盛りにするかねぇ…
    モスボールしてある空母に積んで実験してみりゃいいだろうに
    つうてそれで実戦任務につかない空母遊ばせといたらとんでもない金かかって財務省ブチ切れだし
    昔から欠陥あるのを我慢して使いつつ改造してなんとかするのがアメリカ流って事なんだろう

      • oominoomi
      • 2019年 10月 28日

      本当はニミッツ級最終艦ジョージ・H・Wブッシュを移行のための実証艦として

      • oominoomi
      • 2019年 10月 28日

      本当はニミッツ級最終艦ジョージ・H・W・ブッシュをジェラルド・R・フォード級の実証艦として、電磁カタパルトなどを装備する予定だったのですが、開発が遅れてぶっつけ本番になってしまったのです。
      それから軍艦は退役したら直ぐにスクラップ、売却、標的の何れかの運命で、最近はモスボールやっていないです。

        • 匿名
        • 2019年 10月 29日

        まぁ、キティホーク級の内、コンステレーションとジョン・F・ケネディはモスボールされているけどね。
        コンステレーションは解体が決定しているけど。

          • 匿名
          • 2019年 10月 30日

          コンステレーションは2017年に解体完了したよ。ブレマートンにおいてあるのはキティホーク。
          キティホーク、JFKともに保存解除されて、解体先の企業を探している状態。

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