軍事的雑学

軍事的雑学|ASM-3ベース!射程400km以上!防衛省が国産長距離ミサイル開発方針を固める!

読売新聞が報じた「国産の長距離巡航ミサイルの開発」についてまとめてみます。

参考記事:「相手の射程外から攻撃可能」戦闘機ミサイル開発へ

国産の長距離巡航ミサイルの開発って?

防衛省が、平成31年度以降に係る防衛計画の大綱について(通称:新防衛大綱)に明記された、防衛力強化に当たっての優先事項、その2「スタンド・オフ防衛能力」に基づき、開発が完了した空対艦ミサイル「ASM-3」をベースに、射程を400km以上に延長する形で、新型のミサイルを開発すると報じています。

Attribution: Hunini, File:JASDF XASM-3-E left front view at Gifu Air Base November 19, 2017 01.jpg / Hunini / CC BY-SA 4.0 XASM-3

ASM-3は、元々200km程度の射程でしたが、これを倍以上の400km以上にすると言う話。しかし読売は巡航ミサイルと書いています。

ASM-3は巡航ミサイルではありません。

そもそも巡航ミサイルとは、主翼を備えて揚力を作り出し、搭載されたジェットエンジンで飛行するものを指した言葉です。もし読売の書いた通りASM-3をベースに「長距離巡航ミサイル」化するなら、トマホークのような主翼を設ける必要があります。

マッハ3程度で飛翔(もはや飛行ではない)するASM-3に、主翼付けて射程の延長を狙うのか疑問ですね。

単純に、空対艦ミサイル「ASM-3」の長射程版であって、巡航ミサイルではないように思えますが・・・

 

中国海軍が進める艦隊防空の多層化を打ち破る

今回、日本が開発するという“マッハ3程度”の“長射程対艦ミサイル”と言えば、ロシアとインドが開発した「ブラモス」が有名です。

ただ、ブラモスの射程は300km程度。搭載される弾頭の大きさは不明ですが、ASM-3の長射程版は400km以上!これは非常に大胆な目標設定だと思います。

出典:wikimedia commons, public domain 超音速巡航ミサイル ブラモス

しかし、なぜ400km以上もの射程が必要なのか?

近年、中国海軍の防空能力の向上は著しく、より遠い場所から安全に攻撃するためというのが理由。

読売の記事では、中国では、2000年代に射程150kmの艦対空ミサイルが登場したと書いてありますが、射程150kmの艦対空ミサイルって何?

Attribution: Vnonymous, File:PLANS Changchun (150), Penang Strait, Penang.jpg / Vnonymous / CC BY-SA 4.0 052C型駆逐艦「長春」

おそらく、長距離地対空ミサイル「HQ-9」の艦艇搭載バージョン、HHQ-9A(海紅旗9A)の事だと思います。このミサイルの射程には諸説あるですよね・・・ 射程200kmという説もあるし、120kmという説もある。調べるサイト毎に射程が伸びたり縮んだり(笑)

ただ、原型の「HQ-9」に比べて、艦艇に搭載するため小型化されてあるHHQ-9Aに、そこまでの射程があるのかが疑問。あと欠点を言えば、低空(高度20m以下)の目標に対する処理能力は低いと言われています。

これを補完する形で、搭載されているのがHQ-16艦対空ミサイル。

これは西側兵器でいうSM-2に相当し、HHQ-9Aが苦手な低空の目標処理に対応しているので、HHQ-9AとHQ-16で艦隊防空の多層化が実現しました。これにより中国艦隊の防空能力はまた一歩、西側レベルに近づいたと言われています。

しかも、HQ-16艦対空ミサイルの発展型が、最近配備されているらしい。

この様に、猛スピードで強化されていく中国海軍の艦隊防空網を、手の届かない外側から打ち破るため、空対艦ミサイル「ASM-3」の射程延長を開発するんだと言えます。

最近導入を決定した、ステルス巡航ミサイルの「JSM」は亜音速でしか飛べないので、ASM-3の長射程版は、十分存在意義があると思います。

 

※アイキャッチ画像の出典:航空自衛隊ホームページ

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