軍事的雑学

軍事的雑学|米空軍採用の新鋭機!ボーイングが航空自衛隊に売り込む次世代訓練機「TX」とは?

ボーイングが日本への売り込みを表明した、次世代訓練機ボーイングTXとは、どんな飛行機なのかをまとめてみました。

米空軍の次世代訓練機、ボーイングTXとは?

ボーイングTXとは、米空軍が採用した超音速飛行が可能なジェット訓練機です。

正確には機種選定を経て、ボーイングのTX案が採用されただけで、まだ量産や配備には至っていません。空軍の要求に合わせて改良中で、初期運用能力(IOC)の獲得は2023年頃の予定。

出典:wikimedia commons public domain ノースロップT-38タロン

米空軍は現在、ノースロップ社が開発したT-38“タロン”を運用中で、なんと50年以上も使用されています。もちろん、そのまま運用され続けたのではなく、何度も機体の改修(アビオニクスも)を行い、2029年までの機体寿命延長を行っています。

では、米空軍はT-38“タロン”が古くなったから、ボーイングTXを導入することにしたのか?

実は、F-35の導入が大きなキッカケになっています。

出典:wikimedia commons public domain ノースロップT-38タロンのコックピット

F-35の先進的なアビオニクスの操作や、飛行特性の習得に、T-38では役不足という意味です。

いくら改修されたからと言っても、初飛行当時はアナログだったT-38のアビオニクスを、F-35並に改修するのはコストがかかりすぎます。操縦方法もサイドスティックが採用されているのに、T-38は伝統的な中央配置のまま。これでF-35の飛行感覚を掴めと言っても無理です。

そこで採用されたのが、ボーイングTXという訳です。

出典:wikimedia commons public domain F-35のコックピットのモックアップ

パイロット育成のコスト削減のため、高精度なフライトシミュレータも開発されました。エンジンには、F-18C/Dに搭載されていたF404を採用することで、既存の物流や蓄積されたノウハウも活用できます。

しかし、ボーイングTXが選ばれた最大の理由は価格です。

米空軍は、T-38“タロン”を新型の訓練機に置き換える費用(約400機前後の導入費とシミュレータ40基前後の導入費用)として、約2兆2000億円を予想していました。ボーイングはこれに対し1兆2000億円程度で応じたようです。

はっきり言って激安です。

総額なので1機あたりの価格は不明ですが、単純の考えても1機20数億程度。関連費用を除けば10数億程度になるかもしれません。

出典:wikimedia commons public domain T-45

米国海軍は、BAEホークをベースにしたT-45を訓練機として運用中なので、後継機としてボーイングTXが採用されるのは随分先の話になるかもしれません。

しかし米空軍がF-35のパイロット養成に、ボーイングTXは最適だと表明したのも同然なので、今後、世界のF-35導入国で、ボーイングTX導入の動きが出てくる事が予想できます。

米国の空軍需要だけで400機前後もあるので、これに世界各国が便乗すれば、ボーイングTXのさらに単価が下がるでしょう。

 

追記

ボーイング案が採用された、もう一つの要因は、現在米軍が使用する主な戦闘機、F-22、F-35が全てロッキード製で、ボーイングに残されているのは、輸出用のF-15、F-18E/Fぐらい。

※国防総省の2020年予算案にF-15EXの購入予算が要求されていたので、F-15の製造ラインが維持できるかもしれません。

結局、米国の次期戦闘機(第6世代機)開発の際、複数のメーカーに競わせたいので、ボーイングが潰れるのは困るという軍側の配慮があったとも言われています。

 

日本への売り込みも視野に

ボーイングは、次期ジェット訓練機を日本に売り込むと発表しています。

参考記事:ボーイング社、次期超音速高等練習機「TX」を日本に積極売り込みへ

日本は現在、国産の川崎T-4中等訓練機を運用中で、T-4で訓練の終わった新人パイロットは、F-15やF-2の複座タイプを使用し技術を磨いていきます。しかし現在導入中のF-35には複座タイプが存在しません。

出典:航空自衛隊ホームページ T-4中等訓練機

F-15やF-2での経験者であれば、地上のフライトシミュレータで訓練したのち、実機(F-35)での初飛行で機種転換が完了するかもしれませんが、今後F-15やF-2が退役し、T-4中等訓練機からF-35に進む、新人パイロットには負担が大きい事が予想されます。

そのため日本も新しい訓練機を、国内で開発するという方法もありますが、T-4で1機あたり約30億円ほどした事を考えると、国内開発は価格面のメリットはなさそう。

素直にボーイングTXで更新するのが良さそうだけど、国内のT-4中等訓練機の需要規模は200機前後。フライトシミュレータの活用で導入機数を減らしたとしても確実に100機以上は必要になる。1機20億円だと仮定しても、2000億円以上の事業を簡単に手放すも惜しい気がしますね。

今後F-3の開発も控えているので、これを流用して訓練機の開発費用を抑えることが出来れば・・・

果たして、日本はボーイングTXを導入するのか、国産開発で行くのか、気になるところです。

 

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コメント

    • 匿名
    • 2019年 3月 21日

    せっかく芽吹き始めた国内航空産業に水を与えないのは悪手でしょ
    F-3ほどの高水準を要求されずせっかくのT-4っていう土台もあるのにもったいない
    目先のはした金に目が眩むのは財務官僚だけで十分ですわ

    • 匿名
    • 2019年 3月 21日

    値段次第、開発の見込み次第でそれはそれこれはこれで買ってもいいんじゃないかなぁ。お金は回してこそという考え方はあるわけで。貿易でいつもブウブウ文句言う国だから、アメに飴くわえさせる的な。カード化するべきだし、自国開発は止めるべきではないとも思いますが。

    • 匿名
    • 2019年 3月 21日

    国内の航空産業のレベル、規模、技術の維持って面mあります。
    その面で言えば国産。

    • 匿名
    • 2019年 3月 23日

    最近 高額装備品ばかりの自衛隊 1機20億円なら購入したら?
    とりあえず一飛行隊位なら 良ければ追加購入で
    サイドワインダー付けてスクランブルもいいな
    F15やF2の随伴機に・・
    F15やF2がスクランブルで擦り潰されているのは悲しい

    • 匿名
    • 2019年 3月 25日

    どうせ国産したって欠陥品しか作れないんだから、税金無駄に使うより大人しく輸入しといたら?
    お隣のJF-17(FC-1)なんか欧米製買うよりお値打ちだと思うよ

    • 匿名
    • 2019年 5月 08日

    “T-38では役不足という意味です”
    意味が違いますので
    “力不足”
    が正しいと思います。

      • 匿名
      • 2020年 8月 31日

      役不足と役者不足は間違えやすいですね。

    • 匿名
    • 2019年 5月 10日

    今回のアメリカ空軍T-XコンペはF404単発機が一番多かったし、ノースロップ・グラマンもF404エンジンだったからT-38に続いて勝っていればF-20タイガーシャークの夢再びだったんですけどね。
    昔は練習機も超音速機、という思想だったけど、超音速を使うケースが少ないので亜音速機の訓練機と実機の複座機で十分になって、日本は亜音速機のT-4を使ってます、
    グラスコックピットの単座機が増えてるから、それに合わせた高等練習機が必要、というところで高等練習機が超音速機に回帰したのはオマケみたいなもんでしょう。

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