軍事的雑学

軍事的雑学|消えゆく「チャレンジャー2」、英国148輌まで戦車削減、陸上自衛隊の半分以下!

英国陸軍が、主力戦車「チャレンジャー2」を、現在の227輌から、148輌まで減らすという報道が英国国内で出ている。

参考:Fury as British Army will be outgunned by Cambodia, Serbia and Burma after MoD plans to upgrade only two-thirds of its Challenger 2 tanks and use the rest for parts

予算のため戦車削減を行う英国の国際的地位低下が危惧される

英国陸軍は、経済的な問題のため、現在保有している「チャレンジャー2」戦車227輌のうち、148輌にだけ改良を行う事を決定し、残りの79輌は予備の部品取りに回されると予想されている。

出典:Public Domain チャレンジャー2

補足:チャレンジャー2戦車は1986年に、英国のヴィッカース社がチャレンジャー1戦車を改良して開発した主力戦車。開発から既に30年以上経過して、追加装甲等を中心に防護力向上は何度か行われているが、攻撃力を含めた、総合的な能力向上は予算不足のため行われていない。因み、紅茶を飲むためのお湯を作るポットが搭載されているため、レーション(戦闘糧食)を温めることもできる。

英国メディアは、これが事実なら、英国陸軍は装甲車両の面で、カンボジア、セルビア、ミャンマーに劣り、戦車保有ランキングでも48位から56位に急落することになり、英国の国際的地位の低下は、軍の士気喪失に繋がると指摘している。

また戦車の保有量の減少は、軍にとって「深刻な能力の喪失」を意味するとも報じている

Attribution: Boevaya mashina / CC BY-SA 4.0 T-14戦車 プロトタイプ

主力戦車の保有量は、1位のロシアが12,950輌、2位の米国が6,333輌、3位の中国が5,800輌、4位のインドが4,665輌を保有し、冷戦終結直後、800輌近く戦車を保有していた英国は、今回の新しい決定によって、ロシアの1/87にまで戦車保有量が減少する。

NATO主要国の戦車保有量、フランス(ルクレール戦車 400輌)、イタリア(アリエテ戦車200両、レオパルト1A5戦車 120輌)、スペイン(レオパルト2戦車 320輌)、ドイツ(レオパルト2戦車 225輌)、ギリシャ(レオパルト2戦車 350輌)、ポーランド(レオパルト2戦車 249輌、PT-91戦車 232輌)と比較しても、148輌という英国の戦車保有量は少ないと感じてしまう。

出典:陸上自衛隊 90式戦車

因みに、日本の陸上自衛隊が保有する戦車は、10式戦車が80輌、90式戦車が341輌、74式戦車を除外しても、計421輌の戦車を保有しているが、将来的に300輌程度に減らす予定だ。

英国メディアが「国際的地位の低下」と騒ぎ立てるのも頷ける話ではあるが、これは戦車の保有数を基準に見た場合の話だ。

 

戦車発祥の国として戦車を廃止することだけは無いだろう

英国海軍は、1978年に空母「アーク・ロイヤル」が退役して以降、費用の掛かる正規空母を廃止し、インヴィンシブル級軽空母に垂直離着陸機のハリアーを載せて運用していたが、2017年に再び、空母「クイーン・エリザベス」が就役、2020年には2番艦の「プリンス・オブ・ウェールズ」が就役予定だ。

出典:Public Domain 空母「クイーン・エリザベス」

空母「クイーン・エリザベス」とは、通常動力式ながら満載排水量6万トンを超える大型正規空母。ただし、米海軍の原子力空母とは異なり、カタパルトやアレスティング・ワイヤーは装備されていないため、通常の固定翼機は運用出来ない。スキージャンプ台を使用しF-35Bを運用している。搭載艦載機はF-35Bが30機、各種ヘリコプターが10機。現在、クイーン・エリザベス級を建造しないかインドに打診している。

当初、2番艦の「プリンス・オブ・ウェールズ」は、予算不足のためインド売却が有力視されていたが、2015年の安保方針見直しで方針を変更し、2隻の空母を保有し運用することが決定された。

恐らくだが、英国は海上からの軍事プレゼンス強化へ比重を移し、空母を2隻運用する海軍に予算を回すため、相対的に陸上戦力を削減しているものと思われる。そのため海上戦力を含めた観点から見れば、英国の軍事的地位が国際的に低下するとは思えない。むしろ、アジア・太平洋地域への空母「クイーン・エリザベス」派遣で、この地域での軍事的存在感が高まっている。

以上のように、「チャレンジャー2」戦車削減は、限られた国防予算の配分を組み替えたに過ぎない。

管理人は、どれだけ予算を削減されたとしても戦車発祥の国、英国が、ベルギーのように、戦車を廃止することだけはないと思っている。

 

※アイキャッチ画像の出典:Attribution: Fiorellino / CC BY-SA 3.0 チャレンジャー2

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