欧州関連

走行中射撃すら出来ない?時代遅れな戦車「チャレンジャー2」でロシア対抗は不可能

英国は時代遅れの主力戦車「チャレンジャー2」をアップグレードすることが出来るだろうか?

参考:Will the stars finally align to upgrade Britain’s ‘obsolete’ tanks?

時代遅れの戦車「チャレンジャー2」でロシアを震え上がらせることは不可能

英国のペニー・モーダント国防相は陸軍の主要な装甲戦闘車両について「同盟国や潜在的な敵対国に遅れをとっている」と認め問題を解決しなければならないと語った。

特に主力戦車のチャレンジャー2について「1998年に登場して以来一度もメジャーアップグレードなしに稼働を続けているが、この間に米国、ドイツ、デンマークは2回のメジャーアップグレードを実施してロシアでは新しい戦車が登場した。チャレンジャー2は既に時代遅れで主要同盟国で運用されている主力戦車よりも20年以上古い」とモーダント国防相は問題点を指摘している。

モーダント国防相が時代遅れと指摘したチャレンジャー2の主な問題点は走行中に主砲による攻撃ができない「旧式化した攻撃システム」と現時点で英国以外に採用例がない伝統的な「弾薬分離式」の装填方式のことだで、このような時代遅れの性能では潜在的な敵対国であるロシアを震え上がらせることはまず不可能と言える。

出典:Attribution: Fiorellino / CC BY-SA 3.0 チャレンジャー2

英国はチャレンジャー2のアップグレードに関して既に評価テストを終えているため実施にアップグレードを実行するのかどうかの判断待ちなのだが、戦車自体の必要性が疑問視されている中で大金を投資してまでアップグレードを行うのか現時点では不明瞭で、政府は経済的な問題を理由に現在保有しているチャレンジャー2×227輌のうち148輌だけアップグレードを実施して残り79輌は部品取りとして活用する予定だという報道まで出ている。

Attribution: Boevaya mashina / CC BY-SA 4.0 T-14戦車 プロトタイプ

この報道を受けて英国メディアは「陸軍は装甲車両戦力はカンボジア、セルビア、ミャンマーに劣り、戦車保有ランキングでも48位から56位に急落することになるため英国の国際的地位の低下は避けられない」と厳しく批判して「この様な削減は軍の士気喪失に繋がる」と言っている。

主力戦車の数は1位のロシアが12,950輌、2位の米国が6,333輌、3位の中国が5,800輌、4位のインドが4,665輌を保有しており、冷戦終結直後に800輌近く戦車を保有していた英国は報道通り148輌まで戦車を削減するとロシアの1/87にまで戦車保有量が減少することになる。

NATO主要国フランス(ルクレール戦車 400輌)、イタリア(アリエテ戦車200両、レオパルト1A5戦車 120輌)、スペイン(レオパルト2戦車 320輌)、ドイツ(レオパルト2戦車 225輌)、ギリシャ(レオパルト2戦車 350輌)、ポーランド(レオパルト2戦車 249輌、PT-91戦車 232輌)と比較しても英国の148輌と言う数字はあまりに寂しい。

 

恐らく2019年中にはチャレンジャー2の今後について何かしらの決定が下される可能性が高いといわれているが、世界で初めて戦車を実用化させた国で果たして戦車は生き残れるのだろうか?

 

※アイキャッチ画像の出典:Public Domain チャレンジャー2

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コメント

    • 匿名
    • 2019年 6月 06日

    最近西側の装備グタグタ過ぎるな……

    4
    • 匿名
    • 2019年 6月 06日

    チャレンジャーは戦うために作られた戦車なのだ。アップグレードのために造られたのではない。

    2
    • 匿名
    • 2019年 6月 07日

    90式より旧式なのかよ…

    3
    •  
    • 2019年 6月 07日

    英仏は、核・空母・原潜を維持しないといけないので、どうしても通常戦力にしわ寄せが来る。
    ましてや英国陸軍の戦車戦力なんて、一番に削られそうな分野だ。
    どの国も軍事費には限りがあるのだから、どういう運用思想でどう予算配分するかって話になるね。

    5
    • 匿名
    • 2019年 6月 07日

    ドイツのレオパルト2はまともに動くのは60両程度で、あとは部品取り用らしいが

    3
    • 匿名
    • 2019年 6月 07日

    >ドイツ(レオパルト2戦車 225輌)
    >ポーランド(レオパルト2戦車 249輌、PT-91戦車 232輌)
    もうドイツはポーランドに戦車戦力で完璧に負けてるのね。道路国家に陸戦力で負けるとは、ゲルマン魂は無いのか?

    3
    • 匿名
    • 2019年 6月 08日

    >ゲルマン魂

    そんなもの、尻拭く紙の役にも立ちませんが何か?
    ドイツ人に聞かせたら鼻で嗤われるでしょうね

    4
    • 匿名
    • 2019年 8月 04日

    日本も戦車を300両にまで削減する計画。直協火力の不足は機動戦闘車で補うつもりらしい。軍事セオリーでは攻撃側は3倍の兵力が必要なので、日本に900両もの戦車を上陸させられる周辺国はないという判断なのだろう。
    戦車削減はイギリスに倣ったもののようだが、あちらは周りがすべて友好国。日本のように周辺国すべてがろくでなし国家とは事情が違うのだけどね。

    9
    • 匿名
    • 2019年 8月 27日

    我が国には74式大先輩がいるんだよなぁ(泣)

    • 匿名
    • 2019年 8月 27日

    匿名 :
    >ゲルマン魂
    そんなもの、尻拭く紙の役にも立ちませんが何か?
    ドイツ人に聞かせたら鼻で嗤われるでしょうね

    • 匿名
    • 2020年 3月 05日

    自衛隊に核もたせたら、そこに予算とられて同じような状況になるよ
    核はいろんな意味で諸刃の剣

    • 匿名
    • 2020年 5月 31日

    10式に湯沸かし器つけて売ろう

    1
    • 匿名
    • 2020年 9月 26日

    >英国以外に採用例がない伝統的な「弾薬分離式」の装填方式
    と、思ってたんだけどディスカバリーチャンネルのT-90SMの特集番組を見てたら
    「装填はボタン一つで行えます。まずは砲弾、次に装薬が自動的に装填されます」
    などと説明があり、画面でも確かにそのように映っていた。

    西側(で良いのかな?)で弾薬分離式はチャレンジャー2だけだろうけど、ロシアにも弾薬分離式はあるっぽい。

    1
      • 匿名
      • 2020年 9月 28日

      ロシア(旧ソ連)系車両はみな分離装薬。分離装薬だけど完全自動装填だからね。これまでソ連は質より量でと言うコンセプトだったけど、今のイギリスのチャレンジャー2はアップグレードされてきたT-72B3やB4、T-90シリーズには質でも届かなくなりつつある。

      1
    • 匿名
    • 2023年 1月 09日

    チャレンジャー2は防御面では最強だと思う。
    実際、敵戦車の砲撃をうけても、塗装しか剥がれなかったていうし、、。

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