軍事的雑学

中国の国産空母は当面張子の虎? 本格的な空母運用を妨げる2つの問題点

中国は国産空母「山東」が就役し、空母「遼寧」と合わせて2隻の空母を運用することが出来るようになったが、中国の空母が本当に機能し始めるのは当分先の話になりそうだ。

参考:Pilot shortages could ground China’s plans to develop combat-ready carrier fleet

現時点で中国は2隻の空母を実戦で運用するだけの体制が整っていない

中国が初めて建造した国産空母「山東」は、未完成のアドミラル・クズネツォフ級空母「ヴァリャーグ」を改造して完成させた空母「遼寧」と同じスキージャンプ方式を採用しているため、発艦時の重量が約30トン以内に制限されており、中国海軍が空母で運用する戦闘機「J-15」は燃料と弾薬の両方を十分搭載して発艦することは不可能だ。

米海軍の空母が装備する蒸気式カタパルト「C-13」ならば35トン~36トンまでの航空機を時速260kmまで加速することができ、それでも足りなければ発艦後に空中給油を受け燃料を補充することが出来るが、発艦時の重量が約30トンに制限された中国の空母では空中給油機や早期警戒機などの運用も恐らく不可能で、戦闘機「J-15」は当面、武装をしない偵察用途か近距離での戦闘任務に活動が限定されるだろう。

この問題を解決するには戦闘機「J-15」の設計を見直し機体の軽量化と出力の大きな新型エンジンに換装するか、電磁式カタパルトを装備していると言われる「003型航空母艦」の完成を待つしか無いが、中国の空母が直面している問題はこれだけではない。

さらに深刻なのは、空母から発着艦することが出来る熟練パイロットの不足問題だ。

そもそも中国海軍が艦載機パイロットの養成を初めたのは空母「遼寧」完成後の2013年からで、しかも訓練方法についても、ほぼ一から手探りで構築しなければならず、米海軍の艦載機パイトットと同レベルと判断できる基準=空母への夜間着艦に中国人パイロットが成功したのは「遼寧」完成から6年後の2018年5月になってのことだ。

結局、中国海軍は空母運用に必要な熟練パイロットが追いついていないにもかかわらず国産空母「山東」が就役したため、新たに70人近い熟練パイロットを急いで「山東」に供給しなければならず、現時点で空母を2隻同時に航行させることは出来ても、空母を使用した軍事作戦を行えるだけの能力は整っていないと推測できる。

中国は将来的に5隻から6隻の空母を調達する予定なので、中国海軍にとって熟練パイロットの養成は最も頭の痛い問題だ。

このように中国は空母の建造スピードだけは早いが、戦闘機の性能と熟練パイロットの供給に問題があるため、当分の間は必要以上に中国の空母を恐れる必要はないが、時間さえかければ十分解決できる問題なので、東アジアで中国と対立する日本や台湾、米国にとって対応策を練る時間は限られているとも言える。

 

※アイキャッチ画像の出典:Tyg728 / CC BY-SA 4.0 国産空母「山東」

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 1月 20日

    国産といながら実質コピーレベルか以下でしょ
    しかしまぁ思えば中国の空母建造はロシアが原因だけどロシア東側の覇権を中国に許してでも自国への壁を作りたかったんでしょうかね。
    中国の空母建造は遅かれ早かれとはいえ、後々自分の首も締めるロシアの失策な気がする

      • 匿名
      • 2020年 1月 20日

      売ったのはウクライナ。
      ロシアは、艦載機も売ってない。

        • 匿名
        • 2020年 1月 21日

        その通りですね

        ~1993年、ロシアは「ヴァリャーグ」の所有権を諦め、同艦はウクライナの管轄となった。

        中国への売却~
        リンク

    • 匿名
    • 2020年 1月 20日

    こういうのって時間と金で解決する問題だから怖いなぁ

      • 匿名
      • 2020年 1月 20日

      解決してくる頃には本邦側で対策できてるから空母と艦載機そのものは怖くはない

        • 匿名
        • 2020年 1月 20日

        数十年間時間と金を注ぎ込んでも高推力エンジンを量産できてないからこの体たらくなわけで
        もう残された時間も金も長くないぞ

          • 匿名
          • 2020年 1月 21日

          その数十年前は数が多いだけの雑魚だった海軍が、今や急速に近代化して列島線の向こう側ではアメリカ海軍ですら相応の損害を覚悟しないといけない
          って評価されるレベルまで拡大してるのに楽観的になれる理由が分からん

          当のアメリカだってエアシーバトル構想を公表したのは十年前だし、オバマ時代の米軍再編でも太平洋地域は強化される対象だったわけで

      • 匿名
      • 2020年 1月 20日

      いまだに複座練習機が無いの、は四千年の伝統のポッケナイナイのせいアル。

    • 匿名
    • 2020年 1月 20日

    ほぼ一から手探りってのは多少語弊があるな。自国に合わせたローカライズはしているけど、航空要員訓練は遼寧完成に先行してウクライナのニートカと当時現役だったブラジルのサンパウロで行っていた。運用方法見ると欧米式ベースなのがわかる。

    訓練サポートのための中国版ニートカである黄村基地や2隻の徐霞客級も併せて配備しているし、回りだしたら早い。

    • 匿名
    • 2020年 1月 20日

    ロシアは大陸国家だし、陸軍強化されるよりは、海軍強化して東方進出とか南下してもらう方が安全だからでしょ
    んで、日本やアメリカとぶつけてまた漁夫るつもりかと
    カタパルト開発するにしても、カタパルト射出に耐える機体の開発は又手間がかかりそうだね

    • 匿名
    • 2020年 1月 21日

    飽和攻撃用突撃ドローンの母艦として運用し出すと脅威かもしれない。

    • WSO
    • 2020年 2月 10日

    ここまで「バディ給油ポッド(米海軍もロシア海軍も御愛用)」の文字ナシ…それと、CAP任務で吊るすAAMってのはそんな大した重量じゃ無かったりする事実。

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