中国関連

もう2隻目が完成? 中国、ワスプ級並な「075型強襲揚陸艦」を驚異的な速度で建造中

中国は昨年9月、中国海軍初となる全通飛行甲板を備えた「075型強襲揚陸艦」1番艦(艦名不明)が進水を果たし艤装工事中だが、2番艦の進水も間近であると中国の環球時報(Global Times)紙が伝えている。

参考:China to launch 2nd amphibious assault ship soon

驚異的なスピードで建造される075型強襲揚陸艦、もうすぐ2番艦が進水予定?

075型強襲揚陸艦は米海軍のワスプ級強襲揚陸艦(満水排水量約40,000トン)と比べても遜色のない大型艦(推定4万トン前後)で、全長250m、全幅30m、速力23ノット、米国のエア・クッション型揚陸艇に近い「726型エア・クッション型揚陸艇」を3隻搭載、1,900人の海兵隊員と約30機程度の回転翼機が収容が可能だ。

引用:South China Morning Post 075型強襲揚陸艦

中国は075型強襲揚陸艦を少なくとも3隻建造する見込みで、衛星写真の解析から2番艦の建造が始まっていることが昨年に確認されていたのだが、たった1年で2番艦の進水が間近に迫っていると言うのだから恐ろしいほどの建造スピードだと言える。

中国の環球時報(Global Times)紙は最終的に、米海軍のサン・アントニオ級ドック型輸送揚陸艦によく似た2万5000トンクラスの071型揚陸艦と同数の075型強襲揚陸艦が整備されると伝えているため、中国海軍は米海軍のワスプ級強襲揚陸艦規模の艦を8隻程度保有することになりそうだ。

最も懸念されるのは中国が開発を検討していると言われるSTOVL型のステルス戦闘機の存在で、これを中国が実用化すると075型強襲揚陸艦は米海軍のライトニングキャリアと同じく軽空母として使用が可能になり、中国海軍の大型空母「遼寧」や「山東」などの補助戦力として活用することが出来るようになる。

出典:Wal Nelowkin / CC BY-SA 4.0 Yak-141

問題は中国はSTOVL機の開発経験がないため開発に時間が掛かることが予想されるが、ロシアは2018年、ソ連崩壊に伴う経済危機の煽りで開発中止に追い込まれた垂直着陸が可能な戦闘機「Yak-141」開発プログラムを再開したと言われており、中国がロシアから同機を入手すれば短期間で075型強襲揚陸艦を軽空母化することも不可能ではない。

特にロシアにとって中国を軍事的支援することは米国が対ロシアに向ける力を削ぐことに繋がるため、現実的な選択肢として大いに有り得る話だ。中国の驚異的な建造スピードを考えるれば、2030年までに075型強襲揚陸艦を8隻揃えるだろうし、そこにF-35B並のステルス戦闘機が加わるとしたら米海軍を圧倒するとまでは言えないが、少なくとも対等に渡り合えるようになるはずだ。

ただしロシアからの技術的支援がなく中国単独でSTOVL機の開発を行うなら、075型強襲揚陸艦の軽空母化は随分先の話になるしかない。

 

※アイキャッチ画像の出典:龙龑之ツイート

米海軍長官がジェラルド・R・フォード級空母の終焉を示唆、次世代空母の規模は5万トンクラス?前のページ

次期戦闘機「F-3」日米共同開発を否定する海外メディア、日本はパートナー国を決定していない?次のページ

関連記事

  1. 中国関連

    NATOと中国がウクライナ問題で論戦、中国は世界平和の建設者と発言して会場の笑いを誘う

    北極評議会でNATO軍事委員長と駐アイルランド・中国大使が「ウクライナ…

  2. 中国関連

    中国軍が調達を進めるJ-20、2023年の生産数は限りなく100機に近い?

    中国軍が調達を進めるJ-20の生産数については諸説あるが、中国の軍用機…

  3. 中国関連

    フォークランド諸島に対するアルゼンチンの主権を中国が支持、英国は連邦の一員と反論

    北京冬季五輪の裏でフォークランド諸島に対するアルゼンチンの主権を中国が…

  4. 中国関連

    中国、完成したステルス無人爆撃機「Flying Dragon-2」のプロトタイプを公開

    中国の中天飛龍有限公司は噂されていたステルス無人爆撃機「Flying …

  5. 中国関連

    中国初の強襲揚陸艦「075型」が進水、驚異的な建造速度で米海軍を追い上げ

    中国は米海軍のワスプ級強襲揚陸艦(満水排水量約40,000トン)と比べ…

  6. 中国関連

    軍事的圧力を強化する中国、インド方面に第5世代戦闘機「J-20」を配備

    インドと国境未確定地域で軍事的対立が続く中国は、遂に第5世代戦闘機J-…

コメント

    • 匿名
    • 2020年 3月 12日

    現在の中国では艦艇が、まるでプラモデルのように恐ろしいほどのスピードで作られているけど、確実にソ連の二の舞なるよね。
    で、国が崩壊して軍閥が勝手にあちこちに兵器を売りまくる未来が…。

      • 匿名
      • 2020年 3月 13日

      中国は旧ソ連ほど軍事費に突っ込んでるわけじゃないから、それで経済が傾くということはないと思う。
      超軍拡しているように感じられるのは、中国の経済規模が購買力平価で見ると27兆ドルもあって、
      すでに21兆ドルの米国より大きいから。
      軍事費のGDP比は2%以下で米露よりかなり低いが、それでも経済規模が巨大過ぎて、普通にやってる
      だけでも他国には脅威と映る。
      経済への負担という点では単純計算だと日本が一隻護衛艦を作る感覚で中国は5-6隻作れる感じなので
      中国にとっては年間十数隻の大型艦を進水させても日本が2-3隻作ってるのと変わらない負担感覚。

      1
    • 匿名
    • 2020年 3月 12日

    手段(造船業の救済)が目的化してる面もありますよね。

    • 匿名
    • 2020年 3月 12日

    もっとコロナウイルスが頑張って中国のGDPを削いで中国の軍事費削減に貢献してくれ
    日本もアメリカも無関係ではないが打撃が受けるのは中国だからもっとコロナウイルスに活躍してほしい
    あいつらの欲望を打ち砕け!!

    • 匿名
    • 2020年 3月 12日

    民間の航空会社でもあることだけど、急激な拡大は人員不足と過労を招く。
    ついでにいえば、こんなに一度に作ったら、老朽化したときどうするんだろ?
    使い捨てかな?

    • 匿名
    • 2020年 3月 12日

    最近の中国が何処まで操作しているかは知らないけど、今も為替操作しているならそれ相応にデフォルトの可能性はある。
    けど、その危ない状態を抜け出す正攻法は自国への投資でもって供給能力を引き上げることだから、兵器いっぱい作ってるすなわち…とはならないよ。
    この手の話でいうと自国通貨すら無いユーロのほうが危険な体制。

    • 匿名
    • 2020年 3月 12日

    乗組員の養成や、修理、メンテナンスなど将来の事まで考えて建造してるようには思えませんね。

      • 匿名
      • 2020年 3月 12日

      メンテ用にドック空けているのですかね?
      でないと、延々と岸壁で順番待ちする事態に

    • 匿名
    • 2020年 3月 12日

    でも日本としちゃこの艦種を量産されるのが一番イヤだなぁ
    空母沢山作っててくださいよ…

    • 匿名
    • 2020年 3月 15日

    中々格好良いね。
    正直うらやましい。
    これが隣国でなく、遠い国の話だったら良かったのに……。

    2
    • 匿名
    • 2020年 3月 15日

    STOVL機戦闘機も無く、これからロシアの技術をパクって開発しますなんてなんの笑い話だ
    開発出来ても数十年後で、足が短くエンジンも信頼性が無くて、搭載兵器は制限され
    ステルス性能も皆無なおもちゃが出来るだけ
    その頃には、自衛隊にF35を搭載した空母がお前らを失笑してしてるだろう
    東南アジア諸国なら警戒するだろうが日本からしたらただの的
    飛ばす戦闘機もねえくせに何が強襲揚陸艦だよ
    見てくれだけ米軍のアメリカ級にしてもこんなのただの輸送船だろ
    どんどん建造しまくって散財してろコロナ人

    • 匿名
    • 2020年 9月 03日

    作りすぎで自滅してくれねぇかなぁ……
    日本も中国の物量に対して、守りに徹すれば絶対に負けることはない位の戦力があれば一番良いんだけど

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  2. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
  3. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
  4. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
  5. 中国関連

    中国、量産中の052DL型駆逐艦が進水間近、055型駆逐艦7番艦が初期作戦能力を…
PAGE TOP