軍事的雑学

カタパルト装備の空母で運用?中国、ステルス戦闘機「J-20」艦載機型を開発中

中国は、カタパルトを装備している空母で運用するための艦載機について、ステルス戦闘機「J-20」の改良型を開発しているという。

参考:China’s engineers in race to build best stealth jet for nation’s aircraft carriers

中国はステルス戦闘機J-20、J-31ベースの艦載機開発を模索中

中国は、スキージャンプ台を備えた空母「遼寧」に続き、同じ発艦システムを採用した空母「001A型」を建造し、現在、試験航海を繰り返している。

この2隻の空母とは異なり、カタパルトを装備した空母で運用するための艦載機について、実戦配備が始まったばかりのステルス戦闘機「J-20」を採用するのか、J-20に比べて小型のステルス戦闘機「J-31」を採用するのか決めかねていると言われている。

これは中国の軍事情報筋が、J-20もJ-31も長所と短所があり、どちらを採用するのか決まっていないと話したという情報と一致する。

空母で運用する際、J-20とって不利なのは機体の大きさだ。

出典:Garudtejas7 / CC BY-SA 4.0 J-15

J-20の全長は20.3mで、現在、空母「遼寧」で運用中のJ-15(Su-27のコピーで全長22m)よりは小さいが、全長17mのJ-31に比べれば3m、米海軍のF/A-18E/Fと比べても2mほど大きく、機体重量や離陸重量も重い。

横方向の大きさは主翼を折り畳むことで短くできるが、縦方向の胴体は設計を変更しない限り短くすることが出来ず、スペースに限りのある空母での運用には不向きで、しかも重量が重ければカタパルトで射出するために加わる力は大きくなり、その衝撃は機体とパイロットを襲うことになる。

補足:過去、英海軍がF-4ファントム(英国名:FG.1)を、米国の空母に比べてエレベーターのサイズが小さい英国の空母で運用するため、機種の先端部分(レドーム)を折りたたみ式にするという荒業を行った事がある。

現在、カタパルトでの運用に最適化するため、20mある全長を短くしたバージョンを開発中らしいが、一体どれだけ小型化しているのかは不明だ。

出典:wc / CC BY-SA 4.0 2014年珠海航空ショーでの瀋陽J-31

一方のJ-31は、全長が17mしかなく機体のサイズ的には空母での運用に向いているが、機体構造がカタパルトの射出に耐えられるほど頑丈ではなく、こちらもカタパルト装備の空母で運用する場合、機体構造の強化が必要になるだろうと言われているが、そもそもJ-31は実用化には至っておらず、今だに開発中の機体なので、J-20と比較するのは無理がある。

そして両機に共通する問題点として、開発中の国産エンジンが安定した性能を確保できるのかという点だ。

J-20が搭載する国産エンジン「WS-15」も、J-31が搭載する国産エンジン「WS-13」も、技術的にも性能的にも1世代古いにも関わらず、耐久性の問題で実用化に手間取っている。もし、このエンジンを艦載機に搭載する場合、さらに塩害対策も講じなければならず、腐食性の高い素材の開発に苦戦するのは目に見えている。

恐らく、実用化できたと言うレベルのステルス戦闘機の艦載機化には、もう10年前後は掛かるのではないだろうか?

出典:海上自衛隊 護衛艦いずも

以前にも書いたが、中国が目指しているのは、運用ノウハウの確立や蓄積などの問題はあるものの、世界中で流行中のF-35Bと強襲揚陸艦(まはた軽空母)の組わせによる簡易的な小型空母とは比較にならない、固定翼機による、ステルス戦闘機、早期警戒や航空管制を行う早期警戒機、電子攻撃機を備えた米海軍の空母に近い空母打撃群の確立だ。

補足:中国は現在、空母で本格的な航空戦力を運用するため、艦載機のJ-15ベースにした電子攻撃機「J-17」、米海軍の早期警戒機「E-2」を参考にした「KJ-600」などを開発している。

そのための意思と投資は、中国の政治システム上、安易に揺らぐことはなく、時間は掛かっても必ず実現さてくるだろう。

いずも型護衛艦を空母化しF-35Bを運用すれば、中国の空母など敵ではないと軽視していれば、日本は足元をすくわれるかもしれない。

 

※アイキャッチ画像の出典:Alert5 / CC BY-SA 4.0 エアショー中国2016でのJ-20

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コメント

    • 匿名
    • 2019年 7月 27日

    中国は今は技術的な問題で軍事技術の進展に歯止めがかかっていると言えますが、日本は国際・国内と政治的な問題で歯止めがかかっていますから、そもそも土俵が違っていてそっちがそうならこっちはこうという風な対応はできないのが問題ですね。

    いずもの改修も、中国の空母戦力増強に対し現時点で可能な限り政治問題化を避ける苦肉の策だと言えます。今後さらに中国が空母打撃群を揃えていき、かつ日本がそれに対応するには憲法は勿論、様々な法律の改正、アメリカなど西側諸国との合意も必要になります。その為には日本政府は中国の軍拡の現状を内外に発信していくべきでしょう。

    • 匿名
    • 2019年 7月 27日

    中国で性能が良く信頼性が高く塩害対策の進んだエンジンが製造可能になり、十分な機体強度でステルス性を持った機体が製造され、カタパルトとワイアーを装備した正規空母が作れたら・・・・という話。
    越えなければならないハードルの数が多すぎて20年は無理としか思えない。
    たとえそれが出来たとしてもJー20やJー31ではFー35B相手では一方的に負けることになる。
    まあ、それが判っていてもやるのが中国なんだけど。

    • 匿名
    • 2019年 7月 27日

    中国は全くもって油断出来ない。
    宿敵と言っても良いと思う。

    こちらも備えるべきだが…如何せん、日本はまだまだ縛られている要素の解消が先決。
    解消のカギは今の日本の防衛に於ける現状を大多数の国民が周知徹底理解しないとかなり難しい。時間が足りないかも知れんないけど、着実にやらないとやられる。

    勿論中国等の息が掛かってるモノらの妨害は確実に入ってくるだろうし、政府国民一体にならなきゃ妨害をはね退けるのは難しいだろうなぁ。

    • 匿名
    • 2019年 7月 27日

    J-20が空母に載ったら「空母いぶき」の設定通りになりますね。
    「空母いぶき」の中国空母「広東」はスキージャンプ台式なので、カタパルト非搭載ですが

    • 匿名
    • 2019年 7月 27日

    日本もいつか…って思うけど、

    1セットで国防費1年分だもんな~。中国がうらやましい。

      • oominoomi
      • 2019年 7月 28日

      F-35Bを10機ばかり積んだいずも型で「中国の空母など敵ではない」と考えてる人は滅多にいないと思いますが…
      いずも型には艦載ヘリによる対潜水艦・対機雷戦という本来の任務もあり、対水上打撃力はこれまで通りアメリカの空母に依存する事になります。
      いずも型は、将来の本格的な全通甲板型多目的艦に向けてのテストベッドとなり、また 米海兵隊のF-35Bに「背中を貸す」のが目的でしょう。

    • V-22をAEWに
    • 2019年 7月 27日

    V-22にE-2Dの機材を積んで運用できれば、軽空母でもそこそこの戦力になるのにな。
    まあ、アメリカでは作らないだろうな。
    イスラエル辺りが開発しないだろうか。

    • ぽっけないない
    • 2019年 7月 28日

    今だに→未だに
    足元をすくわれる→足をすくわれる

    やり直し。

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