日本関連

水中ドローンまで装備!日本、フィリピン政府と沿岸警備隊向け巡視船の建造契約を締結

Defense Worldによれば3月6日、三菱造船はフィリピン沿岸警備隊向けに多目的パトロール船を2隻建造する契約をフィリピン政府と締結したと報じている。

参考:Mitsubishi To Build Underwater Drone Equipped-Multi-Role Response Vessels For Philippines Navy

三菱造船はフィリピン政府と沿岸警備隊向け多目的パトロール船の建造契約を締結

三菱重工業の子会社である三菱造船は6日、フィリピン沿岸警備隊向けの多目的パトロール船2隻を2022年まで建造し引き渡す契約をフィリピン政府と締結した。

フィリピン運輸省が発注した多目的パトロール船は、フィリピンの排他的経済水域内で違法操業を行う漁船取り締まりやテロ対策に使用される予定で、全長94m、最大速度24ノット以上、航続距離4,000海里以上、ヘリコプターが発着艦可能な甲板と格納庫をもち、安全な通信システムや水中探査用に水中ドローンを備えゴムボートベースの高速艇を搭載できる仕様で、フィリピンに引き渡されれば同国の沿岸警備隊にとって最も大きな船になる予定だ。

因みに、この船は新規設計ではなく日本の海上保安庁向けに建造された「くにさき型(くにがみ型)巡視船(1,700トン)」を改良したものになると言われており、日本政府は多目的パトロール船2隻を調達するフィリピン政府に対し約165億円の資金援助(円借款)を行うため発注先は日本企業に限定されている。

そのため今回の入札には、落札した三菱重工業(三菱造船)以外にもジャパンマリンユナイテッドと三井造船が参加していた。

この様な日本の取り組みは南シナ海で中国と領有権を争うフィリピンの海洋取り締まり能力強化を目的としており、日本はこれまでもフィリピンに対し44メートル型巡視船を10隻、高速小型艇1隻を供与してきた実績がある。

三菱造船はフィリピン沿岸警備隊向けの多目的パトロール船を下関造船所で建造すると明らかにしている。

話は変わるが現在、フィリピン沿岸警備隊が保有する最も大きなパトロール船はフランスの造船企業Oceaが建造したOPV 270型パトロール船で、全長84m、最大速度30ノット、12ノットで4,500~8,000海里の航続距離を誇り、ヘリコプターが発着艦可能な甲板と格納庫を備えた船だ。

この船の住環境はフランスの設計とあって非常に洗練されている印象を受ける。

船長室だと推定される個室はおしゃれなビジネスホテルを思わせる内装で、2人部屋も船長室に劣らない洗練された空間だ。特に食堂は、もはや商船かクルーズ船を思わせるほどの空間に仕上がってっており、船を実際に運用する人間には人気が高いだろう。

ただ日本人の目から見れば過剰に見えるこういった住環境も、競争が激しい海外のパトロール船市場で生き残るための工夫であり企業努力の賜物で、日本も円借款に頼った輸出ではなく、こういった努力や工夫を見習う必要があるのかもしれない。

 

※アイキャッチ画像の出典:Yasu (talk) / CC BY-SA 3.0 くにさき型(くにがみ型)巡視船

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 3月 08日

    高度な住環境を実現している国の哨戒能力が高いでなし
    居住性は大事ですが本質を見失ってませんかねヨーロピパは

    1
    • 匿名
    • 2020年 3月 08日

    感性の違いですかねー
    向こうは身分の違いが結構有るらしいですし、偉い人はそれなりに贅沢してしかるべきなのかも

    1
    • 匿名
    • 2020年 3月 08日

    お互いにとって良い事だと思います。他の東南アジア諸国とも、同じように協力していけば良いと思います。内装に関しては、簡素ではなく華美でもなく質実剛健で良いと思います。

    1
    • 匿名
    • 2020年 3月 08日

    ミリオタには軽視されガチですが、居住性の良し悪しは乗員にとって死活問題ですからね

    2
      • 匿名
      • 2020年 3月 10日

      軽視というか居住性重視して木材多用する欧州艦は被弾時に手に負えない火災が発生しがちというか
      (それでフォークランドでも英艦が沈没してる)
      平時の居住性が戦時の被害拡大に勝ることは決してない
      逆にダメコンに支障が出ない範囲では水兵の居住性を軽視してずっとハンモックを使い続けてたイギリスに対して
      日本やアメリカは早々に寝心地のいいベッドに変更していたりする

      3
    • 匿名
    • 2020年 3月 08日

    長く過ごす以上は住環境が良くて悪いことはない
    バトルプルーフを経た順当な改良と言えよう
    顧客ニーズを捉えたと言える

    2
    • 匿名
    • 2020年 3月 08日

    艦内の装飾関係は、米海軍や海自関係では戦闘する船は沈む物と割り切っている部分がある。
    だからダメコンの邪魔になる物は一切置かない、艦内は不燃物で統一と徹底している。
    海保も当然その流れだから、昔から艦内に木材を多用する欧州とは違っている

    1
    • 匿名
    • 2020年 3月 08日

    かつてイギリス人は重巡足柄を見て「あれが本物のバトルシップだ、我々の船はホテルシップだった」と評したという逸話があるけど、これってつまり「戦闘のことしか考えてなくて居住性劣悪過ぎワロタ」をブリカス翻訳してるだけなので、お互いに昔からこうだったとも言える

    2
    • 匿名
    • 2020年 3月 08日

    良い居住性≠華美な内装
    どうでもいいが維持できるのかな

    2
    • 匿名
    • 2020年 3月 08日

    潜水艦や自衛隊関連の輸出には反対だが
    海上保安向けの船舶輸出はどんどんやってほしい
    あの病原菌中国を日本とその周辺国とで協力して悪事を懲らしめる効果があれば幸いだ

    1
    • 失注側
    • 2020年 3月 08日

    動画みて思いましたが、確かにPLの内装とはかけ離れていますね。
    過徒競走もあってPLクラスも赤字ですが、こう言った努力は必要かもしれませんね。

    ちなみに、海保は木造多用してますよ??

    2
    • 匿名
    • 2020年 3月 08日

    日本は内装よりも食事に金を掛けているのでは?

    1
      • 匿名
      • 2020年 3月 09日

      内装にこだわってる船を採用するところが食事にこだわってないと考えるのは違うんでない?

      2
    • 名無しさん
    • 2020年 3月 09日

    居住空間の改善は必要かもしれませんね

    3
    • 匿名
    • 2020年 3月 10日

    フィリピンが国家として成長し地位を高めることが日本の国益につながることを認識
    友人がダメダメだと脚を引っ張られますからね

    2
    • 匿名
    • 2020年 3月 10日

    しかし着々と輸出実績を積み上げてるな

    2
      • 匿名
      • 2020年 3月 11日

      ODAで金貸して巡視船を与えるのが実績ねえ…
      昔からやってる事なんだがな

      2
      • 匿名
      • 2021年 6月 23日

      もがみ型を買ってほしいんだが、フィリピンの水上艦の計画にあのクラスの艦艇がまだ乗ってない。

    • 匿名
    • 2020年 4月 04日

    見た目も重要だろ
    内装もここまで良くなくても良いけどそれなりに気を使うべきでしょう

    3
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