軍事的雑学

2019年ミリタリーニュース10選、日本の空を守る「F-15JSI」と次期戦闘機「F-3」

早いもので2019年も、あと数時間で終わりを迎えるが、今回は航空万能論的に最も印象に残ったミリタリーニュースを10本選び、1つづつ振り返っていく第6回目だ。

F-15Jのアップグレードパッケージ「Japanese Super Interceptor(JSI)」の内容

今年、航空自衛隊が運用中のF-15Jアップグレードに関する具体的な内容が初めて確認された。

空自のF-15Jは、これまで幾つかの近代改修を行った102機(単座68機、複座34機)の「J-MSIP」と、改修を行っていない110機(単座98機、複座12機)の「Pre-MSIP」に分類され、防衛省は「J-MSIP」タイプのF-15Jを対象に、さらなる近代改修を行うことを決定(注:中期防衛力整備計画)していたが、どのような改修を行うのかについて詳細は不明のままだった。

出典:1000words / stock.adobe.com

しかし10月、米国務省はF-15Jを「Japanese Super Interceptor(JSI)」仕様へアップグレードを行うためのパッケージについて販売を承認したと明らかにし、具体的なパッケージ内容が公開された。

JSI仕様のパッケージ内容には、米空軍のF-15Eに搭載されているレーダー「AN/APG-82(V)1」や、F-15EXにも採用予定の世界最速のミッションコンピュータ「Advanced Display Core Processor II (ADCP II)Mission System Computer」、AN/ASQ-239(DEWS)電子戦/妨害システムが含まれている。

ただし、コックピットの改修(いわゆる大型のワイドディスプレイの搭載)や、新型のヘルメットディスプレイ、赤外線捜索追尾システム(IRST)の改良などは見当たらないため、この部分は日本が独自に改修を行う可能性が高く、防衛省はこの機体に国産空対空ミサイル「AAM-4B」を搭載するための調査を始めたと言われている。

Aviation Weekによれば、JSI仕様のF-15Jは2023年7月までに引渡されると報じており、まだ3年ほど時間が必要になるが、F-15JSIへアップグレードした機体は要撃機ではなく、対空、対地任務をこなすマルチロール機へと変貌することになり、より一層の活躍が期待できる。

2020年度から本格的な開発がスタートする次期戦闘機「F-3」

さらに令和2年度(2020年度)政府予算案に、次期戦闘機「F-3」開発のための予算が正式に計上され、来年度から本格的な開発がスタートする。

政府予算案には「我が国主導の次期戦闘機の開発に着手」と明記されており、次期戦闘機「F-3」の基本設計費として111億円、その他関連費用(無人機やセンサーやエンジンの研究・開発費など)を合わせると280億円もの開発予算を確保した。

管理人が個人的に気がかりなのは、次期戦闘機「F-3」の具体的な開発コンセプトが、まだ出てきていないことだ。

出典:財務省 令和2年度防衛関係予算のポイント

政府予算案の参考資料には「戦闘機「F-2」の後継として、将来のネットワーク化した戦闘の中核となる役割を果たすことが可能な戦闘機について、国際協力を視野に我が国主導の開発に着手」としか書かれておらず、どのような(将来の)戦場を想定し、どのような機能や役割を果たすのか「具体的」な説明が殆どないまま予算が計上されてしまった。

英国の第6世代戦闘機「テンペスト」や、ドイツとフランスの第6世代戦闘機「FCAS」は、開発に踏み切る前段階で具体的な開発コンセプトを示しており、これと比較した場合、日本の次期戦闘機「F-3」開発は少々、説明不足だと感じてしまう。

来年に始まる国会の予算審議で、このあたりの具体的な開発内容が国民に示されることを期待している。

 

※アイキャッチ画像の出典:財務省 令和2年度防衛関係予算のポイント

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コメント

    • 匿名
    • 2019年 12月 31日

    F-3に関しちゃ単に発表してないだけでシレッと決まってる気がするなぁ…
    発表されたポンチ絵も今までのDMUと似ても似つかないのが出てきたし
    ブラッシュアップの過程で検討終わった案を小出しにしてるだけなような気がするよ
    次期戦闘機開発計画で発表される情報って大体既に終わってるのばっかで
    ATD-Xが出てきた時なんか現物が既にある!?ってザワザワしてたじゃん

      • 匿名
      • 2019年 12月 31日

      26DMUの後、バーチャル・ビークルに移行したのですが、公開された初期3案﹙速度重視型・機動性重視型・航続性&ウェポン重視型﹚の全部混ぜ説が次期戦闘機のポンチ絵公開後に出てます。

    • 匿名
    • 2019年 12月 31日

    結局、共同で開発(使用)してくれる国が出て来なかったから単独開発なのかね?
    「1国で戦闘機開発とか、この時世あり得ないでしょ」っていう中で単独かぁ。
    輸出も無いだろうしクッソ高額になるんやろなぁ。

      • 2019年 12月 31日

      最近では共同開発の方が開発費が高騰すると分かってきてるけどな
      機能を絞って単独開発するのが一番安上がり

        • 匿名
        • 2020年 1月 01日

        開発費は兎も角、次期戦闘機は大型機志向なのもあり、日本以外での需要は望み薄の様に思えます。
        「クッソ高額」になるのは仕方ないかも。

      • 匿名
      • 2019年 12月 31日

      共同開発の方がありえなくなってきてるんじゃ?
      FCASは共同とは名ばかりの出資者募集だしTFXとKF-Xは技術乞食
      仕様策定から共同開発なのはテンペストぐらいでもう揉めてる
      部分々々で協力はしてもコンポーネントは自国でやらないと迷走、価格高騰するのは既定路線
      日本だって単独開発はしてもパーツ単位じゃアメリカ製が入ってくるはずだしな

      • 名無し
      • 2020年 1月 01日

      P-1もC-2もライバル機に対してクッソ安いのが現実、自衛隊専用で数も出ないのに、同様にX-2試作にも僅か400億しかかからなかった。
      この理由は使用目的が堅固に決定されていて、外部からの口出しが無く、一直線に作ることが出来たから。
      保有してる技術の限界を知っていて能力以上の物を作ろうと無理をしなかったのも理由、無理をしなくても世界水準を超えているが。
      で、一番大切なエンジンやAESA、ウエポンベイなどの基本的な技術を既に獲得してるから、コンセプトさえしっかり策定しておけばNGFも同様に安く早くしあがる。

        • 匿名
        • 2020年 1月 01日

        >コンセプトさえしっかり策定しておけば

        これが次期戦闘機最大の懸念の様な気がします。

        • 匿名
        • 2020年 1月 03日

        P-1もC-2もどこも買ってくれないけどな。
        クッソ安くても自国以外に売れないのはどうなんだろう。

          • 匿名
          • 2020年 1月 04日

          C2は、国内向けに尖った性格だからかな?
          C2は、旅客機並みの高速巡航が可能で、航続距離や搭載量はA400Mに類するけど、
          不整地での運用能力は有していない機体。

          P1は、同時代に米国のP8が居るのが痛いかと。
          P1を売れる国は、P8を売れる国と重なるだろうし、それらの国にとり連携相手として日本より米国の方が優先順位が高いだろうから、P8に流れるのは自然の様な気がします。

    • 匿名
    • 2019年 12月 31日

    日本主導なんてオカマみたいなこと言ってないで堂々と単独開発しろよ

      • 匿名
      • 2019年 12月 31日

      座席の射出装置とか、武装システムとか、リンク16とかその辺りは欧米の企業とのすり合わせとかも必要だからじゃないかな。
      既存の実績のある品を使う方が開発するより安いし、別にわざわざすべて開発しなくてもって感じ。
      単独開発とかいうと、あらゆるものを国内企業製にする、みたいに解釈する人も出てくるのを恐れてるんじゃないかと思う。
      日本のマスコミって軍事関係の知識さっぱりのくせに、平然とでたらめな記事出すし。
      だから日本主導って言葉なのだと思う。

    • 匿名
    • 2019年 12月 31日

    河野大臣が公式サイトで色々ろいろ述べておられますね。
    リンク
    主として空対空戦闘を担うことになる、と言う辺りが特に気になったり。

      • 匿名
      • 2020年 1月 01日

      ウェポンベイが、F-35の様な深いタイプではなくF-22の様な浅いタイプ、な感じのハード的な話しなのか、
      それとも、システム開発のロードマップで空対空戦闘が先行で行われる、な感じのスケジュール上な話しなのか、
      どちらなのか気になりますね。

      • 匿名
      • 2020年 1月 01日

      F35もF15も何年かして対艦ミサイルが使えるようになるから、純粋なF2の後継機をつくる必要はないわけで、
      逆に、それらの機体だとスクランブル任務みたいな敵機と見合った状態から戦闘になるとSu-35やSu-57に勝てない。
      それを補うための空対空戦闘重視、ということではないだろうか。

    • 匿名
    • 2019年 12月 31日

    どのよう戦場を想定し〜
    政治的判断でぼやかしてるんかな
    選挙終わったら発表とか
    軍備に関してネガティブな考えの人は一定数いるし

      • 匿名
      • 2020年 1月 01日

      >政治的判断でぼやかしてるんかな

      その一方で、離島奪還訓練をやったり、いずもの空母化したりしてるので、
      地均しを徐々に進めて来るかも。

    • 匿名
    • 2019年 12月 31日

    現時点で出てる説明だけだとF35と変わらないような…
    ただイメージ図から明らかなステルス性すら謳ってないので、敢えて詳細発表はしてないだけな気もしますね。イメージ図は大変かっこいいのでこれに近いものにして欲しい(笑)

    よいお年を。

    • 匿名
    • 2019年 12月 31日

    国会の予算審議で?
    無理でしょうね。野盗(ナイス変換)が桜かIRで荒らすでしょう。

    • 匿名
    • 2020年 1月 01日

    説明不足なのは国内や国外の敵制国家(韓国含む)への対策でワザとぼかしてるんじゃないですかね。
    開発要望や案件は完全とは言えないが大方の方針は出てるのでは?
    ガバガバ国家だったら分からんでもないが、方針もあやふやなままどうやって予算の計算や要求が’出来るのか。 

    • 通りすがりの匿名希望
    • 2020年 1月 01日

    いい方向に行ってほしいものです

    • 匿名
    • 2020年 1月 01日

    頓挫する未来しか見えない…

    • 匿名
    • 2020年 1月 01日

    インターセプターがコンセプトなのはどうしようもなくはっきりしてる筈だけど、防衛省が敢えて言わないからコンセプトが無いと思うんだろうか。

    コンセプトの口外が重要なん? なら、核始めました、で終わりかと。

    • 匿名
    • 2020年 1月 03日

    ぶっちゃけ日本の空自で一番必要なのは、高性能機というより軽トラみたいな実用機だからなあ。

    ステルスなんて関係なく、大出力のエンジンぶん回して急行し、露助やアル爆撃機・偵察機に大出力の電波でがなり立てるのがほとんどのお仕事のわけで。

    高性能化より、F-15をF-4EJばりに機体寿命延長改修の方に金かけた方が現実的。

      • 匿名
      • 2020年 1月 04日

      それ、周辺国が進歩しない前提での話しでは?

      • 匿名
      • 2020年 1月 05日

      相手がステルス機で来た場合それを探知できるだけの技術力が必要と思うんですけど…

    • 匿名
    • 2020年 1月 06日

    あまり詳しくはないのですがアメリカでデジタルセンチュリーシリーズってやるようですね。
    そのひとつを担うのを作るのだったらアメリカもあまり横槍を入れて来ないっていう計算があったりして。

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