軍事的雑学

30年越しの再戦、F-22とF-23が日本の次期戦闘機「F-3」ベース機を巡って対決?

日本のF-2戦闘機の後継機として開発される次期戦闘機「F-3」ベース機として、F-22とF-23が再び競い合うかもしれないと米国のナショナル・インタレストが報道している。

参考:Japan’s New Stealth Fighter: The YF-23 Black Widow II?

F-22とF-23が日本の次期戦闘機「F-3」ベース機の座をかけて再戦?

F-23とは、30年前に米空軍のATF(先進戦術戦闘機)プログラムに提案され、ロッキード・マーティンのYF-22(後のF-22A)に敗れた、ノースロップ(現在のノースロップ・グラマン)のYF-23のことだ。

YF-23は、ひし形の主翼に垂直尾翼と水平尾翼を兼ねたV字型の尾翼を備え、YF-22よりもステルス性能を重視した設計が特徴の第5世代戦闘機の試作機で、常識的なレイアウトにまとまったYF-22に比べて異質で、言い方を変えれば非常に近未来的なフォルムを持った航空機だった。

出典:public domain YF-23

ただし、YF-22はYF119(のちのF119)が備えていた2次元式の推力偏向パドルを活用できる設計に対し、YF-23はエンジンの排気熱による熱源探知を困難にさせるため、耐熱・吸熱性タイルを敷き詰めた長いノズルを装備していたので推力偏向パドルが使用できず、機動性についてはYF-22に劣ると言われていたが、YF-23は2次元式の推力偏向パドルを使用しなくても、十分な操縦性や機動性を確保していた。

出典:public domain YF-23

この試作機競争をよく知る人物によれば、YF-23が競争に敗れた最大の要因は、同時期にステルス爆撃機「B-2」を開発していたノースロップは、開発スケジュールを守ることが出来ず遅延を繰り返し、開発費の高騰を招いていたため、米空軍はノースロップの管理能力に懐疑的だったためロッキード・マーティンが勝利したと語った。

しかし、完成したF-22Aは機体価格が高騰し、ステルス性能を活かすには空対空戦闘の大部分を視界外戦闘に頼らなければならず、結果的に機動性よりもステルス性能の方が必要とされたため、現在の米空軍関係者にATFプログラムの勝者を選ぶ権利が与えられた場合、YF-22ではなくYF-23が勝利していた可能性が非常に高い。

ナショナル・インタレストによれば、2018年にF-2戦闘機の後継機として開発される次期戦闘機「F-3」プログラムの潜在的なパートナー候補として、日本から接触を受けたノースロップ・グラマンは大きな反応を見せたという。

仮に、ノースロップ・グラマンが「F-3」プログラムのパートナーに選ばれたとしても、YF-23をそのまま流用することはなく、この30年で進化したテクノロジーや、ステルス技術を応用して、YF-23をアップグレードするだろうし、日本は、全く0から機体を開発するよりも、テスト済みの機体をベースに開発をすることを好むかもしれないと分析した。

ロッキード・マーティンはF-22Aの機体に、F-35のアビオニクスを移植したハイブリット案を日本に提案していると噂されているが、ノースロップ・グラマンが、もし進化したYF-23を日本に提案すれば、日本で2回目となる両者対決が実現するかもしれないと予想した。

出典:public domain YF-23

確かにYF-23の機体形状は、F-22Aに比べて機体の厚みが薄く、レーダー反射断面積に大きな影響を与える垂直尾翼がなく、代わりに垂直尾翼と水平尾翼を兼ねたV字型の尾翼を備えているため、F-22Aよりもステルス性能が優れている可能性が高い。

しかも機体形状に大きな大凸が少ないため、第5世代ステルス戦闘機の弱点である長波を使用したレーダーに対しても、ステルス性能が確保できる可能性があり、第6世代戦闘機と目される独仏主導の「FCAS」計画のモックアップは、YF-23の機体レウアウトによく似ている。

もし、YF-23の機体形状に改良を加えるなら、F-35にも採用されたエアインテークのダイバータレス化や、V字型の尾翼角度再考(もう少し水平に近づける)、進化した電波吸収素材や旧式のステルスコーティングを最新のものへ変更し、ステルス性能を高める必要があるだろうし、試作機のYF-23にはウェポンベイが未搭載なので、これも付け加える必要がある。

ナショナル・インタレストが主張するように、本当にYF-23のアップグレード版=F-23が日本に提案されるのかは謎だが、それはそれで見てみたいような気もしなくはない。

防衛省は、F-2戦闘機の後継機として開発する次期戦闘機「F-3」の要求性能を年末までには取りまとめる方針なので、数ヶ月後には何らかの方針が示される可能性があると管理人は見ている。

 

※アイキャッチ画像の出典:public domain YF-23

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コメント

    • 匿名
    • 2019年 9月 10日

    選考で破れたけど実は優れた機体を引っ張り出してきて新要素を盛り込んだら超機体が出来た!って
    ガンダム世界ならなかなか燃える展開なんだろうけど
    機体形状は既にPCでRCS計算出来るから現物あっても意味ないし
    ウェポンベイつけるために大幅に構造変更するなら真っ更から設計したほうが早いんじゃ…ってレベル
    F-3開発で一番の問題はセンサーフュージョンだろうから今更YF-23の出る幕は無いんだよなぁ…
    てかこの話題もう終わってるもんかと思ってたけどまだ共同開発の目は残ってるのかしら?

    • 匿名
    • 2019年 9月 10日

    少なくとも試作機を量産機に仕立てるにはF-16からF-2魔改造以上の工数が発生しますから、F-2プロジェクトの2倍以上の予算が必要でしょう。
    アメリカの物価も2倍くらいになってますし、ソフトウェア開発がバカにならないくらいかかりそうです。

    F-16、F-22、F-35とLM社に戦闘機が偏ってる状況でB-21の需要はあっても数十年の一時的なものですから、競合としてノースロップ製戦闘機を残す手段としてアメリカ政府の肩入れもあったのかもしれません。
    ボーイングはF-15E、F/A-18E/F、米空軍T-Xがあるので、第3の選択肢が欲しいアメリカの思惑はあると思います。

      • 匿名
      • 2019年 9月 10日

      xバンド付近の周波数と長波、解像度と直進性の違いうんぬんは聞いたことあります。
      そして照射された波長を吸収する塗装、素材、構造なんたらかんたら。
      ステスル機に照射した場合、周波数の高低で何が違うんでしょうか?

      長波は吸収し辛い、出来ない??

      誰か教えて…

    • 匿名
    • 2019年 9月 10日

    尾翼をリトラクタブルにして巡航時は水平で離着陸時や格闘戦になったらV字型にすればステルス性と運動性を両立できそうな気が。
    尾翼は主翼以上に応力がかかるかしヒンジ部分のステルスまで考慮すると難しいこととは思うが。
    長波に対するステルス性まで考慮した理論を突き詰めたデザインの機体を見てみたい。
    F-16の翼の後縁は直線だがF-2は少し前進角を持っているので斜め後ろからのステルス性はF-16より優秀、当時から日本もステルスの研究はしていた。

    • 匿名
    • 2019年 9月 10日

    米国・米メーカーの側に来年にでも開発開始の号令が出ようという今の今でも
    本当になんにも動きがないのはベース機案はなくなったというサインなのだけどね
    日本も米側も共同開発の意思がないし、これから気が変わったとしてももう時間がない

    だからベース機案は絶無なんだけど、外人はやっぱり1/1モックアップみたいな
    ビジュアルをドーンと目の前に突きつけられないと
    ベース機案の可能性がとっくに潰えた(完了形)ことが理解できんのだろうか

      • 匿名
      • 2019年 9月 10日

      まあ外国人どころか日本のニワカヲタレベルですらF-3開発が知られていない状態ですし、完全にF-3開発計画自体のステルス性が高すぎるだけだと思いますがね

    • 匿名
    • 2019年 9月 10日

    でもYF-23はカッコ悪い
    戦闘機の中で1番カッコイイのはF-22

    • 名無し
    • 2019年 9月 10日

    >>確かにYF-23の機体形状は、F-22Aに比べて機体の厚みが薄く

    当たり前じゃん。だってYF23(試作機)にウェポンベイ付いてないもの。そりゃ薄いさ。

    • 匿名
    • 2019年 9月 10日

    そこはA-12をベースにするべきでしょう
    艦載機として設計されておりF2の後継機にピッタリ
    B21が空対空戦闘もこなせると評判だし、A12でもマルチロールはできるはず

    • 匿名
    • 2019年 9月 10日

    アメリカではf-23は神格化されるくらいの人気があるってどこかで見た気がする
    ロマンはあるけど開発費的にないです

    • 匿名
    • 2019年 9月 10日

    もはやyf23のガワなぞ何の意味も無いのはわかってる。皆の言うとおり。

    でもカッコいいんだもの。幻の機体という補正がかかってるかもしれないけど。

    yf22はまだシャープさが合って良かった、しかし生産型のあれはなんだ。あのドン臭さは!色でカッコ良く見える時もたまにあるんだけどさぁ。

    そしてf35!f22の上を行くとは。

    x32だっけ?誰もあんなのに乗りたくないから、流石にアレよりは…で泣く泣くx35が勝ったレベル。

    • 匿名
    • 2019年 9月 10日

    仮に本当にYF23ベースのF3がでるならmuvluvの戦術機の不知火P3で見た展開。極光とでも名付けるかね
    実現性も無さそうだが見てみたい気持ちはある

      • 名無し
      • 2019年 9月 11日

      muvluvと混同されましてもね・・・
      戦術機と戦闘機は違うからね?分かってらっしゃいますか?

        • 匿名
        • 2019年 9月 11日

        ストーリー知らないなら黙ってて

    • うさ
    • 2019年 9月 11日

    米国機ベースは限りなく無いでしょう
    何故ならF-2で無理矢理共同開発にさせながら
    ライセンス料としてぼったくりました。
    F-2の機体価格の半分近くがアメリカの儲け
    となり予定していた機数が揃えられなかった
    のです。
    このためF-3開発では日本が主導権が握れる形
    以外での共同開発は行なわれることは無いと
    考えます。

    • 匿名
    • 2019年 9月 11日

    巨額な資金不足にあえぐアメリカの航空機産業が日本の次期支援戦闘機(FSXー3)計画に『また』首突っ込んできた。話です。
    F22は海外に出さないという取り決めで、どうしてもステルス機欲しければ「F35を買え」だったのにね。

    日本の技術と資金にアメリカだけでなくヨーロッパも首突っ込んで来るんでしょうね。

    • 匿名
    • 2019年 9月 11日

    ノースロップの機体は開発当初から採用されない機体が多いよね。
    YB-35/49
    YB-17
    そう考えると、YF-23 もアリなのかも?

    自衛隊も E-2 以外はロッキード、ボーイングが多いので、ここはノースロップ・グラマンと三菱共同開発で F-3 という機体を見てみたい。

      • 匿名
      • 2019年 9月 12日

      YF-17とF-20の2機体がF-16に負けたり、YF-17はF/A-18として採用されたけどノースロップに艦載機のノウハウがないのでマクダネル・ダグラスに主契約奪われたりと戦闘機はフルボッコにされてきましたからね。
      片割れのグラマンも戦闘機はF-14以降受注がないですし、アメリカ軍としては選択肢を増やすために戦闘機メーカーを3社維持しておきたい思惑はあっても自国予算からは取れない状況ですね。

    • 匿名
    • 2019年 9月 11日

    難しいことはわからないけどYF23の見た目が最高に好き

    • 匿名
    • 2019年 9月 11日

    勿論、あくまでネタですよw

    • 匿名
    • 2019年 9月 11日

    この記事は1年前の過去記事の再掲だと聞きましたがどうなのでしょう

    • 匿名
    • 2019年 9月 11日

    流石ミリオタ
    筆者も可能性があるかどうか謎、と書いているレベルの話にマジレス
    ご苦労様です

    • 匿名
    • 2019年 9月 12日

    抗堪性を考えるなら自主開発一択では。 部品が無いから空に上げれないとか悪夢のシチュエーションじゃないですか。

    • 匿名
    • 2019年 9月 12日

    現実的にはF-2みたいにF-22かF-35の改造機でしょう。問題点は日本側にどれだけ技術を公開するのか、どの程度日本で生産出来るのかではないか。エンジンだけアメリカ製もあり得る。

    • 匿名
    • 2019年 9月 12日

    しかし、日本の防衛産業の、F-3の統合ソフトウェアを自分で開発できる自信ってどこから来ているんでしょうね。
    まあ、核兵器や対地装備なんかをオミットして、制空戦闘機だけならなんとかならあなって甘く見ていそう。

    • 名無しさん
    • 2019年 9月 13日

    性能が伴うならYF-23のような見た目の戦闘機が開発されて日の丸を付けて飛んでほしい

    • 匿名
    • 2019年 10月 26日

    くだらない

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