米海兵隊が史上初、F-35B“ライトニング II”による「エレファント・ウォーク」を実施したと公表した。
How many F-35s are there?
Marine Fighter Attack Training Squadron 501 conducts a readiness exercise with F-35B Lightning II aircraft at Marine Corps Air Station Beaufort. pic.twitter.com/MWWJkhCy67
— U.S. Marines (@USMC) May 5, 2019
20機のF-35Bが、初めてエレファント・ウォークを披露
サウスカロライナ州にあるビューフォート基地で、米国海兵隊、第501海兵戦闘攻撃訓練飛行隊の20機のF-35Bが、滑走路をタキシングしながら行進した後、次々と空に飛び立って行った。
採用国と生産数が多い空軍型のF-35Aではなく、米海兵隊、英国空海軍、イタリア海軍、航空自衛隊(予定)しか採用していないF-35Bが、同じ場所に20機も、しかも20機すべてが滑走路をタキシングする光景は、非常に貴重なシーンで、米空軍が35機のF-35Aで「エレファント・ウォーク」を披露したことはあるが、F-35Bが「エレファント・ウォーク」を披露したのは今回が初めてだろう。
そもそも「エレファント・ウォーク」とは、滑走路を航空機がタキシングしながら行進する行為で、通称「象の行進」とも呼ばれ、有事の際の即応体制や、保有する航空機の能力を誇示する、一種のデモンストレーションだ。
多数の戦闘機や攻撃機が、滑走路をタキシングする光景は迫力満点で、先月には、米空軍が世界初のステルス戦闘機「F-22ラプター」を24機を動員し、圧巻の「エレファント・ウォーク」を披露して、大きな話題となった。
近い将来、航空自衛隊に配備された40機のF-35Bによる「エレファント・ウォーク」を、もしかすると日本で眺められるかもしれない。
ティルトローター機が1万kmを飛行し太平洋横断に成功
海兵隊繋がりの情報をもう一本。
2019年5月2日、日本の嘉手納基地(沖縄)を飛び立った、米海兵隊所属のMV-22B“オスプレイ”4機が、ハワイ・オアフ島までの太平洋横断飛行に成功した。
ティルトローター機のMV-22による、1万km以上の飛行(もちろん空中給油機による支援があった)は初めてのことで、米海兵隊は、MV-22のインド・太平洋における即応性と展開能力を実証して見せたと評価している。
双発のティルトローター機が、太平洋上を飛んで、ハワイまで飛行したことは快挙と言っていいだろう。

出典:public domain
しかし、MV-22が長距離飛行を行う場合、補助燃料タンクを搭載し航続距離を伸ばすことができるが、それでも無給油で飛べるのは3500km程度だ。恐らくハワイ到着までに、4回以上の空中給油が必要で、もし補助燃料タンクを搭載せず、MV-22に海兵隊員や、機材を輸送しながらハワイまで飛んでいた場合、6回以上は空中給油が必要になる。
しかも、ヘリコプターより速いティルトローター機とはいえ、MV-22の巡航速度は400km/h程度に過ぎず、ハワイまでの1万kmの飛行には、20時間以上の時間がかかっている。

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恐らく、輸送機のC-5“ギャラクシー”に、MV-22のローターを外して搭載し輸送した方が、半分の時間で目的地に到着出来るだろう。
もちろん、C-5へのMV-22積込み、積み下ろしの手間を考えてもだ。
今回の太平洋横断飛行で、MV-22は、1万kmもの洋上飛行が可能だと実証はできたが、日常的に使用できる運用方法ではない。
ただの技術的なデモンストレーションと見るべきだろう。
※アイキャッチ画像の出典:米海兵隊
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