軍事的雑学

軍事的雑学|ドイツが「214型潜水艦」を使って韓国潰し?潜水艦輸出を巡る仁義なき戦い!

インドネシアの潜水艦事業に、トルコが参戦したという報道が出ている。しかもトルコの背中を押しているのはドイツで、インドネシアへの潜水艦輸出を韓国から奪還するつもりのようだ。

参考:Turkey positions Type 209, 214 submarines for Indonesia’s third Nagapasa batch

インドネシアへ4000億円分の防衛機器を輸出する韓国

209型潜水艦、高等訓練機T-50、KFX/TFX共同開発など、韓国の防衛産業にとってドル箱化したインドネシア。

Attribution: KAI / CC BY 2.0 韓国が開発したTA-50

特に、韓国がドイツからライセンス生産権を獲得してインドネシアに輸出している「209型潜水艦」は、同じ209型潜水艦を提案した本家ドイツや、フランス、ロシアを破って、インドネシアに採用されている。

209型潜水艦を開発したドイツを抑えて、韓国の潜水艦が採用されている理由は、他国の提案よりも広い範囲の『潜水艦建造の技術移転』を実施した点と、潜水艦取得のための費用調達に関して、韓国政府による支援が行われている点が影響しているとみられる。

209型潜水艦の1次契約時には、9億ドルの融資が韓国政府から行われた。先日、韓国とインドネシアの間で契約が行われた2次契約(3隻分)では、建造費の85%を融資で賄うことになっている。

現在までに、韓国はインドネシアに対し27億ドル分(約3000億円)の防衛機器を輸出し、今回の2次契約締結で、韓国は11億ドル(約1200億円)の売上を確保したことになる。

同じ209型潜水艦を提案した本家ドイツにとっては非常に面白くない話だ。

 

ドイツの逆襲、因縁の相手トルコを使った韓国潰し

そのドイツ、正確には209型潜水艦を開発したThyssenKrupp Marine Systems(TKMS)社が、遂にインドネシアの潜水艦事業奪還に向けて動き出した。

インドネシアは5隻の潜水艦を保有しているが、先日の韓国との契約で、さらに3隻の潜水艦を取得し、計8隻の潜水艦を保有することになる。しかしインドネシアの計画では最終的に12隻の潜水艦を整備する予定で、残り4隻の潜水艦を必要としている。

この4隻の潜水艦建造契約を狙って、トルコのSavunma TeknolojileriMühendislikve Ticaret(STM)社が、「209型潜水艦」と「214型潜水艦」をインドネシア側に提案したという。しかも、この売り込みをTKMS社がサポートしているらしい。

Attribution: Pedro Vilela from Portugal / CC BY 2.0 214型潜水艦 ポルトガル海軍「トリデンテ」

トルコは、韓国と同じくドイツから「209型潜水艦」と「214型潜水艦」を国内でライセンス生産し、自国の海軍で運用している。

今回、インドネシアに提案した「214型潜水艦」は、現在までドイツが輸出用のライセンス権を認めた例(韓国に対しても認めていない)はなく、韓国が現在輸出している「209型潜水艦」よりも大型の潜水艦で、燃料電池タイプのAIP機関を搭載している。

トルコに「214型潜水艦」の輸出を認めて、インドネシアに提案させたと言うことは、韓国の「209型潜水艦」潰しと言っていいだろう。

恐らく、インドネシアが次に調達する4隻の潜水艦は、トルコが提案する「209型潜水艦」と「214型潜水艦」、韓国が提案する「209型潜水艦」の戦いになる。もしインドネシア側が「209型潜水艦」よりも、より大きな、より性能の高い潜水艦を切望すれば、「214型潜水艦」の輸出用ライセンス権のない韓国にとっては不利だ。

補足:214型潜水艦は、非常に問題の多い潜水艦でもあるため、一概に性能が良いとは言い切れない。

潜水艦「島山安昌浩」進水式 出典:韓国大統領府 青瓦台

韓国では現在、3000トンクラスの島山安昌浩型潜水艦を建造中だ。自称「国産」潜水艦という触れ込みだが、設計から、搭載される機器やシステムまで欧州製品を多数採用しているので、これを直ぐに輸出に回せるのかは疑問が残る。

余談だが、韓国(K-2黒豹戦車)とトルコ(アルタイ戦車)は、中東諸国への主力戦車輸出でも競合している因縁の相手だ。しかもトルコの防衛産業によるインドネシアへのアプローチは、これが初めてではない。トルコとインドネシアは、中型戦車を共同開発している関係でもある。

インドネシアとトルコが共同開発中の中型戦車「MMWT」は、重量35トン、モジュラー装甲、主砲にコッカリル社製105mmライフル砲を採用している。バングラデシュ、ブルネイ、フィリピンが関心を寄せている。

ドイツとしては、潜水艦輸出の提案が一度失敗しているインドネシアへのアプローチに、今回、トルコを利用しているのは、このような経緯も関係しているのかもしれない。

果たして、インドネシアの潜水艦建造契約を巡る戦いの勝者は、どちらの国になるだろうか?

 

※アイキャッチ画像の出典:pixabay

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コメント

    • 匿名
    • 2019年 4月 20日

    何故、ドイツが直接売らないのか?
    潜水艦の修理ドックさえ満杯で212型の5隻の修理、定期点検で手一杯みたいですね。(1隻は放置中)
    でもって、イスラエル向け、ドルフィン級(1型)の後継艦、3隻の建造がほぼ決まってますね(就役は2027年あたりから)、なので新造も無理かな?(使えるドッグ的に) 費用の50%はドイツが負担。

      • 匿名
      • 2019年 4月 21日

      人権問題でドイツはトルコに直接輸出はできないとか、戦車もK2を通して売るはずだった。
      節操ないな、さすがドイツ。

      • お宮さん
      • 2019年 5月 03日

      問題だらけの214型を低価格で作る意味がわかない。
      製造能力が余っているわけでもないのに韓国と価格競争をして低価格のものを作るのは無意味です。
      低価格で低品質な潜水艦は韓国に任せておけばいいのですよ。

        • 匿名
        • 2019年 8月 04日

        209型はすでに旧式。214型はもともと問題あり。ドイツが装備している212型は6隻すべてドック入りがドックの空き待ち。ドイツの技術神話が過去のものになりつつあるのかな。オーストラリアがドイツの潜水艦提案を採用しなかったのはそれが理由ではないかな。

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