軍事的雑学

世界最大の米海軍超えを達成した中国海軍!空母を筆頭に艦艇300隻を有する大海軍へ変貌

中国海軍の艦艇の数は、遂に米海軍が保有する艦艇の数を上回ることになった。数だけに限れば『世界最大』の海軍と言ってもいい。

参考:Китайский флот стал крупнейшим в мире

正面から堂々と米国超えに挑む中国に、果たして勝算はあるのだろうか?

米国、ワシントンD.C.に拠点に置く戦略国際問題研究所(CSIS)は、中国人民解放軍海軍(以下、中国海軍)が、既に戦闘艦の総数において、米海軍の287隻を上回る、300隻もの艦艇を保有し、世界最大の海軍へ変貌を遂げていると結論づけた。

補足:米国のトランプ大統領が掲げる「強いアメリカの再現」を実現するために、米海軍の主要戦闘艦の総数を350隻以上に増やす方針を打ち出し、SHIPS法(「海軍力を強化して国土を保全する法律)が成立した。そのため、米国政府ならびに米国議会は、海軍の艦数を350隻以上にする事にたいして責任と義務が生じた。ただし、現実的には米国の建造能力は、中国に比べて劣っているため、350隻以上にするためには、最低でも20年以上の期間が必要だ。もちろん艦艇が増えれば、それに応じた人員も必要になり、350隻を維持するコストは莫大なものになるだろう。

現在、中国海軍は、ドイツ、インド、スペイン、イギリスが保有する艦艇の合計よりも、多くの艦艇を保有している。

しかし、この300隻の「質」に関して言えば、問題も多い。

まず、中国海軍の艦艇の大半は、外洋で戦闘を行うようには作られていない。

Attribution: 樱井千一 / CC BY-SA 3.0 056型コルベット

ここ数年で50隻以上も建造した「056型コルベット(1,300トン)」は、中国の沿岸地域で、主に対潜任務を行うことを目的に建造された艦艇だ。やや大きめな「054型ミサイル・フリゲート(3,450トン)」は、外洋での航洋性は向上したが、複数の艦艇で構成される艦隊の防空面で貢献できるほどの性能はない。

中国海軍が保有する艦艇の約1/3を、この様な艦艇が占めているのが現実だ。

ただし、中国のこの問題を改善するため、積極的な投資に動いている。

現在、中国海軍の宿願であった艦隊防空の多層化を実現した、「055型ミサイル駆逐艦」の建造を進めているが、この艦が進水し、中国艦隊に行き渡るまで、もうしばらく時間がかかるだろう。

米海軍がもつ11隻の原子力空母に対抗するため、中国はロシアから購入し改装後、運用中の空母「遼寧」の他に、国産空母として建造し、現在、試験航海を行っている空母「001A型」、建造が進む中国初のカタパルトを装備した空母「002型」、これに続く3隻目と4隻目の空母建造も噂もあり、一説では原子力推進式の空母ではないかと言われている。

引用:South China Morning Post

さらに、陸上部隊の海外展開を支えている、米海軍の強襲揚陸艦に対抗するため、中国は現在、4万トンクラスの「075型強襲揚陸艦」を建造中で、2019年に進水し、2020年には就役すると言われている。この艦は、エア・クッション型揚陸艇を3隻搭載し、1900人の上陸部隊の収容でき、30機程度の回転翼機を搭載できる。

さらに、米海軍のサン・アントニオ級ドック型輸送揚陸艦を、そのままコピーしたような2万5000トンクラスの「071型揚陸艦」を、既に6隻就役させ、7番艦と8番艦の建造も進んでいる。

中国は揚陸艦戦力の拡充に合わせて、中国版の海兵隊である「中国人民解放軍海軍陸戦隊」の兵力を、現在の2万人から10万人に増やすことを計画しているという。

出典:public domain F-35B

問題は、米国が強襲揚陸艦に搭載を進めている、STOVL(短距離離陸・垂直着陸)タイプのF-35Bに匹敵する航空機が、中国には存在しない点だ。しかし中国は、F-35BのようなSTOVL機開発は、現在の中国の技術力なら不可能ではないと言っているので、恐らく、極秘裏にSTOVL機の開発に着手している可能性が高い。

現在、中国は米海軍よりも多くの艦艇を保有しているが、質の面では大きく見劣りする。

ただ、中国が現在進めている空母や、原子力潜水艦などの建造が計画通り進み、毎年の様に増額される軍事費が今後も継続されるならば、そう遠くない将来、中国海軍は、数だけではなく、内容や実力においても米海軍に肩を並べ、遂には抜き去る日が訪れるかもしれない。

出典:public domain

しかし、中国軍躍進を支える莫大な軍事費は、この数十年間に達成した経済成長によって支えられており、トランプ大統領と習近平主席の間で勃発した貿易戦争が、中国経済の腰を折るような事になれば、この様な急激な軍拡は不可能になり、一度広げた過剰な軍事力の維持のため、国が傾く可能性は十分にある。

旧ソ連が犯した過ちを顧みず、米国の軍事力に対して「非対称」ではなく、正面から堂々と米国超えに挑む中国に、果たして勝算はあるのだろうか?

 

※アイキャッチ画像の出典:public domain

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コメント

    • 匿名
    • 2019年 5月 24日

    アメリカは本気で中国を「潰す」つもりで全面戦争体制に移行したので(ファーウェイに対する容赦の無さよ)、最早ソ連の二の舞は確定済みといって良いでしょう
    中国の強みであった人口も、一人っ子政策による強烈な少子化と「小皇帝」の量産で先進国レベルの人件費と命の価値となり、以前の様な人海戦術は望むべくも無いですし(一人戦死したら両親と4人の祖父母が港に並ぶでしょう)
    自慢の艦隊も、防空ミサイルの技術レベルが80年代のシースキマー未対応世代とのことで(ソ連海軍のコピー故)、いざ実戦となればフォークランドの英軍以上の壊滅的損害を負う可能性が大でしょう

    • 匿名
    • 2019年 5月 26日

    対潜フリゲート100隻近く、海兵部隊10万人とは、完全に日本狙いですなあ。
    日本の海軍主力は空母というより寧ろそうりゅうがた等の潜水艦である訳なので、対潜フリゲートを数揃えられると少々厄介ですし(まあでもエンジン止められた状態で魚雷撃たれて、中国フリゲートが探知できるかどうかは不明ですが、、、)
    日本は縦長で細い為、一度強襲揚陸に成功されると一瞬で南北分断されるので、ゲリラ部隊のような今の陸自じゃ対処できないでしょうし、、、
    やはり頼みの綱がアメリカとなってしまうのは辛い。
    中国のような超大国が側にいる以上、海中・海上戦力でなら数でもイギリスと同等或いはそれ以上の戦力は保持しておきたいですなあ。

    • シャア専用アムロ
    • 2019年 8月 25日

    残念だが、我が日本国は一時的な仮想敵国に対する反撃能力は優れているが継戦能力は極めて脆弱と言わざるを得ない。
    利敵行為を非難されようとも我が国の産業構造と国内で捻出出来る資源を鑑みれば一目瞭然だ。

    何れの偏った論者が憲法を廃棄し、米国追従型の防衛構造から脱却すれば事態は好転するとの妄言に囚われているが、何れも非科学的な根拠に基づいている。

    皆テレビゲームのやり過ぎで、”戦”の本質が兵站である事から目を背けている。戦力増強は無駄ではない。しかし、我が国の国力を鑑みると決定打でもない。やはり、外交、経済を含めた総合的な安全保障の枠組みが必要だ。もはや惰弱な中国のイメージは払拭した方が良い。今の日本に驚異的なのは少子高齢化だ。この癌を克服しなければ日本の再生は有り得ない。国防も勿論大事だ。それを有効的かつ効率的に実現する為には優先順位を考えよう。

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