軍事的雑学

実戦配備が進むロシアの極超音速兵器、マッハ10で飛翔する極超音速ミサイル「KH-47M2」公開

ロシア国防省は、マッハ10で飛翔し、地上の固定目標や、水上を移動する空母や巡洋艦、駆逐艦を攻撃することが可能な極超音速ミサイル「KH-47M2 Kinzhal(キンジャル)」を搭載したMiG-31Kを一般向けに公開した。

参考:МиГ-31К «Кинжал» и Су-57 обеспечили прикрытие действий ударной авиации на полигоне Дубровичи на конкурсе «Авиадартс-2019»

マッハ10で飛翔する極超音速ミサイル「KH-47M2 Kinzhal(キンジャル)」を一般向けに公開する

ロシアが開発した極超音速ミサイル「KH-47M2 Kinzhal(キンジャル)」は、2018年3月にプーチン大統領が行った演説の中で、初めて存在が明らかにされ攻撃用のミサイルだ。

このミサイルの射程は少なくとも1,000km以上と言われており、MiG-31Kで運用した場合は2,000km以上、Tu-22M3で運用した場合は3,000km以上の攻撃範囲を持ち、さらにマッハ10.0、時速12,240kmで飛翔することが可能で母機から発射後、数秒から十数秒で目標に到達する。

しかも、このミサイルは現在、北朝鮮が盛んに試射を行っている新型短距離弾道の原型、ロシアが開発した短距離弾道ミサイル9K720「イスカンデル」をベースに開発されたと言われており、目標到達までの飛翔コースを変更することができるため、既存の迎撃システムで対応するのは事実上、困難だと言われ、地上の固定目標や、水上を航行する空母や巡洋艦、駆逐艦などを攻撃することが出来る。

しかも、このミサイルの命中精度は非常に高く、約1,000km離れた場所から地上の乗用車サイズの目標を直撃することが出来るらしい。

2017年12月、特別に改造された10機のMiG-31Kによって極超音速ミサイル「KH-47M2 キンジャル」の運用が始まり、2019年2月には、黒海やカスピ海上空に、このミサイルを搭載したMiG-31Kが累計380回出撃したことをロシアが明らかにしている。

今回、一般向けに極超音速ミサイル「KH-47M2 キンジャル」を搭載したMiG-31Kを公開したのは、ロシア、中国、ベラルーシ、カザフスタンの国から、43機の航空機やヘルコプターが参加した「Aviadarts競技会」で、これは事実上、ロシア陣営に対するお披露目であり、「KH-47M2 キンジャル」の運用方法が完全に確立し、実用の域に達したことをアピールする狙いがあるのかもしれない。

ロシアは弾道ミサイルに搭載可能な、マッハ20に達する極超音速滑空体「アバンガルド」実戦配備に続き、航空機に搭載できる極超音速ミサイル「KH-47M2 Kinzhal」一般公開など、極超音速兵器の実戦配備が既に始まっており、もはや架空の兵器だと無視することは出来ない。

ロシアに続き、中国でも同種の兵器開発が進行中だが、米国の極超音速兵器開発は、ロシアや中国よりも遅れている(本格的な開発に着手するのが遅れた)と言われており、当分の間、極超音速兵器に対抗する術(同種の兵器運用・迎撃手段)がない状況が続くだろう。

もしロシアが「KH-47M2 キンジャル」を搭載したMiG-31Kをウラジオストクに配備するようなことになれば、日本も極超音速ミサイルの影響下に置かれることになるだろう。

 

※アイキャッチ画像の出典: kremlin.ru / CC BY 4.0

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コメント

    • oominoomi
    • 2019年 8月 11日

    マッハ10なら秒速3.4km程度、目標まで10数秒で到達するためには50km位まで接近する必要があります。
    射程3000kmをフルに使うには15分程度の巡航が必要ですが、大気の濃厚な低空でこれだけの時間、断熱圧縮による空力加熱に耐え得る素材が開発出来たのでしょうか?
    また空気のプラズマ化により通信が困難なはずなのに、1000km彼方から乗用車を直撃するような精密誘導を、どうやって実現したのでしょうか?
    本当ならすごい技術ですが、ちょっとにわかには信じがたい性能です。

      • 匿名
      • 2019年 8月 17日

      弾道対艦ミサイルが出たときから「終端誘導どうすんの?」という疑問が出ていましたが、答えは未だに明らかになっていないんですよね。
      ロシアはシクヴァルみたいな当たらない兵器を制式化したりするからおそロシア!!

    • 匿名
    • 2019年 8月 11日

    重い弾体を戦闘機によって高高度・高速で発射するのが前提の運用のようなので、バンバン撃ち込む物では無いようですが、これを仮にステルス戦闘機や超音速ステルス爆撃機で運用するようになれば初撃はほとんど対応不可能でしょう。つまりロシアからすれば逆王手で、将来的にはB-21との組合せが最適解となりそうです。

    迎撃はレーザー兵器や高出力の電磁波を想定しているようですが、それらが実用段階になれば艦艇防衛は不可能ではないでしょう。

    • 匿名
    • 2019年 8月 12日

    誰か教えてください。
    記事にある兵器やら原子力ミサイルやらをロシアが完成したとして、大量生産・大量配備したとして、ロシアはそれをどのように利用する戦略を立てているのでしょうか。
    ロシアは世界中の嫌われものになって、友好を結んでくれるのは貧乏で腹に一物の「ならず者」ばかり。
    如何にロシアと言えど、ならず者に強すぎる兵器は売ることもできない。
    ロシアのような面倒な国を侵略したがる国など(中国以外には)見当たらないのに。
    売ることも、使う相手もいない兵器を、なぜ開発するのか。
    それともロシアは単なる軍事開発オタクなのでしょうか。

      • 匿名
      • 2019年 8月 15日

      核弾頭を搭載した極超音速滑空ミサイルはアメリカの弾道ミサイル防衛(BMD)で無力化しつつある既存のICBMやSLBMのリプレースが目的です。
      原子力推進ミサイルは射程延長により南極周りコースを取ることでBMDが手薄なルートを取れるようになります。

      BMDを弱体化させ、相互確証破壊を再確立し米国に対する核抑止を強力なものにするのがロシアの第一目的でしょう。
      相互確証破壊でアメリカを牽制できますから、ロシアがフリーハンドで通常兵器と内部工作、資源供給で優位に立てるようになるのが第二目的です。

        • 匿名
        • 2019年 8月 16日

        MIRVとSLBM対応って現実性があるのかなあ。
        とても「無力化」できるとは思えないんだけど。

      • 匿名
      • 2019年 8月 15日

      政治学や軍事では「相手国に届く戦略核兵器を使用すると相手国から同じ戦略核兵器で報復され互いの国が壊滅」する「相互確証破壊」という概念があり、この概念に従うと核兵器は「使えない兵器」というのが一般的です。
      中国では「通常兵器は矛、核兵器は盾」と呼び、これも相互確証破壊による核抑止を意味します。

      ならず者独裁国家に戦略核兵器が渡ると相互確証破壊が国家体制維持に使われるだけでなく、独裁者が体制不安から脅迫観念に駆られて実際に使用するリスクが発生します。
      通常は核恫喝して経済制裁を緩和させ、物資や資源供給などで融通をはかってもらいますが、それでも体制不安から政権転覆が見えてくれば使えるモノは何でも使用するでしょう。
      この場合、核兵器は「使用可能な兵器」に変貌します。

    • 匿名
    • 2019年 8月 13日

    >>oominoomi
    ただの弾道ミサイルなのでは?

    • シャア専用アムロ
    • 2019年 8月 18日

    レーダーが発展すると目視による偵察、哨戒飛行は影を潜め、対抗策としてレーダー圏外からの長射程ミサイル攻撃が持ち上がり、昨今ではステルス技術が発展するとレーダー網を掻い潜り長距離レンジからの攻撃がブームになりつつある。更に極超音速というオプションに対抗する為にレーザー兵器が持て囃されるだろう。
    更に科学技術が進歩してレーザー光に対するレーザー遮光防御兵器が開発されると、徹甲弾による目標撃破に一周して戻ってきたり。

    戦争は人類の営みの一つなので無くす事も出来ず、緊張は続くだろうし、科学技術の発展に伴う戦術論や兵器開発は続いて行くだろう。現実問題として日本も専守防衛の元、遅れを取る訳にはいかない。

    だが敢えて言う。茶番劇だ。イタチごっこじゃんよ。
    戦争とは通常の手段とは異なる政治の延長だと云う。だとすると主権者たる我々の政治力低下がこの茶番劇を繰り返している元凶にも思われる。この状況を打破する政治力を未だに発明出来ずに居る。なので人々は暫くこの茶番劇に付き合う必要が続くだろう…

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