軍事的雑学

イラン海軍、米ステルス無人機「RQ-170」をリバースエンジニアリングして開発した無人機を公開

イラン海軍は7日、米軍のステルス無人偵察機「RQ-170」をリバースエンジニアリングして開発した無人機「Simorq」を公開した。

参考:Cutting-edge combat drone, destroyer delivered to Iran’s Navy

ステルス無人偵察機「RQ-170」をリバースエンジニアリングして開発?

イラン海軍が公開した無人機「Simorq」は、2011年12月に鹵獲した米軍のステルス無人偵察機「RQ-170」をリバースエンジニアリングして開発したという無人機「Shahed 129」の派生型で、情報収集だけでなく標的に対する攻撃能力まで備えた多目的な無人機だ。

出典:FOX 52 / CC BY-SA 4.0 ロッキード・マーティン社のステルス無人偵察機「RQ-170」

作戦半径は約1,500kmあり、高度約7,400mの上空を24時間飛行することが可能で、機外に搭載できる兵器の合計は400kgと言われており、小型の誘導滑空弾「Sadid-345」を最大で8発搭載することが出来る。

補足:精密誘導弾「Sadid-345」は全長163cm、本体直径152mm、重量34kg、本体に取り付けられた4つの固定フィンで滑空軌道を制御する小型誘導滑空弾で、無人機専用の攻撃兵器だが、本体が余りにも小さすぎるため効果は限定的だ。

さらに、制御基地との管制が途絶えても、自律飛行で基地に帰投することができると主張している。

出典:Fars News Agency / CC BY 4.0 イランが開発した誘導滑空弾「Sadid-345」、右奥が最新バージョンのShahed 129

イラン海軍が無人機「Simorq」を公開したのは、ホルムズ海峡を含む沿岸海域に戦力を増強している米海軍の艦艇を監視し、必要ならば攻撃を行うことも出来るという対外的なアピールに過ぎないが、上記でも書いたとおり、搭載兵器の威力は限定的で水上艦を撃沈させるようなことは恐らく不可能だろう。

しかし、イージス艦のAN/SPY-1や空母の艦載機に突っ込めば、米海軍に数億ドル規模の被害を与えることも可能だ。

イランの無人機は無視したいが無視できない厄介な存在

ただ、イランの無人機は性能が誇張されているという説が有力で、本当に使いモノになるのか怪しい点が多い。

無人機「Simorq」のベースとなった無人機「Shahed 129」は、米軍のステルス無人偵察機「RQ-170」をリバースエンジニアリングして開発したと言う割には、機体のデザインや構成が似ておらず、どちらかと言えば「RQ-1プレデター」の方に似ていると言えなくもなく、別の情報源によれば、イスラエルが開発した無人機「ヘルメス 450」がイラン領内に墜落し、これを回収してコピーしたのではないかとも言われている。

出典:public domain 米国税関国境警備局が導入したエルメス450

さらに誘導滑空弾「Sadid-345」を最大8発搭載できると主張しているが、実際に4発以上搭載して飛行した例はない。

しかもイランの無人機は通信衛星による制御ではなく、地上からの制御で飛行しているため飛行範囲が200kmまでに制限を受けているという説や、100km前後という説もあり、どちらにしても作戦半径約1,500kmという数字と、実際に運用可能な距離に開きがあるのだろう。

仮に性能通りに飛行出来たとしても、米軍の電子妨害下でまともに無人機を制御できるのか怪しい部分だ。

出典:public domain 小型ボートによる自爆攻撃を受けたアーレイ・バーク級駆逐艦「コール」

以上のように、イランの無人機が本当に役に立つ存在なのか未知だが、油断している水上艦にとっては「小型ボート」でさえ脅威になると「米艦コール襲撃事件」で証明されているので、完全に無視することも出来ない。

米海軍にとってはイラン海軍の無人機「Simorq」は、本当に厄介で面倒くさい存在に映っているだろう。

因みに、今回公開された無人機「Simorq」は、無人機「Shahed 129」の初期型にそっくりな外見をしており、なぜ最新型のShahed 129バージョン2をベースに改造しなかったのか?という初歩的な疑問があるが、きっと触れてはいけないのだろう。

 

※アイキャッチ画像の出典:Fars News Agency / CC BY 4.0 無人機「Shahed 129」の初期型

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コメント

    • 匿名
    • 2019年 12月 15日

    ザクを鹵獲してザニーを作った連邦軍みたいなもんか

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