軍事的雑学

軍事的雑学|伝説のステルス攻撃機「F-117」が米国で訓練飛行を再開!事実上の現役復帰か?

2008年に全機退役したはずの、ステルス攻撃機F-177“ナイトホーク”が、米国で訓練飛行を密かに再開したという報道がでている。

参考:F-117 Nighthawk — still out there, still flying

もはやF-117の現役復帰を隠すつもりがない米空軍

以前、「軍事的雑学|伝説のステルス攻撃機!退役したはずの「F-117」が密かに実戦復帰してた?」で書いたように、2008年に退役したはずのF-117が、2017年中東地域に再配備され、イラクとシリア上空で任務についていたという報道があったが、これはF-35の実戦配備が遅れていたための一時的な措置ではないかと考えられていた。

しかし、米空軍はF-177“ナイトホーク”を本気で現役復帰させるようだ。

出典: public domain 制空迷彩が施された「グレイドラゴン」

米国の航空雑誌「コンバット・エアクラフト」は、今年の2月、米国カルフォルニア州のR-2508射撃場空域を飛ぶF-117の写真を掲載し、2日間に4機のF-117が飛行し、F-16と共同訓練を行ったと伝えた。

R-2508射撃場空域は、軍用航空機を撮影するためプロのカメラマンが、非常に多く訪れ撮影を行うポイントだ。

ここで退役したはずのF-117の飛行訓練を再開したということは、もはや米空軍はF-117の現役復帰を隠すつもりがなく、非公式にこの事実を知らせようとしているのではないかと推測できる。

今回、飛行訓練を行った4機のF-117は、ネバダ州にあるトノパー空軍基地に所属していると見られている。

トノパー周辺の住民の証言によれば、現在、最大6機のF-117が活動していると言われている。

公式な情報では、全機退役したF-117は、2017年から飛行可能な機体を残しつつ、毎年4機づつステルス技術が流出しないよう廃棄される予定になっていた。

 

米空軍はF-117を大切に保管しおいた

米空軍は通常、退役した軍用機を通称「飛行機の墓場」と呼ばれる、アリゾナの砂漠で保管している。

ここに運ばれた航空機は、非常に稀な再就役か、部品取りか、貴重な金属回収のために解体されるかの運命が待っている。多くの場合は、まだ現役で飛行している航空機のための部品供給、部品取りにされてしまう。

Attribution: Aspersions / CC BY-SA 3.0 モスボールされるUH-1とF-4

意外だが、退役した機体からの部品供給は、予想以上に大きな需要を抱えている。

2012年に、航空機の墓場から1万個以上の航空部品が供給され、その取引額は4億7200万ドル(約527億円)に達した。この需要は、米国が戦争を始めると急上昇し、戦争が終結すると急激に需要が低下する。

その他にも、生産の終わった米国製軍用機の保守部品を探しに、海外の軍関係者が、墓場を訪れることも珍しくないという。

ただし、非常に稀なパターンがある。

Type1000に指定された航空機は、非常に高い確率で再就役することが予想されるため、他の航空機とは保管方法が異なる。

Type1000に指定された航空機は、飛行が可能な状態を維持しながら保管される。

そのため野外の砂漠で保管するのではなく、空調の効いた倉庫で保管される。もちろん、部品取りなどは行われず、全ての部品が揃った完璧な状態が維持されるため、Type1000で保管された航空機は、最短30日、最長でも120日以内に再就役が可能だと言われている。

全機退役したF-117は、このType1000で保管された数少ない航空機で、この方法で保管される航空機は、墓場に持ち込まれる航空機の10%以下だ。

 

なぜ米空軍はF-117を現役復帰させたのか?

今回、米空軍がF-117を現役復帰させたのは、恐らく米空軍が推進している、航空戦力のステルス機比率を高めるための一環ではないかと推測される。

現在、第5世代機と第4世代機の比率を50対50まで高めようとしているが、F-35の開発の遅れや、当初予定していたよりも高騰してしまった価格などに足を引っ張られ、第5世代機の戦力比率が思うように上がっていない。

その上、第4世代機のF-15Cなどが、F-35の配備を待つこと無く、金属疲労が原因で機体寿命が切れることが予想され、今更、第4世代(正確には4.5世代)の、F-15EXを導入しなければ空軍全体の航空戦力が減少するというジレンマに陥っている。

出典: public domain F-35

もっと多くのF-35を導入しなければ、第5世代機の比率が上がらないのに、第4世代機のF-15Cが機体の寿命で減少し始めれば、不本意な形で第5世代機の比率が上昇するという意味だ。

本来なら減少するF-15Cを、F-35で補えれば良いのだが、未だにF-35のソフトウエアは完全ではなく、使用できる兵器が限られているため、もし空軍が保有する全てのF-15を、F-35に更新してしまえば、それはそれで問題があるという意味だ。

果たして、F-117が第5世代機なのかと言う議論はさておき、米空軍としては、思うように増えない第5世代機に、機体寿命切れで減少が確実な第4世代機に悩む中、ステルス性能を持つ攻撃機を、ただ倉庫で眠らせておくのは勿体無いというところか。

 

※アイキャッチ画像の出典:public domain

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