軍事的雑学

ミーティアを搭載する韓国の「KFX」は、AIM-120に依存した日本の戦闘機より優位?

米国の「Military Watch Magazine」は、韓国が開発中の第4.5世代戦闘機「KFX」が欧州の空対空ミサイル「ミーティア」を搭載することで、ロシアや中国とのミサイルギャップを埋め、AIM-120に依存する日本のF-15JやF-2、F-35Aに対し、優位性を確保できるだろうと報じている。

参考:South Korea’s New Stealth Fighters to Deploy European Meteor Missiles

捨てる神あれば拾う神あり?韓国を救った欧州製空対空ミサイル

欧州の防衛企業MBDA社は11月22日、韓国が開発中の第4.5世代戦闘機「KFX」に、同社が開発した長距離空対空ミサイル「ミーティア」を統合するための契約を締結したと発表、この契約にはKFXへの統合作業支援やノウハウの移転・各種試験装置の供給が含まれている。

MBDA社が開発した長距離空対空ミサイル「ミーティア」は、基本的に欧州製レーダーのみにしか統合を許可しておらず、実際、韓国より先にミーティア統合を希望したインドには統合を許可しなかった。

出典:Ajai Shukla / CC BY 2.5 in インドの国産戦闘機「テジャス」

インドは国産戦闘機「テジャス」にミーティア搭載を希望していたが、搭載レーダーに欧州製ではなくイスラエル製(エルタ・システムズ社)のフェーズドアレイレーダー「ELM-2052」を採用したため、MBDA社は「テジャス」とミーティアの統合を許可せず、結局、イスラエル製の空対空ミサイルを採用することになった。

補足:インドは国産戦闘機「テジャス」にミーティアの搭載は出来なかったが、フランスから導入した「ラファール」はミーティアを搭載している。

では、なぜ韓国のKFXはミーティアの統合が許可されたのか?

出典:Alvis Cyrille Jiyong Jang (Alvis Jean) / CC BY-SA 4.0 KFX

KFXに搭載されるレーダーは、韓国のハンファタレス社が開発した国産のフェーズドアレイレーダーなので、インドと同じようにミーティア統合が許可されるはずがないのだが、韓国のフェーズドアレイレーダー開発には、スウェーデンのサーブ社(※)がレーダーのソフトウェア開発に協力しているため、ミーティア統合の許可が降りたのではないかと管理人は思っている。

※補足:サーブ社の戦闘機「グリペン」に搭載されているレーダーや電子機器の開発には、欧州のイタリアのレオナルド社、フランスのタレス社、英国のBAEシステムズ社などが技術協力をしているため、サーブ社が韓国のフェーズドアレイレーダー開発に協力=欧州の技術がベースのレーダーとみなされていると言う意味。

韓国のKFXは当初、米国のAIM-120やAIM-9を搭載する予定だったが、KFXに統合するための「兵器データー開示」を米国が拒否したため、AIM-120の代わりに「ミーティア」を、AIM-9の代わりに「IRIS-T(現時点で統合許可が降りたという報道はない)」を搭載することになったのだ。

出典: ILA-boy / CC BY-SA 3.0 MBDA社が開発した「ミーティア」空対空ミサイル

米国の「Military Watch Magazine」は、韓国のKFXがAIM-120よりも3倍近い射程を持つ「ミーティア」の搭載に成功したことについて、ミーティアが非欧州製戦闘機に統合された最初の戦闘機になったと報じ、AIM-120に依存した日本のF-15JやF-2、第5世代戦闘機F-35Aに対し大きな「優位性」を獲得したと指摘している。

補足:ミーティアをF-35Aに統合する作業は、MBDA社を構成する英国によって行われており、英国は米国に次いでF-35開発に資金を提供したため、非欧州製戦闘機にカウントされていない。

特に戦闘機の数で日本に劣っている韓国とって、長射程の「ミーティア」は日本の優位性に対抗できる数少ない選択肢で、ロシアや中国の戦闘機が搭載する長射程空対空ミサイルによって発生した「ミサイルギャップ」を埋めることも可能だと「Military Watch Magazine」は見ている。

出典:Hunini / CC BY-SA 4.0 AAM-4B(模擬弾)

日本は英国と現在、ミーティアをベースに日本が開発した空対空ミサイル「AAM-4B」のアクティブ・レーダー・ホーミングシーカーを搭載した「新型空対空中距離ミサイル」を共同開発中で、2023年度に試射を行う予定だと発表されており、完成した暁には日本の戦闘機にも採用されるはずだ。

そのため日本の戦闘機がAIM-120に依存しているというのは現時点での話であり、韓国のKFXが実戦配備につく2025年頃(2030年説もある)には、日本の戦闘機も「新型空対空中距離ミサイル」の運用が始まっている頃なので、一方的に韓国のKFXが有利という訳ではない。

韓国も最初からKFXに「ミーティア」搭載を計画していたわけではなく、フェーズドアレイレーダーに関する技術移転を米国に拒否され、自力でレーダー開発を行うため欧州企業に協力を求めたことが、結果的に「ミーティア」統合に有利に働いたという棚ぼた的な結果を生んだだけだ。

まさしく「捨てる神あれば拾う神あり」というのがピッタリかもしれない。

 

※アイキャッチ画像の出典:KAIが公開したYouTube動画のスクリーンショット

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コメント

    •  
    • 2019年 12月 03日

    >韓国のKFXが実戦配備につく2025年頃(2030年説もある)

    2025年なんか誰も言ってない様な・・
    最短で2030年。まあ既出の噂の平均で言えば、2030年代前半ぐらいでしょ
    それでさえ計画でしか無い。まあ何にでも言えるかも知らんが

    • 匿名
    • 2019年 12月 03日

    2025にKFXの実機があればいいですね。
    としか言えないなー。仮に韓国の要望全てかなったとしても飛んでる姿を想像出来ない。

      • 匿名
      • 2019年 12月 03日

      思考がいじけた中学生レベルなので、敵は北、露、中国では無く日本なのですね分かります。

      >特に戦闘機の数で日本に劣っている韓国とって、長射程の「ミーティア」は日本の優位性に対抗できる数少ない選択肢で、

    • 匿名
    • 2019年 12月 03日

    日本が買ったAMRAAMってF-35用のAIM-120C-7以外は
    F-15J用に試験導入された44発のAIM-120Bだけで
    AIM-120に依存していなくて、もっと買え買えと
    しつこく言われているくらいではなかったか?

    • 匿名
    • 2019年 12月 03日

    ミサイルの射程やホーミング能力は勿論極めて重要なんだけど、キャリアが中途半端なステルス性しか確保できそうにないということを無視はできない
    KFXはAIM-120のキルゾーンに入るまでにF-35を見付けられるか?落とせるか?F-35はまず間違いなくKFXを捕捉できるから、射程に捉えられるまでに逃げるか落とすかできなきゃたちまちスクラップよ

    • 匿名
    • 2019年 12月 03日

    日本がAIM-120に依存しているとか流石に意味がよく分からない
    記事中にAAM-4の話が出ているから尚更

    • 匿名
    • 2019年 12月 03日

    そもそも日本はAMRAAMを本格的には採用していないのですがそれは…
    まぁ射程面でミーティアに劣るのは99式も同じだけど

    • 粋がって記事書いてる人もなんだかんだ無知なのがわかった。

      真っ先につっこむべき「空自のAIM120への依存」の点をスルーしている時点でたかが知れている。

      AIM120の実戦配備向け採用はF-35A向けが初めてで、F-15もF-2向け実戦配備用に採用されてません。

      所詮はこのサイトもただの理性なき半島叩きだったか。

    • 名無し
    • 2019年 12月 03日

    毎度思いますけど、韓国は何処と戦闘する想定なんですかね。

    アメリカのメディアが
    >日本のF-15JやF-2、F-35Aに対し、優位性を確保できるだろうと報じている。

    って言うくらい世間では日本と韓国は敵国同士に見られてるって事ですかね?

      • 匿名
      • 2019年 12月 03日

      煽ったあげく、「あれも買え、これも買え」とゴリゴリ押してくるのは、アメさんの常套手段。

    • 匿名
    • 2019年 12月 03日

    日本はAMRAAMを使うとしてもF-35用にJNAAMが完成するまでの繋ぎだからAMRAAMに依存なんてしとらんだろ
    現状でも国産のAAM4が有るのに

    • 匿名
    • 2019年 12月 03日

    アホクサ

      • 匿名
      • 2019年 12月 03日

      日本は、ミーティア改良型の共同研究で現行型の性能を知っているので、対抗手段を用意しようと思えば出来るので、韓国は有利どころか不利なんですが?
      しかもその改良型は、まだ開発中なので成功すればという条件付きですが、日本が絡んでいる以上、韓国は入手不可能ですし。

      それと現状においてもAAM-4/4Bが主力で、これはAIM-120を売って貰えなかった時の保険で開発されたとされてますが、本当の所は仮想敵(韓国)に同じAIM-120が配備されて性能バレバレ、お互い対抗手段を用意可能という点を考慮して、敵国に性能の不明で対抗手段準備不可能ということで、日本有利なんですよね。

    • 匿名
    • 2019年 12月 03日

    韓国は何がしたいのか分からない。そもそも本当にKFX自体、絵に描いた餅で完成するのか。完成しても今更の4.5世代。最速でミーティア積めても日本は英国と共同開発でミーティアより更に先に行ったものを積む。韓国軍でまともな人は頭痛いだろうなあ。

    • 名無しで
    • 2019年 12月 03日

    で… 何が優位なの????……

    日本は そのミーティアの改良版 を共同開発中なのだが?…
    K国は出来合いを使うだけなのだろう

    改良版が完成し、そちらが主流になったら…
    日本の許可もなければ買えなくなるはずだが… (笑)

    • 匿名
    • 2019年 12月 03日

    元ソース読んだら普通にMBDA社のセールストークだったので、、、騙されてはいけない。空自機全部にJNAAMをガッツリと積ませたいんだと思う。

      • 匿名
      • 2019年 12月 03日

      いまのところ、JNAAMは日本以外に買い手がないみたいですね。
      共同開発国であるイギリスも購入するかどうかと言う記事を見たことありませんし、他の欧州諸国からそういった話が出たという記事も見たことないです。

    • 匿名
    • 2019年 12月 03日

    なんということだ、日韓療法にミーティアを売るってことは死の商人そのものではないかwwww。
    まあK-FXは完成しないからF-15Kに積むかもしれないが、日本のF-3の搭載するミーテイアは日本製のシーカーの付いた改良型だがF-15Kには旧型ミーティアしか積めないぞ、勝負になると思ってるのか。

      • 匿名
      • 2019年 12月 03日

      死の商人そのもの>
      欧州諸国の兵器メーカーは、そう言う事を平然とやるよ。
      例えば1982年のフォークランド紛争時、フランスはアルゼンチンにシュペル・エタンダール攻撃機とセットでエグゾセ空対艦ミサイルを売却して、それが英駆逐艦を撃沈したが、実はその時、既に英海軍向けに艦対艦バージョンのエグゾセを売っていた。

    • 匿名
    • 2019年 12月 03日

    ほう、アメリカと協調できるのであれば、韓国の対空能力は高くなるのか、同盟国の同盟国としては頼もしい喃。

    • 匿名
    • 2019年 12月 03日

    ミーティア有利って、韓国が仮想敵にする日本はすでに
    ミーティア改良の為の共同研究で、性能を把握していて、必要なら対抗(妨害)手段まで用意出来る。
    性能が相手にバレてる時点で、有利どころか不利なんですよね。
    日本がAAM-4/4B配備してるのは、当初AIM-120が売って貰えないとの恐れがあったのもあるけど、韓国がAIM-120持ってることで性能が分かっているのも理由だったりする。

    さらに日本はミーティア改良型のJNAAMを開発中、これは今のところ日本専用との噂、間違いなく韓国には売らないだろう。

    • 匿名
    • 2019年 12月 03日

    レーダの設計はフランスのタレスだろ。

    • 匿名
    • 2019年 12月 03日

    ハンファタレスが開発したレーダーってエルタの協力で試験してたからRBE2-AAじゃなくELM-2052のカスタムだと思ってたんだけど違うのか

    • 匿名
    • 2019年 12月 05日

    2030年に、まだ韓国が西側陣営に居るのか?恐ろしい

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