中国関連

遂に量産機が完成か? 中国空軍指定色に塗装されたステルス戦闘機「J-31」が姿を現す

米国メディアは、中国がJ-20に続いて開発したステルス戦闘機「J-31」が中国空軍の指定色に塗装されて姿を見せたため量産機が完成したのではないかと報じている。

参考:China’s Second Stealth Fighter Coming This Year? J-31 Fighters Spotted in Air Force Colours

用途がイマイチはっきりしない中国のステルス戦闘機「J-31」

中国が開発中のステルス戦闘機「J-31」は2012年に試作初号機が初飛行した後、改良が加えられた試作2号機が登場して各種試験が続けられ2019年までに量産機の初飛行が行われると言われていたが、昨年J-31の量産機が姿を現すことがなかった。

しかし米国メディアは最近、中国空軍の指定色に塗装されたステルス戦闘機「J-31」が初めて姿を見せたと報じており、もしかすると同機がJ-31の量産機なのかもしれない。もしJ-31の開発がスケジュール通り進んでいるのなら2022年までに初期作戦能力(IOC)を、2025年までに完全戦闘能力(FOC)を獲得する予定で、米国に次いで2機種目のステルス戦闘機実用化に成功することになる。

J-31は単座型の双発戦闘機で基本的なスペック(全てAviation Weekが画像から試算した推定値)は全長16.9m、全幅11.5m、最大離陸重量28トン、最高速度マッハ1.8、兵器搭載量8トン(機内2トン+機外6トン)、戦闘半径1,250km(内部燃料のみ)または2,000km(外部に増槽携行時)と言われ、先に実用化されたJ-20よりも一回り以上小さく10トン以上軽い。

出典:Alert5 / CC BY-SA 4.0 エアショー中国2016でのJ-20

そのためJ-31は空母に搭載して使用することを前提に設計されたのではないかと言われてきたが、人民解放軍の最高意思決定機関である中央軍事委員会はJ-31ではなくJ-20の艦載機化を支持しているとサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙が昨年8月に報じたため、J-31の開発目的はF-35と同じ海外輸出を目的に開発されているのだろう。

関連記事:ステルス戦闘機「J-31」開発中止?中国、空母の次期艦載機に「J-20」採用

ただし米国メディアは、中国空軍が保有しているJ-8IIをJ-31で置き換えるのではないかと予想している。

J-31はステルス性能を優先させれば空対空ミサイルが4発までしか携行できず、機体外部のパイロンを利用すれば最大10発から12発を携行することも可能だが、その場合ステルス性能が犠牲になるため大型のステルス戦闘機J-20を持っている中国にとって中途半端な性能のJ-31は何とも扱いづらい存在だ。

出典:public domain 中国航空ショー2018に展示されたJ-10B

要するに中国にとってJ-31はステルス戦闘機としてはパンチ力不足で、それを補うために折角のステルスを犠牲にするくらいなら調達価格が安価な非ステルス機のJ-10でJ-8IIを置き換えたほうが懸命だと言える。

関連記事:F-15EXやF-16Vを脅かす存在に? 国産エンジンに換装した中国の第4.5世代機「J-10C」登場

もちろんJ-31の性能が中途半端と感じるのはJ-20の存在のせいであり、政治的・経済的な理由で米国のF-35が調達できない国にとっては魅力的な選択肢であることに変わりがない。

果たして中国空軍の指定色に塗装されたJ-31の登場は量産機完成を意味しているのか、米国メディアが指摘するように中国自身がJ-31を導入するのか注目される。

 

※アイキャッチ画像の出典:wc / CC BY-SA 4.0 2014年珠海航空ショーでの瀋陽J-31

感染ルート不明? 米海軍、強襲揚陸艦「ボクサー」配属の兵士が新型コロナウイルスに感染者前のページ

顧客への引渡しは予定通り、日本とイタリアの生産ライン再開でF-35最終組立はフル稼働次のページ

関連記事

  1. 中国関連

    中国、観艦式へ派遣した「中国版イージス艦 052D型」を日本で一般公開か?

    中国海軍は、海上自衛隊が10月14日に行う観艦式に艦艇を参加させるため…

  2. 中国関連

    中国が2023年度の国防予算に2,247億ドルを配分、前年度から7.2%増

    中国は開幕した全人代で2023年度の予算案を公開、国防予算には1兆5,…

  3. 中国関連

    中国、無人化した低コストの戦闘機「J-7」を飛ばして台湾空軍の負担増を狙う

    中国空軍は無力な無人標的機として活用していた戦闘機J-7を「台湾空軍の…

  4. 中国関連

    中国国営放送、ステルス無人機「GJ-11」と小型UAVによる運用コンセプトを披露

    中国の国営放送「中国中央電視台(CCTV)」は今月6日、珠海航空ショー…

  5. 中国関連

    中国国営メディア、電磁式カタパルトを搭載した空母「003型」の進水を予告

    中国メディアは17日、2021年は電磁式カタパルトを搭載した空母「00…

コメント

    • 匿名
    • 2020年 3月 18日

    イランがしれっとガーヘルと入れ換えそう

    • 匿名
    • 2020年 3月 18日

    中国の新型機開発のテンポの速さには驚きです。
    勝手な感想ですがこの期待は以前の記事(宇宙服の記事)にありましたイランのガーヘル 313に似てません?
    細かい所は異なっていますがちょっと大きくしたようなものかな。
    (というかあちらが小さすぎ)

      • 匿名
      • 2020年 3月 18日

      眼科に行ったほうが・・・

      • 匿名
      • 2020年 3月 19日

      お疲れですか?

      • 匿名
      • 2020年 5月 30日

      ガーヘルってなんだか知ってる?

    • 匿名
    • 2020年 3月 18日

    中国の技術力向上及び軍拡は目を見張るものがありますね
    十年後どうなってるのか、末恐ろしい

    • 匿名
    • 2020年 3月 18日

    F35の設計図が手に入ったのに、作らないという選択肢はなかった

    • 匿名
    • 2020年 3月 18日

    未だに軍拡を続ける中国にはもっとコロナちゃんに活躍してもらう必要があるみたいだな

    • 匿名
    • 2020年 3月 18日

    J-31がステルス戦闘機としては廉価だったらKFXより遥かに魅力的かもしれん。

      • 匿名
      • 2020年 3月 18日

      え、じゃあ中国様から部品輸入して組み立てたら新KFX爆誕じゃんw KF-35と呼びそうwww

    • 匿名
    • 2020年 3月 18日

    いまんとこJ-31はJ-20と違って、ウエポンベイ搭載してないからどうなんだろ。

      • 匿名
      • 2020年 3月 19日

      本文にあるようにAAM4発分のウェポンベイはある

    • 匿名
    • 2020年 3月 18日

    中国製エンジンが技術革新(出力のアップ、寿命の延伸)がなければ新規の機体を開発しても無意味では?
    次元は違うけど、フランス・ドイツのFCASも同じ事が言えるかもね

      • 匿名
      • 2020年 3月 18日

      中国はここ十年で何作も新型エンジン開発してますよ
      J-20とJ-10は何度も新型エンジンに換装されています

        • 匿名
        • 2020年 3月 19日

        技術革新(出力のアップ、寿命の延伸)ができてると良いね (笑

          • 匿名
          • 2020年 3月 20日

          特許無視出来るのはデカイなぁ。

          1
      • WSO
      • 2020年 3月 20日

      一般公開情報でWS-10A/B/C、WS-15、エンジン改良や新規開発の話はいくらでも転がっている。むろん大推力・長寿命エンジンには高度な冶金技術が必須だが、5年後10年後に中国の技術がどれだけ進展するかは楽観視すべきではないのは当然。ゲラゲラ笑っていられる状況ではない。

      2
    • なんでだろ
    • 2020年 3月 21日

    なんでだろか姿かたちは似てるがバカでかいピトー管?ラム攻撃でも企んでるの?

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
  2. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
  3. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  4. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
  5. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
PAGE TOP