軍事的雑学

韓国型戦闘機「KFX」の価値は投資額に見合っていない? 出資割合引き下げ交渉の行方

インドネシアのウィラント政治・法務・治安担当調整相は、韓国と共同開発を行っているIFX(韓国名:KFX)プログラムについて、インドネシア側の出資割合引き下げに言及した。

参考:Pemerintah akan Kurangi ‘Share’ Proyek Pesawat Tempur KFX dan IF-X

インドネシアの出資割合引き下げ要求を断れない、韓国の苦しい事情

7月18日、政治・法務・治安担当調整相のウィラント氏は、現在、韓国政府とIFX(韓国名:KFX)プログラムの再交渉について言及し、この再交渉は韓国と共同開発を行っているIFX/KFXプログラムの出資割合を、現在の20%から引き下げることが目的だと話した。

出典:Attribution: Alvis Cyrille Jiyong Jang / CC BY-SA 4.0

インドネシアは、総額8兆ウォン(約7,300億円)と言われるIFX/KFXプログラム開発費の約20%に相当する1兆7000億ウォン(約1,500億円)を負担することになっており、現在までに2,272億ウォンを支払っているものの、2,000億ウォン前後の未払い金が発生している。

IFX/KFXプログラムは、韓国の韓国航空宇宙産業(KAI)が請け負っており、インドネシアからの開発費支払いが遅延・停止する場合、負債比率が262%に達するKAIの財務能力では、インドネシア分の開発費を一時的に肩代わりすることすら難しい上、韓国政府による救済措置も特別講じられていない。

このような事態に陥ったのは、IFX/KFXプログラムの価値が、投資額に見合っていないとインドネシア側が言い出したからで、これは負担する開発費用と見返りが釣り合っていないという意味だ。

現在、再交渉は非公開で行われており、交渉内容について詳細は不明だが、政治・法務・治安担当調整相のウィラント氏は、韓国側がインドネシアの利益を理解し、尊重するための努力を行っているので、年内には交渉がまとまると約束した。

韓国の文政権が掲げる経済政策「新南方政策」の中で、ASEAN最大の人口(約2億4000万人)を擁するインドネシアを特に重視しており、2017年の首脳会談で両国関係を「戦略的パートナー関係」から「特別戦略的パートナー関係」に格上げすることで合意、特に防衛産業分野における両国間の協力を強調しているが、実際には国内防衛産業救済のためという裏の思惑が絡んでいる。

韓国の防衛産業は国内需要だけでは成立せず、海外への輸出によって利益を確保してきたが、最近、その海外輸出が振るわなくなり、2016年まで毎年5,000億ウォン(約460億円)前後あった韓国防衛産業の営業利益が、602億ウォン(約55億円)まで急激に落ち込み、営業利益率で言えば0.5%水準、純利益で見れば完全に赤字状態だ。

特に、米空軍の次期高等訓練機「T-K」受注に失敗した韓国航空宇宙産業(KAI)の防衛産業部門は悲惨だ。

ロッキード・マーティンからの支援を受けて開発されたT-50訓練機や、ユーロコプターと共同開発したヘリコプター「スリオン」など、国内向けの需要や、海外へのT-50輸出で、2016年には約2兆ウォン(約1,800億円)の売上があったが、国内向けの需要が一段落し、海外からの受注も途切れた翌年、9,000億ウォン(約820億円)台にまで売上が落ち込み赤字に転落した。

この状況を一変させる可能性があったのが、米空軍の次期高等訓練機の受注だったのだが「奇跡」は起きなかった。

このような国内防衛産業を救うため都合が良かったのがインドネシアだ。

インドネシアは防衛装備品の輸入の際、技術移転を強く要求するため、信頼性や性能、価格で勝負するのが難しい韓国にとって「技術移転」さえすれば、防衛装備品を韓国から買ってくれるインドネシアは魅力的に映るしか無い。

国内では、安価で技術を売り渡すなと批判が多いが、赤字に苦しむ国内防衛産業を救うために「インドネシア市場」を失うわけにはいかず、インドネシアにとっては、自国の技術者育成にとって最高に利用しやすい「踏み台」だと思っているだろう。

結局、韓国は「技術」を餌にインドネシアマネーを釣るつもりが、逆に「インドネシア市場」という餌で釣り返され、抜け出せなくなっている。

 

※アイキャッチ画像の出典:Thor Jorgen Udvang / stock.adobe.com

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コメント

    • 匿名
    • 2019年 7月 20日

    インドネシアは韓国に関わることで金額換算できない苦痛を味わうことになるでしょうね。

    • 匿名
    • 2019年 7月 20日

    これは本当にどっちもどっち。どちらも、日本が深く関わる程に不愉快な目に遭う国ですから。

    • 一説によれば韓国では予算の三割が賄賂で消え
      インドネシアでは予算の五割が賄賂で消えます
      腐敗度だは韓国の方がましなので韓国主導でないとプロジェクトは動かないでしょう

      関わるにはカントリーリスクが中程度な国は深く同意します

    • 匿名
    • 2019年 7月 20日

    最先端の軍用品の共同開発は国格が同等のレベルでないと組めない。インドネシアは韓国と同等の国だということ。
    日本がネシアと組むことは無い、日本が組むなら米英ということ。

    • 匿名
    • 2019年 7月 20日

    KFXに関しては開発費何億とか輸出を見越してとか、そんな話ばかりでどういった戦闘機が欲しいのか全く見えてきません。
    台湾の経国を見て下さい。もちろん性能は一線級とは行きませんが、国情にあった苦労工夫が垣間見えて正に台湾の戦闘機に仕上がっている。それが魅力となり艶っぽいフォルムもあって根強いファンがいる。対艦番長とあだ名されたりするF-2も同様です。一方韓国の計画には当事者感が全く無い。そしてその振る舞いは国産戦闘機を開発したことのない国とは思えない傲慢さ。正直理解できません。

      • oominoomi
      • 2019年 7月 21日

      韓国海軍の方でも、何をしたいのか、どう使うのかがよく分からないフネを作っていますね。
      浅海域での対潜水艦戦や、離島防衛の能力向上という目標がはっきり見えている海上自衛隊とは対称的です。
      ただこれは韓国軍の問題とするのも気の毒です。
      韓米同盟は将来も維持するのか、日本や中国は仮想敵国なのか友好国なのか、主敵はあくまでも北朝鮮なのか…
      国家のスタンスがいつもフラついている状態では、軍として長期戦略を描けないのも仕方ありません。

    •  
    • 2019年 7月 20日

    インドネシア空軍の主要戦闘機(軽攻撃機・訓練機等は除く)

    F-16 25機
    Su-27 5機 
    Su-30 11機

    link
    これで「インドネシア市場」とやらは存在するのかな?
    インドネシアがKFX計画に片足を掛けているのも軽い気持ちなのでは?
    普通にロシア機かフランス機でも買ってる方が良い。F-15の中古とか

    軍事費が約9000億円、GDP比0.7%、(wikipedia英語) 軍事に力を入れてる国じゃないね

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