軍事的雑学

未来を「約束」した日本、過去を「強調」した韓国 架空の兵器導入話で米国を欺く文大統領

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は23日、米国のトランプ大統領と韓米首脳会談を行い、今後3年間に米国から購入する米国製兵器について説明を行ったと韓国メディアが報じている。

参考:F-35Aㆍ글로벌 호크… 美무기 구매 늘려 방위비 인상 상쇄 카드로

未来を約束した日本、過去の実績を強調した韓国

ワシントンで韓米首脳会談を行った韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、米国のトランプ大統領に対し、今後3年間に米国から購入する米国製兵器について説明を行い、韓国は米国製兵器をもっとも多く購入国する国の一つであることを強調した。

韓国の国防技術品質院が発行した資料によれば、2008年から2017年まで韓国が米国から購入した兵器の総額は67億3,100万ドル(約7,253億円)で、同時期に最も多く米国から兵器を購入したのは106億3,900万ドル(約1兆1,500億円)のサウジアラビアで、米国がアジアにおいて「最も重要な同盟国」と呼ぶ日本が同時期に購入した兵器の総額は、37億ドル5,200万ドル(約4,040億円)だった。

今後3年間に米国から購入する兵器に挙げたのは、導入中の第5世代戦闘機F-35Aや、無人偵察機RQ-4、対潜哨戒機P-8Aなどが含まれていると韓国メディアが報じている。

このような実績を米国側に説明することで、同じ日、韓国のソウルで始まった韓米防衛費分担金交渉で有利にな立場を確保しようとする狙いがあると見られるが、このような韓国政府やメディア主張には矛盾が多い。

まず韓国が米国から購入した兵器の総額をまとめた国防技術品質院の資料は、なぜか「完成品の輸入」に限定しており、2016年に引渡しが始まった日本のF-35A 42機の導入費用約8,000億円は、完成品の輸入ではないはないため統計に含まれておらず、これは完成品の輸入が多い韓国と、ライセンス生産(組立て生産)が多い日本との条件の差を利用し、韓国の貢献度(兵器購入額)を大きく見せるための偽りの資料だ。

出典:航空自衛隊

特に日本が導入したF-35Aは、従来のライセンス生産とは異なり、大半の部品を米国から輸入し日本で組立て生産を行っただけなので、米国側に落ちる金額が大きいく、日本国内に設置したFACOなどF-35A導入関連費用まで合わせれば、米国側に落とした日本の金は莫大な額だ。

日本も韓国も陸上兵器(主力戦車や装甲車両等)については国産品を採用しているため、米国から購入する兵器の中で、高額な部類に入るのは航空機やイージス艦が搭載するイージスシステムなどが挙げられるが、単純にF-35Aや早期警戒機、イージス艦などの数を比べれば、韓国が日本よりも金額ベースで上回るということ自体に無理がある。

さらに韓国が今後3年間に米国から購入する兵器に挙げた中には、F-35A 40機(約6,644億円)、無人偵察機RQ-4 4機(約800億円)、対潜哨戒機P-8A 6機(約1,700億円)、KF-16 134機のアップグレード費用(約1,500億円)、F-15Kのアップグレード、統合多用途ヘリMH-60R、電子攻撃機EA-18G、早期警戒管制機E-737、弾道ミサイル迎撃弾SM-3導入などが含まれていると言われているが、これも誇張が激しい。

ここに挙げられた導入予定の兵器の多くは、今年8月に策定された国防中期計画(2020~2024)に登場したものが多く、実際に導入が確定しているものは少ない。

出典:public domain EA-18Gグロウラー

まずは購入予定に挙げられいる米国製「MH-60R」についてだが、これは韓国海軍の「海上作戦ヘリ導入機選定事業」に提案された複数ある候補の1つでしかなく、電子攻撃機EA-18Gは、昨年に日本が導入を検討しているという情報が流れ「日本が導入するなら」と、いつものパターンで「国防中期計画(日本の中期防に相当)」に盛り込んだが、肝心の日本が導入を見送ったため、韓国は導入理由を失ってしまった。

さらに早期警戒管制機E-737の追加導入は、E-737の追加導入ではなく、正しく言えば「早期警戒管制機」の追加導入事業だ。韓国空軍は、2025年までに新しい早期警戒管制機を2機導入する予定で計画を進めてはいるが、E-737に他にも、サーブ社製の早期警戒管制機「グローバルアイ」も提案されており、E-737が選ばれる保証はどこにもない。

結局のところ、文大統領が今後3年間に購入すると説明した内容は、朴槿恵政権が購入を決定し導入が始まっているF-35Aや、購入候補に入っている兵器導入計画を紹介しただけで、米国側にしてみれば、過去の政権同士間で決着済みのF-35Aを、再び持ち出してきて「F-35Aを40機も導入してあげている」と恩着せがましく言われているに等しく、何も新しい約束をしていない。

因みに日本の安倍総理は今年、F-35を追加で105機導入(約1兆円規模)することを現政権のトランプ大統領に約束した。

日本にしても、韓国にしても、米軍駐留費用引き上げ交渉において有利な立場を確保したいの同じだが、そのために実行した手段には大きな違いがある。

日本は新規の兵器導入を「約束」し、韓国は過去の兵器導入と導入の可能性がある兵器を「紹介」して、両国とも米防衛産業への貢献をアピールしたが、果たして、トランプ大統領の心を掴んだのはどちらなのか?

恐らく結果は明白だ。

 

※アイキャッチ画像の出典:public domain

関連記事

  1. 軍事的雑学

    軍事的雑学|海上自衛隊 護衛艦「しらぬい」引渡式・自衛艦旗授与式を見てみよう!

    今回は、長崎造船所で、あさひ型護衛艦の2番艦「しらぬい」の引渡式・自衛…

  2. 軍事的雑学

    軍事的雑学|中国が空母にステルス戦闘機を搭載?ステルス戦闘機「J-31」の長所と短所

    中国共産党の機関紙「人民日報」が、将来、空母の艦載機として中国が開発し…

  3. 軍事的雑学

    軍事的雑学|テンペストは本当に開発出来るのか?欧州の第6世代戦闘機計画の怪しい話!

    今回は欧州の第6世代戦闘機開発、英国のテンペストプロジェクト、ドイツと…

  4. 軍事的雑学

    軍事的雑学|米海軍流コスト削減方法?「退役空母」を再利用して「新空母エンタープライズ」建造!

    1960年に進水した、世界初の原子力空母「エンタープライズ」は、米海軍…

  5. 軍事的雑学

    ロッキード、再整備を施したステルス攻撃機「F-117」を公開! もちろん博物館寄贈用として

    ロッキード・マーティン社は米空軍のために開発した世界初のステルス攻撃機…

  6. 軍事的雑学

    海に戻ってきた世界最大の空母「ジェラルド・R・フォード」、15ヶ月ぶりに大西洋に向け出港

    米海軍は10月25日、空母「ジェラルド・R・フォード」が約15ヶ月ぶり…

コメント

    • 匿名
    • 2019年 9月 26日

    韓国人は自分たちの能力に絶対の自信を持っている詐欺師だよね。何に裏打ちされた自信なのかは全く不明だけど。
    その無根拠な自信が相手を見下して見過ませる事にも繋がってるんだろうけど、相手方からすれば子供だましレベルの嘘という。
    何というのか、プライドとか歴史とか色々なものが邪魔をして正常な分析ができない人達というか、そもそも分析力や判断力というものが欠如しているのか、彼我の能力を含めて全く何も分かっちゃいないと思う。
    いつも後頭部を殴られたとか言ってるけど、自分から頭差し出しているようにしか見えないんですけど?
    スネ夫みたいな奴らと言ったらスネ夫に失礼なくらいに、プライドだけが過剰なクソガキ国家だよな。

    • 匿名
    • 2019年 9月 26日

    今度半島で有事が起きたら
    江畑謙介が鬼籍入りした今
    24時間出ずっぱりで解説する事になるのホル韓じゃね?

    • 匿名
    • 2019年 9月 26日

    韓国の方が購入総額多いのか意外だな〜とか思ってたらまた嘘かw
    嘘誇張&反日しかないのかねこの国

    • 匿名
    • 2019年 9月 27日

    日本は国際的信用度ゼロだから普通に韓国の方が信用されるのでは?
    そもそもアベが首相やってる国を信用する国なんていないよ

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

最近の記事

関連コンテンツ

PAGE TOP