軍事的雑学

陸上自衛隊が英国へ初派遣、英陸軍との共同訓練「ヴィジラント・アイルズ19」実施へ

陸上自衛隊は9月29日から10月24日まで、英国で英陸軍と実動訓練「ヴィジラント・アイルズ19」を実施すると発表した。

参考:陸上自衛隊広報室 令和元年度英国における英陸軍との実動訓練 (ヴィジラント・アイルズ19)の概要について

今後も日英防衛協力が拡大すれば、日英空母のクロスデッキ化も

日本と英国は、2017年12月に行われた日英外務・防衛閣僚会議(2+2)で防衛協力を拡大することを決定し、2018年に陸上自衛隊と英陸軍が、日本国内の北富士演習場などで実動訓練「ヴィジラント・アイルズ」を行った。

この訓練は日本国内で、米国以外の国と初めて陸上自衛隊が訓練を行ったという意味で、非常に注目を集めたが、今年は日本ではなく英国で「ヴィジラント・アイルズ19」が開催されるため、陸上自衛隊の富士学校を中心とした陸上自衛隊員約20名が派遣されるが、陸上自衛隊の訓練隊を英国に派遣するのは創設以来、初めてのことだ。

陸上自衛隊のプレスリリースによれば「英国における英陸軍との偵察に係る実動訓練を実施し、部隊及び隊員の戦術技量の向上を図るとともに、陸上自衛隊と英陸軍との関係強化を図る」とされており、恐らくは昨年「ヴィジラント・アイルズ」で実施した、日英両軍による「長距離隠密偵察」及び「統合火力の誘導」を主任務とした偵察訓練が行われるのだろう。

参加兵力こそ日英両軍を合わせても約50名程度と少ないが、今年も実動訓練「ヴィジラント・アイルズ19」を行うことで、日英共同による訓練が1回限りの政治的パフォーマンスではない、今後も日英は防衛協力を拡大していくという意思を示すと言う意味で、規模以上の重要な訓練となる。

出典:public domain

2016年に実施された英空軍の戦闘機「タイフーン」と航空自衛隊との共同訓練を皮切りに、英陸軍と陸上自衛隊との共同訓練、さらに英海軍空母「クイーン・エリザベス」の太平洋派遣が2021年頃に予定されているので、恐らく海上自衛隊との共同訓練も予定されているはずだ。

海上自衛隊の空母化が決定している「いずも型護衛艦」の1番艦「いずも」は、2020年に予定されている5年に1度の定期検査時を活用して行われる予定なので、2021年の英空母「クイーン・エリザベス」の太平洋派遣までには改造工事が間に合わないだろうが、英空母「クイーン・エリザベス」のF-35B運用能力獲得スケジュール(米国東海岸に空母を派遣し、F-35Bの運用訓練を始めたばかり)も予定通り進むか分からないので、太平洋派遣が2022年までずれ込む可能性も無くはない。

出典:public domain

そうなれば、改造工事の終わった空母「いずも」に米海兵隊のF-35Bを搭載し、英空母「クイーン・エリザベス」と日本近海で、日米英3ヶ国による共同演習が実現するかもしれない。

補足:日本は、空母化された「いずも型護衛艦」で運用するためのSTOVL(短距離離陸・垂直着陸)型戦闘機として、ステルス戦闘機「F-35B」の導入を決定したが、これから米国政府を通じFMS(対外有償軍事援助)方式で調達した場合、5年程度の時間がかかると見られており、いずも型護衛艦の空母化の方が先行することになる。そのため日本は空母化された「いずも型護衛艦」で米海兵隊所属のF-35Bを運用しノウハウを習得することで、航空自衛隊が調達するF-35Bの受け入れ体制を事前に整えておこうとしている。

さらに米海兵隊は日本だけでなく、英空母「クイーン・エリザベス」へも米海兵隊のF-35B分遣隊を派遣する予定(2021年頃)で、このような空母の共同使用は「Cross Deck(クロスデッキ)」といわれ、日英は米国と「クロスデッキ」関係を結んでいると海外では報じられている。

ただし日英間には「クロスデッキ」関係はないので、航空自衛隊や英空軍のF-35Bが互いの空母を利用し合うことはないが、米海兵隊と同じF-35Bを使用しているだけに、全く可能性がないとも言い切れない。

今後も日英の防衛協力が拡大し続ければ、ひょっとしたら、そんな胸アツな展開が待ち受けているのかもしれない。

 

※アイキャッチ画像の出典:陸上自衛隊

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コメント

    • 匿名
    • 2019年 10月 01日

    ??様「イギリスのこんな言い伝えを知ってる? 茶柱が立つと素敵な訪問者が現れる」

    日英の接近は拡大する大陸国家の封じ込めが狙いなんだろうけど、片方が立てばもう片方が対策する
    地政学的には悪い事は続き難いのかもしれない
    にして嫌な茶柱ではあるけれど

    • 匿名
    • 2019年 10月 02日

    長距離隠密偵察ってイギリスのお家芸ってイメージ

    • 小さな仔猫
    • 2019年 10月 02日

    空自が英国の演習に参加するのはいつになるのでしょうか?
    空中給油機も導入されますし、是非実現して欲しい。

    • oominoomi
    • 2019年 10月 02日

    英国はロシアとの対立を深め、ブレグジットによりヨーロッパからも一定の距離を置き、日本は中国に自ら吸収されようとする韓国に訣別。
    中露が軍事的に接近する一方で、日米英豪が防衛協力を強化し、マッキンダーの理論通りのシーパワー対ランドパワーの構図が綺麗に現れてきました。
    そしてクロスデッキによりシーパワー連合を結び付けるF-35Bは、単に数ある戦闘機の中の一つではなく、歴史を作った機体として後世に名を残すかも知れません。

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