韓国の次期イージス艦建造計画に変数が出てきたと韓国メディア“ソウル経済”が報道している。
参考:세종대왕함급 차기 이지스함 ‘헌 집 주고 새 집‘ 받을까
数年の我慢でAN/SPY-6の導入と技術移転が叶うなら、韓国にとって魅力的
韓国の次期イージス艦建造計画『世宗大王級イージス駆逐艦配備(batch)Ⅱ事業計画』は、2023年に1番艦が、2027年までに2番、3番艦が建造される予定で現在進行中。このイージス艦に搭載するイージスシステムとAN/SPY-1D(V)レーダーを、2015年10月、米国(25セット)、韓国(3セット)、日本(2セット)の3ヶ国で共同購入する契約を結んでいる。

出典:Public Domain海上自衛隊 イージス護衛艦「こんごう」
これは共同で一括発注すれば、調達価格を下げる事が出来るための措置だ。
ここで変数が生じた。
中国が建造を進めている『中国版イージス艦』と呼ばれる055型駆逐艦が13隻まで増え、追加で11隻が建造中だ。中国初の空母「遼寧」が就役中で、さらに現在3隻の空母を建造中だ。
このような中国の急速な戦力増強に対応するため、旧型のAN/SPY-1Bを搭載した、27番艦までのアーレイ・バーク級イージス駆逐艦を改良・交換需要が高まっている。それなのに新型のAN/SPY-6は未だに完成していない。ようやくシステムが安定し信頼性を確保した段階で、これを量産し配備するには、今しばらく時間が必要な状況だ。

出典:Public Domain米国海軍 アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦 ピンクニー
そうなると、AN/SPY-1Bを搭載した27番艦までのアーレイ・バーク級イージス駆逐艦を改良するためにはAN/SPY-1Dが必要になる。しかし現在、生産されているAN/SPY-1Dは、米韓日の3ヶ国が4年前に共同発注した30セットしかない状況だ。
米国は、この状況を打破するため韓国と日本、両国向けに製造されているAN/SPY-1D(5セット)を譲ってくれれば、代わりに最新のイージスシステムとAN/SPY-6レーダーを提供すると韓日両国に持ちかけてきたと、ソウル経済は報じている。
しかし、この様な報道は、日本では報じられていない。この案を提案してきた時期は今年の初めとしか書いていない。
結局、この案を受け入れれは、現在製造中のAN/SPY-1Dを米海軍に譲り、新たに生産されるAN/SPY-6を提供するということなので、当然、韓国と日本のイージス艦完成は遅れる事になる。
ただ数年間の遅れと不便を我慢すれば、最新のAN/SPY-6を手に入れられることになり、韓国とっては利点が多いと主張している。
ソウル経済は、米国のこの提案について日本が難色を示しているとまで書いている。

出典:海上自衛隊 進水したイージス護衛艦「まや」
日本が難色を示す理由として、現在、日本が装備するAN/SPY-1Dと、新しく提供されるAN/SPY-6、全く異なるバージョンのイージスシステムが混在すれば、混乱や不具合が生じる可能性が高いという理由からだ。さらに日本の新型イージス艦は2020年に就役するため艤装中だ。今更これをAN/SPY-6に変更するのは不可能だという意味。
韓国は日本よりもイージス艦建造のスケジュールに余裕があるが、事業が進行中であることは変わらない。その上、この提案は米国政府からの公式な提案ではないという点が気がかりだとも書いてある。この案を提案してきたのは、AN/SPY-6を製造するレイセオンらしい。
結論として、未知数な部分が多いが、AN/SPY-6の導入と技術移転は、韓国にとって魅力的に映るらしい。
AN/SPY-6に切り替えれば、数年レベルの遅延では済まない
このような話は、日本側では聞いたことがない。少なくとも管理人の私は見たことも、聞いたこともない。
既に次期イージス艦護衛艦「まや」は進水し、現在、艤装中なので、当然搭載されるAN/SPY-1Dと関連機器一式が日本国内に到着しているはずだ。2番艦も年内に進水予定で、今更AN/SPY-1Dを譲れと言っても遅すぎる。
仮に、この様な提案があったとしても、日本側が断るのが当然だろう。
韓国側の次期イージス艦建造は、早くても来年以降に着工され、2番艦着工は数年先の話だ。もし米国側から、この様な提案があったとしても、物理的には対応可能だろう。しかし設計は進めているので、設計をAN/SPY-6に対応したもに切り替えるには、恐らく大幅な設計のやり直しが必要だ。
しかも、AN/SPY-6の価格は、AN/SPY-1Dの1.5倍はすると言われている。AN/SPY-1Dを譲ってもらった対価として、差額分を請求しないほど米国はお人好しではない。

Attribution: Republic of Korea Armed Forces / CC BY-SA 2.0世宗大王級駆逐艦の2番艦「栗谷李珥」
最大の問題は、AN/SPY-1Dは勿論、AN/SPY-6もFMS方式による契約になるはずだ。AN/SPY-1DをAN/SPY-6に切り替えるためには、米国政府の了解と、議会の承認が必要になる。これらの手続きだけで数年の時間が必要になるはずで、イージス艦の完成は数年レベルの遅延では済まない話になるだろう。
果たして、こんな話が現実的なのかと言えばNOだ。
こんな提案が実際にあったのかと言えば、何とも言えない。しかし韓国らしい記事と思えば、非常に納得できる内容だと思う。
※アイキャッチ画像の出典:Attribution: Republic of Korea Armed Forces / CC BY-SA 2.0世宗大王級駆逐艦の1番艦「世宗大王」
管理人さんが書かれてる様に無いですね。
・AN/SPY-6は1Dに比べてバカ高いから、ない。
・アメリカは早急に必要ではないのでAN/SPY-6の開発はゆっくり目。
・アメリカのイージス艦は数は足りてる、適材適所で運用すれば済む話。
・日韓での一括発注なんて無いし、そもそも韓国は発注してない
(日本の3基が最終ロット)
・韓国の直近の計画のはミニ・イージス艦の開発計画、タレスのレーダーを積むのでは?
結局のところ、韓国の海軍って何が仕事なの?
日本がSPY-6を導入するのは、こんごう型の後継になるだろうね
え、2015年に日本2隻分、韓国3隻分のイージスシステムのFMSが議会承認を受けてるでしょ?
議会承認=アメリカ「売っても良いよ。」ってだけ
発注とは別だけど?
数も間違ってるし(日本は3基を発注)
議会承認が2隻分しか通ってないのに3基注文できるのですか?
「まや」は既に艤装中だから、少なくとも1セットはもう日本に届いてるはずです。
「まや」型2隻でイージス艦8隻体制が完成するので、日本が発注したのは2セットだけです。
というか仮にSPY-6を選ぶとして、最新型のレーダーを買うだけで技術導入もしてもらえるって発想はどっから出てきたんだw
>旧型のAN/SPY-1Bを搭載した、27番艦までのアーレイ・バーク級イージス駆逐艦
こんな基本的な勘違いは勘弁してください。
SPY-1B はタイコンデロガ級巡洋艦の 13番艦プリンストン以降、27番艦ポート・ロイヤルまで搭載された、巡洋艦用のレーダーです。駆逐艦に搭載されたことはありません。
アーレイ・バーク級に積まれているのは最初からすべて SPY-1D およびその改良型の SPY-1D(V) です。そしてアーレイ・バーク級駆逐艦の近代化改修は、レーダーそのものではなく、レーダー以外のコンピューターやソフトウェアなどからなるイージス戦闘システム(AWS)を、旧式の BASELINE 4 から BASELINE 9C など最新世代の機材に更新するというものです。
これはもう終わったと思いましたがまだ途中なんでしたっけ??
次の改修となると、アーレイ・バーク フライトII の22番艦マハンから 28番艦ポーターまでの BASELINE 5 搭載艦となりますが、27番艦まで、というのが意味不明です。
もしかして、タイコンデロガ級巡洋艦とアーレイ・バーク級駆逐艦を混同してらっしゃる? ポート・ロイヤルを現役復帰を前に近代化改修する話はありますが、レーダーを SPY-1D に換装するなんてことは考えられません。
SPY-1Bはタイコンデロガ級向けのレーダー 初期型アーレイバークの積んでいたのはSPY-1D
ベースライン6からSPY-1D(V)になってるしそもそもタイコンデロガのSPY-1BもSPY-1B(V)に改良されてるし
そしてSPY-1Bのほうが基本的にSPY-1Dよりも高機能 改良型のSPY-1B(V)とSPY-1D(V)も同じ関係と見て取れる
つまりこの韓国の記事は基本的な情報が間違っててチンプンカンプンでまともに読む価値もないってこと