軍事的雑学

日中韓の戦車と比較? 台湾が導入するM1A2T「エイブラムス戦車」は最強

台湾の厳徳発国防部長(国防相相当)は最近、米国からエイブラムス戦車を受け取るため、2022年に要員を米国に派遣すると立法院で語った。

参考:First M1A2T tanks expected by 2023

台湾が導入するエイブラムス戦車(M1A2T)は周辺国の中で最強

台湾は老朽化した米国製戦車M60A3を更新するため、108輌のエイブラムス戦車(M1A2T)を売ってくれるよう米国に要請、米国務省は台湾に対し、エイブラムス戦車を含むを含む約20億ドル(約2,163億円)相当の対外有償軍事援助(FMS)を承認した。

それを受けて台湾の厳徳発国防部長(国防相相当)は最近、米国からエイブラムス戦車を受け取るため、2022年に要員を米国に派遣すると立法院で語った。

国防部が提出した予算書類によれば、台湾はエイブラムス戦車を2022年に18輌、2023年に18輌、2024年に28輌、2025年に30輌、2026年に14輌発注する予定で、国防部長は「2023年に最初のエイブラムス戦車を受け取れることを期待したい」と話している。

また立法院の国防委員会で、台湾が導入するエイブラムス戦車は、周辺国が使用している戦車と比較した場合、どの程度の性能を持っているのかについて質問が飛んだ。

出典:Tyg728 / CC BY-SA 4.0 中国の99式戦車

台湾の陸軍参謀長は、台湾が導入するエイブラムス戦車(M1A2T)は、韓国のK-2戦車、日本の10式戦車、中国の99式戦車よりも優れていると話し、特に中国が水陸両用作戦で使用する「63式水陸両用戦車」は99式戦車よりも性能が劣ると指摘。

さらにエイブラムス戦車の使用燃料についての質問に対し、陸軍参謀長はエイブラムス戦車が採用している「AGT1500(ハネウェル社製)」は、ジェット燃料だけでなく軽油も使用可能で、軍としては軽油を選択することを検討していると話した。

補足:AGT1500は、ジェット燃料、ガソリン、軽油や船舶用軽油を含む多様な燃料に対応可能。

問題は、エイブラムス戦車の製造ラインが閉鎖されているため、新規製造(金さえ払えば不可能ではない)が難しいという点だ。

そのため、恐らくだが米陸軍が使用しているエイブラムス戦車をオーバーホールし、台湾に輸出する可能性が高く、同じ様な手法でイラクやモロッコにエイブラムス戦車を数百輌近く輸出している。

出典:Public Domain M1A2 エイブラムス

現在、米国では新型戦車が開発中で、2025年から新型戦車によるエイブラムス戦車の更新が始まる予定なので、米陸軍の保有するエイブラムス戦車の中で最新型のM1A2C(SEPV3)へアップグレードを行わない、余剰分を台湾向けに改造するのだろう。

台湾向けのM1A2T仕様は最新型のM1A2Cをベースにした特別仕様で、米軍向けの劣化ウラン装甲ではなく別の輸出用装甲が採用される予定だ。

ただ、台湾のエイブラムス戦車調達が順調に進行するのかについては不確定な部分もある。

中国の国防部長官は、シンガポールのアジア安全保障会議で演説し、中国が台湾の主権や領土を完全に有するとの考えを示した上で「もし誰かが、台湾を中国から分裂させようとしようものなら、中国軍に選択の余地はない。一戦を交えることを惜しまず、一切の代償を惜しまず、断固として統一を守る」と統一に向けて武力行使を辞さない方針を明言した。

出典:Public Domain 習近平との米中首脳会談(2017年4月7日)

しかし、米中間は貿易摩擦で関係が悪化しているため、米国は中国との関係をそこまで考慮する必要がなく、ここぞとばかりに台湾へ戦闘機F-16Vやエイブラムス戦車などの兵器売却を進めている節があり、もし米中間の貿易摩擦が解消したり、2020年に控えている大統領選でトランプ大統領が再選に失敗し、新大統領が対中関係の方針を刷新するようなことになれば、台湾への武器輸出が白紙に戻る可能性も否定できない。

そのため、台湾が米国から兵器導入を続けるためには、トランプ大統領が再選し、対中強行政策を維持し続けることが大前提になる。

台湾としては、エイブラムス戦車が台湾島に陸揚げされるまで気が気でないはずだ。

 

※アイキャッチ画像の出典:Public Domain M1A2 エイブラムス

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コメント

    • 匿名
    • 2019年 11月 05日

    M1ファミリーの能力に疑いの余地は無いとは言え、あの重たい車体は台湾の道路で耐えられるのかねぇ
    現実問題として他に選択肢は無いんだろうけど

      • 匿名
      • 2019年 11月 05日

      >台湾向けのM1A2T仕様は最新型のM1A2Cをベースにした特別仕様で、米軍向けの劣化ウラン装甲ではなく別の輸出用装甲が採用される予定だ。
      との事ですから、装甲変更による軽量化を計るのかもしれません
      そもそも、当初からどんどん重量が増加した結果、もはや米軍ですら持て余す重量となってしまったので軽量化が図られていますし
      さらには、ロシアのT-14アルマータはRHA換算1000mmの貫通力を持つとのことなので、RHA換算680mmのM1A2HA以来の劣化ウラン装甲では根本的に防御力不足となるので、新型装甲で防御力強化と軽量化のテストを行うのかも?

      • 南キムチ
      • 2019年 11月 05日

      日本からは買えないでしょうねぇ。
      日本を気遣って。

    • 匿名
    • 2019年 11月 05日

    アメリカの対中強硬政策はトランプ個人の方針だけではなく、アメリカ議会の意思が大きいので今の路線がガラリと変わることは無いでしょう。オバマ大統領ですら後期は強硬路線であったのがその証です。ましてや韓国が同盟国として使い物にならなくなりつつある今、台湾を押さえるのは定石とすら言えます。

    • 匿名
    • 2019年 11月 05日

    スクラップのM1を解体して新品以上にオーバーホールする様子見たけど
    砂漠の砂でタービンのブレードがボロボロだったな
    車体を吊り下げてステンレスの玉を吹き付けて研磨するのも凄かった
    戦車の頑丈さがよくわかった

      • 匿名
      • 2019年 11月 06日

      M1の車体吊り下げ研磨のシーン、マスキング用ゴムパッドが原形を留めてる点が、個人的には驚きでした。

    • 匿名
    • 2019年 11月 05日

    改修されているとはいえM1もいい加減古い戦車だと思うがこのままM60を使い続けるよりはマシなんだろうなあ

    • 匿名
    • 2019年 11月 05日

    10式よりも強いと言われるとカチンとくるw
    まあ台湾でタフネスにまかせた拠点防衛を考えればそうなのかな

    • M60Tなんかどうかな
    • 2019年 11月 05日

    既存のM48やM60系列をM60T仕様に改造しても良いと思うが。
    ユーロパックに換装すれば、99式から剥ぎ取る事も可能だし。

    • 匿名
    • 2019年 11月 06日

    一応、どうせ機密の塊で実力なんか分からないのだから「我が国が採用する兵器は最強だ」くらいの事は言っておかないと。ましてやすぐ隣が中国なら尚更。

    • 匿名
    • 2019年 11月 06日

    まあ前提としてM60を使い続けるよりは断然マシ。
    だけどM1はあくまで広大な場所での戦闘を想定してるし、今までの実績も完全に制空権が取れた状態で旧式の戦車をアウトレンジで圧倒してただけから装備や練度がしっかりしてる99式や10式と単純比較は出来ないだろう。
    正直、ハイテクや軽量化ブームも含めて台湾の防衛戦略に完璧に合ってるとは思えない。

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