軍事的雑学

命中率90%は嘘?韓国、国産艦対空ミサイル「海弓」量産化決定

韓国国防部傘下の防衛事業庁は、国内技術だけ開発された艦対空ミサイル「海弓」の量産計画を承認したため、2019年後半から量産が開始される。

参考:국내 개발 함정용 방어유도탄 ‘해궁’, 첫 양산 단계 돌입

艦対空ミサイル「海弓」の命中率90%は嘘だらけ?

韓国が開発した艦対空ミサイル「海弓」は、開発過程において何度も物議を醸したお騒がせ兵器だ。

艦対空ミサイル「海弓」の開発自体は2011年から始まり、その過程で行われた性能評価試験の結果について韓国海軍は命中率を「90%」だと公表したが、この90%という命中率が観測されたのは、実戦とはかけ離れた環境で行われた評価試験での結果であることが暴露され批判を浴びた。

出典:public domain RIM-116 RAM

海弓の主な開発目的は、近接防御火器システム「ゴールキーパー」や、近接防空ミサイル「RIM-116」を国産兵器に置き換えるため、敵の航空機よりも対艦ミサイルを迎撃することを目的に作られたにも関わらず、評価試験では対艦ミサイルの飛行特性を全く無視して、迎撃しやすい飛行コースを飛翔した目標に対して迎撃試験を行い、命中率が「90%」だと公表したのだ。

具体的言うと、現代の対艦ミサイルは敵に捕捉されにくくするため、海面から5m~15mの超低空飛行(シースキミング)を行う機能を備えているのが一般的だが、試験に使用された模擬目標のコース設定は30m以上の高度で、一般的な対艦ミサイルの速度(マッハ0.9前後)の半分程度の速度しかなかった。

なぜこのような現実とはかけ離れた試験を行ったのか?

それは韓国の国内技術だけでは、海面が発生させる「クラッター」を分離し処理する技術が劣っていたため、海面上を超低空飛行する対艦ミサイルをレーダーで正確に捕捉するのが難しく、評価試験で命中と判定されたのは全て30m以上の高度を飛翔した模擬目標に対してであり、超低空飛行を飛翔した模擬目標には命中しなかった。

しかも、この試験は実弾によるものではなく、全てコンピュターシミュレーションによるもだ。

これが命中率「90%」の正体だ。

このような酷い試験結果が国会で論議されたにも関わらず、韓国海軍は艦対空ミサイル「海弓」の開発完了を宣言してしまった。

時代遅れな性能で、現代の対艦ミサイル迎撃に役たたず?

仮に、計画通りの性能が発揮されたとしても、この艦対空ミサイル「海弓」は既に時代遅れな兵器になっている問題もある。

10km前後の射程しかないRIM-116(最新型は15km以上に射程が延長されている)に比べて、20km程度の射程を海弓は持っており、さらに360度死角がない垂直発射方式を採用しているなど、一見、従来の近接防御兵器にくらべ優れているように見えるが、落とし穴が存在する。

出典:public domain Mk.41垂直発射システム

現在の対艦ミサイルは超音速化、極超音速化が進んでおり、亜音速の対艦ミサイル迎撃を想定した「海弓」の20kmという射程では、はっきり言って無意味だ。

この20kmという射程は、対艦ミサイルがマッハ2.5で突入してくれば20秒程度、マッハ4.0では15秒程度、ロシアが開発したマッハ7.0以上で飛翔する極超音速巡航ミサイル「3M22」の場合、たった7秒しか交戦時間なく、とてもまともな迎撃が行えるだけの対処時間がない。

しかも「海弓」は垂直発射方式で発射するため、一旦、上昇してから目標へ向けて旋回する必要があり、発射直後から目標へ向かって飛翔するRIM-116に比べて、迎撃に掛かる時間にロスが生じ、上記のように対艦ミサイルの超音速化、極超音速化が進み、交戦時間が恐ろしいほど短い「海弓」とって、これは致命的な問題となる。

米国や中国などの世界の海軍では、このような対艦ミサイルの超音速化、極超音速化に対応するため、個艦防衛用対空ミサイル(RIM-162ESSMやHQ-16など)の中距離化が進んでおり、射程40kmという交戦距離が標準化している。

艦隊防空用対空ミサイル「RIM-156 SM-2」の運用能力があるイージス艦や駆逐艦ならまだしも、韓国海軍は、フリゲート艦や護衛艦に「海弓」を搭載していくことが決まっており、亜音速の対艦ミサイルですら迎撃できるのか怪しい性能で、超音速や極超音速の対艦ミサイルに対処するのは事実上不可能と思われる。

迎撃性能すら信頼できず、超音速以上の対艦ミサイルに狙われれば事実上、お手上げというのが韓国が開発した艦対空ミサイル「海弓」の真の姿だ。

 

※アイキャッチ画像の出典: 대한민국 국군 Republic of Korea Armed Forces / CC BY-SA 2.0 海弓を装備した大邱級フリゲート

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コメント

    • 匿名
    • 2019年 9月 13日

    混ざってますね
    ・実際に試験はした 1回(10発) 標的は30m以上をマッハ0.5程度で飛行
    ・超低空の標的の迎撃は試験していない
    ・超音速の標的の迎撃はシュミレーションのみで、実際の試験はしていない
    ちなみに北朝鮮の体感ミサイル「金星3号」でさえマッハ0.9、日本、中国のは書く必要もないでしょう

    韓国の場合は他のも似たようなものですね。
    青鮫、赤鮫、天弓、天弓-2・・・まあ、兵器以外もですけどね

    • 匿名
    • 2019年 9月 13日

    強襲揚陸艦だの合同火力艦だのと夢を見る前に、もうちょっと地に足付けた艦隊編成というものを考えたがいいと思いますが、まあ韓国海軍ですからねぇ……
    海上自衛隊ですら、FFMが配備されていかないことにはDDやDDGを艦隊編成に回せないのに

      • 匿名
      • 2019年 9月 13日

      あとイージスアショアですね
      アショアが無ければ、イージス艦で艦隊防空すら怪しい状況に

        • 匿名
        • 2019年 9月 13日

        アショアって、イージス艦(弾道ミサイル防衛ができる方)と同じでは?
        アショアが配備されたら、日本海に張り付けてるイージス艦を南シナ海あたりに展開できるから中国は嫌がってますよね

      • oominoomi
      • 2019年 9月 14日

      全通甲板型DDH×4、イージスDDG×8、5000トン型DD×20で編成される4個護衛隊群、いわゆる第1艦隊はほぼ完成していますよ。(あとはまや型2隻の就役を待つのみ)
      FFMは元地方隊配属の護衛艦や掃海艦艇で構成される、いわゆる第2艦隊に配属されるので、DDGとは関係ないです。

    • 匿名
    • 2019年 9月 13日

    鶏卵前後論争じゃないけど、攻撃型の兵器でトップレベルの技術を保有していなければ、それに並ぶような攻撃を無効化出来る防御型兵器の開発なんて出来るわけがないですよね。
    韓国が保有しているご自慢の対地対艦ミサイルの程度も知れてくるというもの。

    • 匿名
    • 2019年 9月 13日

    そういう事言うなよ!
    このままホルホルしててくれた方が
    日本にとって助かるのにな
    あーこわいなー命中率高くて凄いなー

    • 匿名
    • 2019年 9月 13日

    韓国は日本を攻撃する気でいる。このままポンコツ兵器を装備させとく方が日本には良い結果になる。あまり欠点を指摘するとバカでも気付く。

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