軍事的雑学

ステルスキラー? ロシア、米国製ステルス戦闘機を無力化する計画を進行中

ロシアは米国のステルス機を完全に無力化すること計画していると「The National Interest」が報じている。

参考:Stealth Killer: Russia Is Planning To Make America’s F-35 Stealth Fighter Totally Obsolete

ステルス機を探知できるバイスタティック・レーダーとは?

ロシアが開発したNNIIRT 52E6MU「Struna-1」と呼ばれるレーダーは、これまでのレーダーとは全く異なる種類が異なり「バイスタティック・レーダー(Bistatic radar)」と呼ばれる種類で、このレーダーは単体で展開するのではなく、S-300やS-400などの防空システムを補完するためのサブシステムだ。

出典:U.S. Air Force photo by Senior Airman Laura Turner

通常、ステルス機はレーダーから照射された電波を照射元に反射するのではなく、大部分の電波を別の方向へ反射(一部は機体表面に塗られた電波吸収塗料が吸収)し、照射元へ戻る電波を弱めることで、低観測状態=何があるのか識別できない状態にするため、既存のレーダーではステルス機の認識が困難になる。

しかし、この「バイスタティック・レーダー」は電波を照射する送信機と、反射してきた電波をキャッチする受信機が別々の場所に存在し、受信機を複数設置することで、別の方向に反射されれていた電波を受信することで電波の強度を高め、ステルス機を認識するという仕組みだ。

ロシアによれば、この方式だと従来のレーダーよりも感度が高く、ステルス機のレーダー反射断面積(RCS)を約3倍に増加させ、機体表面に施された電波吸収塗料を無視すると主張している。

さらに、このレーダーは敵の電子妨害が全く役にたたないという特性も併せ持つ。

出典:Public Domain EA-18G グラウラー

通常、敵のレーダーに捕捉されると電子妨害装置で敵レーダーを撹乱しようとするが、これは電波を照射してきた方向にある「受信機」に対して作用するのだが、この「バイスタティック・レーダー」は送信機と受信機が別々の場所にあるため、敵の電子妨害装置の影響を受けることがない。しかも受信機は複数あり、全く電波を発していないため発見することは難しいので、これを完全に破壊することは困難だろう。

しかし「バイスタティック・レーダー」にも欠点がある。

システムの特性上、目標検出高度が最大で7,000mに制限されており、送信機と受信機に目標が近づけば近づくほど目標が検知できる高度が下がっていき、同様に目標の検出範囲も高度と同じように制限を受け、セミアクティブ方式の地対空ミサイルを誘導する事はできない。

さらに、米国のように必要さえあれば世界中のあらゆる場所に展開するような軍にとって、受信機を事前に複数設置し同期しなければならない「バイスタティック・レーダー」は運用が複雑で手間が掛かるという点が問題になるが、逆を言えば、自国への接近阻止・領域拒否(A2/AD)戦略をとる中国やロシアのような国にとっては、支配領域に受信機を事前に複数整備しておくことが出来るため、これは運用国によって好みが分かれる部分と言える。

出典:Vitaly V. Kuzmin/ CC BY-SA 4.0

結局、この「Struna-1」は単体で運用しても限られた範囲でしかステルス機を検出できない(数を増やせば理論的に範囲は広がる)ため、レーダー反射断面積(RCS)が小さな目標の処理に有効と言われている防空システム「S-400」のサブシステム、UHFレーダー「Protivnik-GE」と組み合わせれば、より実用的で効果的な運用が可能になるかもしれない。

このように万能ではないかもしれないが、交戦範囲が限定されている局地戦などでは効果を発揮する可能性があり、欧米のステルス機にとっては無視することは出来ないだろう。

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Valerie Seelye

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 1月 07日

    現状、ステルス機は無敵だから相手としたらそれを打ち破る物を開発しなければならない、バイスタティックレーダーもその一つだがこれはなかなか難しい技術。
    電波の発信と受信を別のアンテナが受け持つのだが、双方の動作を完全に同期させている必要がある。
    送信側のアンテナのビームの軸線上に受信のアンテナを同期して向けなければステルス機はとらえられない、対レーダーミサイルで発信側を破壊されたらシステム全体が使えなくなる。
    AESAならスキャンは一瞬だが高価なAESAを揃えるのも金がかかる。

    • 匿名
    • 2020年 1月 07日

    >受信機を複数設置することで、別の方向に反射されれていた電波を受信することで電波の強度を高め、ステルス機を認識するという仕組みだ。

    ステルス踊りの影響で、個々の受信機での電波強度は変動が大きい筈で、それによるノイズ誤判定の回避が必須だと思いますが、
    複数の受信機を連携した場合、誤判定回避が容易になるのか否か、が気になります。

    >ロシアによれば、この方式だと従来のレーダーよりも感度が高く、ステルス機のレーダー反射断面積(RCS)を約3倍に増加させ、機体表面に施された電波吸収塗料を無視すると主張している。

    RCSが約3倍って、dB換算すると5dB弱。
    ステルス機に使われるRAMの効果は判らないので、次期戦闘機関連のメタマテリアルの効果を参考にすると、電波吸収の効果は約-20dB。
    無効化するには桁違いに能力不足の様に思えます。

    その程度で無効される程、ロシアのRAMって低性能なのかな?
    Su57のRCSが0.1㎡と、F22やF35に比べ桁違いにRCSが大きい様に言われるのも、ここら辺も関連するのですかね。

    あとRCSが約3倍って事は、距離換算だと約1.3倍。
    一方、日本がJNAAMかその後継に載せる予測型目標検出処理は、検出距離約1.5倍。
    ロシアのは、大掛かりなシステムの割に効果が小さい様に思えます。

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