軍事的雑学

極超音速ミサイルはF-35キラー!日本、非対称戦力「潜水艦」で対抗が現実的か?

ロシア国防省が公開した、極超音速ミサイル「KH-47M2 Kinzhal(キンジャル)」を搭載したMiG-31Kは、米国やNATO加盟国が調達を進める「F-35に対する回答」だと報じられている。

参考:An Answer to the F-35? Russian Displays ‘Kinzhal’ Hypersonic Missile Armed MiG-31K Jets

極超音速ミサイルに日本が対抗するには「水中」しか残されていない

ロシアは最近、極超音速ミサイル「KH-47M2 Kinzhal(キンジャル)」を搭載したMiG-31Kを一般向けに公開した。

このミサイルの射程は少なくとも1,000km以上と言われており、MiG-31K(最大1発搭載可能)で運用した場合は2,000km以上、Tu-22M3(最大4発搭載可能)で運用した場合は3,000km以上の攻撃範囲を持ち、さらにマッハ10.0以上、時速12,240km以上で飛翔することが可能で母機から発射後、数秒から十数秒で目標に到達する。

出典:kremlin.ru / CC BY 4.0KH-47M2 Kinzhal(キンジャル)を搭載したMiG-31K

しかも、このミサイルは現在、北朝鮮が盛んに試射を行っている新型短距離弾道の原型、ロシアが開発した短距離弾道ミサイル9K720「イスカンデル」をベースに開発されたと言われており、目標到達までの飛翔コースを変更することができるため、既存の迎撃システムで対応するのは事実上、困難だと言われ、地上の固定目標や、水上を航行する空母や巡洋艦、駆逐艦などを攻撃することが出来る。

現在、ロシアの次世代戦闘機「SU-57」のウェポンベイに搭載できる、小型化した「KH-47M2」も開発中だ。

ロシアのMiG-31Kと極超音速ミサイル「KH-47M2」の組み合わせは、米国やNATO加盟国が調達を進める「F-35に対する回答」だと報じられており、このミサイルで攻撃すれば開戦から数分以内に、F-35を含む航空機が配備されたNATOの航空基地を破壊可能で、恐らく、NATOはF-35を含む航空機を緊急離陸させて空に退避させる時間的余裕はなく、地上で破壊されるだろう。

さらに、このミサイルは洋上に展開する米海軍の空母を攻撃するのに理想的だ。

米海軍の空母に配備されるF-35CやF-35Bが発艦してしまう前に、空母もろとも海の藻屑にしてしまえば、どんなにステルス性能に優れていても意味がなく、特にF-35シリーズに共通する、メンテンス問題は、F-35を空へ送り出すに地上(艦上)での整備に多くの時間を必要とするため、このような短時間での攻撃に対しより脆弱だ。

出典:海上自衛隊 いずも型護衛艦

もしこのミサイルが中国の手に渡るか、中国が類似の極超音速ミサイルを開発してしまえば、米国やNATOに起こる悲劇が、日本にも降り掛かってくる。

補足:極超音速ミサイル自体は中国も開発中で、2020年代には実戦配備に就くと言われている。

仮に尖閣諸島で中国と日本の間で局地的な紛争が発生した場合、恐らく、沖縄の那覇基地は一瞬で無力化されるだろうし、東シナ海へ出動した海上自衛隊の空母艦隊も、位置がバレれば、数分以内に無力化される可能性があり、もはや、このような攻撃を現在の迎撃システムで対応するのは不可能だ。

物々しかもしれないが、航空自衛隊の航空基地は地下化する必要があるだろし、海上自衛隊も「いずも型護衛艦」を含む空母艦隊で尖閣諸島を防衛・奪回するのではなく、隠密性に優れた潜水艦を主体とし、水中発射型の巡航ミサイルによる攻撃能力の付与や、特殊部隊を潜水艦で輸送し水中から出撃させ尖閣諸島を防衛・奪還するなど、非対称戦力の整備を進める必要があるのではないだろうか?

出典:public domain ドライデッキ・シェルター内のNavy SEALs

因みに、米国のバージニア級原子力潜水艦は、海軍特殊部隊のNavy SEALsを輸送し支援することを想定され設計されているため、最大で40人程度の隊員を輸送することが可能で、艦外にはSEALsの大型装備を収納できる格納庫まで備えている。

近い将来、確実に登場が予告されている中国の極超音速ミサイルに日本が対抗するには、もはや「水中」しか残されていないのかもしれない。

 

アイキャッチ画像の出典:海上自衛隊 そうりゅう型潜水艦 2番艦「うんりゅう」

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コメント

    • 匿名
    • 2019年 8月 13日

    時代は潜水空母と言いたいのか

  1. それは大変だ!
    でもそんなに精密誘導が出来るのだろうか?

    • 匿名
    • 2019年 8月 13日

    SF見る超兵器シリーズが現実化って所だね
    広報通りの性能なら地上目標は何ともならんね、炸薬が少なくても運動エネルギーだけでかなりの力が出るだろうし
    だけど艦船みたいな移動目標にどこまで有効か疑問
    何も対処しないで前進してれば話は別だけど空気抵抗で赤熱化するミサイルにはろくなセンサーは積めないだろうし外部誘導をECMで妨害しつつランダム回避すれば早々当たらないんじゃないかな?
    まぁ、対応するにしてもそう言う兵器が有る前提で発射前に行動する事を求められるので難しいのは変わらないかな

    • REW
    • 2019年 8月 13日

    こちらを見ていると、NATO諸国のていたらくに比べて中露の軍拡ぶりは順調かつ凄まじく、もし仮に「戦争」なんて事態になったら、と思うと、この猛暑の仲でも冷や汗が出ます。戦争まで行かなくても紛争でも沈黙させられてしまいそうですね。

    • 匿名
    • 2019年 8月 13日

    でもさあ、そのその極超音速ミサイルの照準精度ってどのくらいなものなんでしょう?
    1発で当たらなくても、数打てば目標は確実に殲滅できるという考えなのでしょうか?
    こうなると、地上基地は数とエネルギーに制約のないレーザー防空兵器の開発を本気で取り組まないといけないのでは?

    • 匿名
    • 2019年 8月 14日

    「ミサイルギャップ」再び的なプロパガンダ戦術としか思えん
    ロシアの方が圧倒的に予算厳しいし
    逆スターウォーズ計画で予算浪費と抑止を狙っているのでは?

    • トラトラトラ
    • 2019年 8月 14日

    だとしたら、日本は速やかに核武装し万一の時、ロシア全土に核武装して極超音速を超えた弾道ミサイルを弾道ミサイル発射可能な軍事衛星を新たに開発して、先制攻撃するしかない。ロシアとちょっとした軍事衝突の兆候がみえたら、すかさずロシア全土に水爆搭載型の弾道ミサイルを雨のように降らせロシア全土の機能を壊滅させればいい。殺られる前に殺るしかないだろ!

    • 味 のりお
    • 2019年 8月 14日

    いや、仮にロシアや中国が運用し始めたとしても、実際に使用しないと思うよ。アメリカや日本の空母狙う? F35がある空軍基地攻撃する? そんなに第3次世界大戦に持っていきたいのかな? 1900年代初期に戻りたいのかな? 使えるとしても、使ったら もう世界は終わりさ。抑止力って意味では効果あると思うが、意外とハッタリとかでモックだったりしてね? 威圧とかハッタリって効果あるのでね。

    • 味 のりお
    • 2019年 8月 14日

    んで、極超音速ミサイルが、万が一米国施設に当ったら、音速爆撃機B1Bランサー、F22、イージス艦、原子力潜水艦等から 数百発以上 連続発射でお見舞いすればいい。

    まぁ ほぼ 世界は終了するが。

      • 匿名
      • 2019年 8月 14日

      F-22は核兵器搭載不可、B-1は核兵器搭載機能を封印してますから、INF条約破棄したと言ってもすぐには核巡航ミサイルを利用可能にはできないです。
      イージス艦に積める核トマホークも不活性状態で本国保管なので、こちらも核飽和攻撃のための配備は時間がかかるでしょう。
      極超音速ミサイルも直ちに全量配備になるわけではないので、米国としては当面は既存ICBMやSLBMで相互確証破壊で核抑止しつつ、極超音速ミサイルの新規開発を進めることでしょう。
      B-1の核兵器搭載機能の封印解除、核トマホークの再配備はアメリカの極超音速ミサイル開発の進捗状況をチェックするのに最適かもしれません。
      ただ、貴サイト記事にあるようにB-1の90%が稼働不能ならそちらにも予算を付けないと、ですね

        • 味 のりお
        • 2019年 8月 15日

        ええ、あなたが言ってる事わかります。ただ一応言っておきますが、自分は核攻撃とか一言も言ってませんし、書いてませんからね。通常兵器での反撃って事です。そんで ほぼ 世界は終了って意味は、攻撃された所にもよると思うが、一発のミサイル攻撃へのアメリカの反撃で、ロシアに中国が協力するおそれもあると思うし、仮にそうなったらNATO加盟国も黙っていない可能性から ほぼ 世界は終了って言葉使ったのよね。まぁ アメリカって 効果を見たくて実際に核爆弾投下したり、枯葉剤を散布とか、劣化ウラン弾とか、クラスター爆弾とか使用して来てるから、個人的にはアメリカも結構ヤバイと思っていますけどね。 だけど、自分はアメリカで使用してる装備や銃火器が好きでフィリピン ミンダナオの ザンボアンガでアサルトライフルやハンドガン撃ちに行ってました 笑

          • oominoomi
          • 2019年 8月 15日

          「世界は終了」て書いてあったら核兵器の事だと受け取ってしまうのは仕方ないと思います。
          例えば湾岸戦争・イラク戦争でイラクはトマホーク巡航ミサイルを1600発以上食らっています。
          1000kg爆弾を投下されても家屋が倒壊するのは半径100m程度の範囲です。
          通常兵器の威力はその程度のもので、核抑止力が効いている限り、世界の終わりという事態には至らないはずです。

    • 匿名
    • 2019年 8月 14日

    ドイツで開発していた潜水艦発射型対空対地ミサイルのIDASってどうなったんですかね?もう戦力化されたのかな。
    威力的に効果が限定されるけど対艦にも使えるとか言ってたと思うけど。射程20KMしかないしなぁ。

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